2019年10月31日木曜日

1031 空晴プロデュース「ボクのサンキュウ。」

サンキュウは産休にかけているだろうか。独身寮の男たちが育児体験ごっこをする中で、育児に向き合う気持ちが芽生えるという筋は、産休とは少しズレるような。
パンフレットで岡部本人も書いているように、ホンとしては未熟さを感じさせる。が、それ以上にキャストがどうかと。なだぎ武、小川菜摘がメインのゲストなようだが、作品に新しい魅力を付加するというところには至っていなかったように思う。小川はケバケバしいメイクと衣装で、ニューハーフではと疑われているという設定も無理があるというか。なだぎはオネエという設定らしいのだが、中途半端だし、そもそもオネエにする必要が感じられない。
突然死で子どもをなくした妻のため、人形を可愛がる夫を演じた國藤剛志、その人形を預かるもごっこに付き合うのに抵抗を感じる弟役の平田裕一郎はよかった。

1030 地点「ハムレットマシーン」

とても不快で、後半は早く終わらないかとばかり考えていた。不快感はおそらく狙ってのことなのだろうが、嫌なものは嫌だ。
方丈に赤いカーネーションが敷き詰められた舞台は目に鮮やか。中央には扉のような長方形の板が置かれ、奥の壁には聖母子を描いた絵画が飾られている。暗転ののち、花の上に横たわる5人の男女、1人は板の下に死体のように寝そべる。4人はそれぞれ壺、傘、トランペット、シンバルを抱えていて、自由に手が使えないため、起き上がろうともがいている。地点語らしい、不自然に文節を区切ったり、イヒッとかプハァとか不快な音節を織り交ぜたり、赤ん坊のような鳴き声をたてたりするのが不気味だ。なにより、シンバルの音が不快なこと。それも何度も繰り返すのでイライラが増す。トランペットでアメリカ国歌やフランス国歌を吹くのだが、途中でプハァと打ち切るのも鬱陶しい。
シェイクスピアのテキストからの引用がハムレットらしさを感じさせるが、全体としては不条理。絵画の後ろにいた男が、主人公なのか、カーネーションを髪にさしたり、客に向かって花をら投げるフリをしたりとキモ可愛さを演出?

2019年10月29日火曜日

10月29日 スーパー歌舞伎II「新版オグリ」

猿之助の小栗判官、隼人の上人、市川右近の金坊。
猿之助は上手いのだが、ヒーローの器ではないというか、私には何故だか魅力が感じられない。登場時、ものすごい美丈夫という感じのフリがあるのだが、そんなにハンサムかしら。背低いし、手足が短く、チンチクリンに見えてしまう。慎吾の照手姫は抜擢か。声がよく、健気に頑張っていたが、背が高いのと、表情が時折ゴツゴツして見えるのが惜しい。
玉太郎が最年少ながら一番の殺し屋で、不機嫌な不良少年のような風情。キャップを被り、ストリートファッションのような衣装もよく似合って、印象的だった。
一方、笑也や猿弥はスーパー歌舞伎らしい芝居だが、猿之助や玉太郎らと仲間というと少し違和感がある。母親や閻魔の妻役と少し距離感のある役だった笑三郎はそうでもなかったが。
鏡を使ったシンプルな舞台装置で、プロジェクションマッピングを駆使して場面転換する。やはり映像だと安っぽく見えてしまう。
ストリートダンスのような振り付けや、ロックっぽい音楽に演出の杉原邦生らしさが見えた。
本水の立ち回り、両サイドの宙乗り(でも、馬に乗って3階席へ飛んで行くだけ)、幕開きに桜吹雪、ラストではハートの紙吹雪と派手なサービスがてんこ盛り。

2019年10月27日日曜日

1027 京都観世能

「安宅」
勧進帳、瀧流の小書き付き。
緊迫感が薄く、気の抜けたような安宅だった。河村和重の弁慶は足が悪いのか立ち上がる時に手をつき、押し戻しでは止めきれずに1メートルくらい富樫側に移動していた。

「卒塔婆小町」
一度之次第の小書きがあり、小町が登場するところから(なぜ?)。
梅若実は体調が回復してきたようで、特注の太い杖でなく、細い、普通の小道具の杖。足元は覚束なげなのだが、それが老婆ゆえとも見え、老いた我が身を嘆く言葉にも実感がこもり、演技とリアルが渾然一体に感じられた。

「墨染」
七五三が休演で、千五郎の大名、逸平の太郎冠者、茂の女房。墨の涙、塗りたくりすぎ(笑)

「融」
十三段之舞の小書き。延々と舞が続いて、見応えあるが、一日之最後の曲としてはお腹いっぱい感が。

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2019年10月25日金曜日

1024 野田地図「Q」

クイーンのオペラ座の夜の楽曲を用い、ロミオとジュリエットに源平の争いを掛け合わせた独特の世界を構築。
若い瑯壬生(ロミオ)の志尊淳、愁里愛(ジュリエット)の広瀬すずというピュアなカップルの瑞々しさ、それからの瑯壬生・上川隆也と愁里愛・松たか子がいい感じで世俗にまみれているというか、経験値の違いがかんじられる。1幕と2幕が対になっている構成も面白かった。
広瀬は叫んだり、顔を歪めたりと、映像ではみたことないような演技で頑張っていたが、一人で長ゼリフを喋るような場面では辛かった。志尊は、愁里愛のいとこを殺めてしまうシーンが圧巻。フェミニンなイメージを裏切って猛々しく、また、ボヘミアンラプソディーの音楽の効果もあって、一番の見せ場だった。
戦いがおわっても、戦後にさらにひどい状況が襲いかかる。届かなかった白紙の手紙に託されたメッセージが切ない。
野田秀樹のウーバが、広瀬と同じ髪型なのがかかわいかった。・

2019年10月21日月曜日

1021 シスカンパニー「死と乙女」

行き詰まる三人芝居。独裁政権下で起こった拷問の被害者と、加害者が、革命後に再会してしまったら…。宮沢りえが拷問の悪夢に未だ苦しんでる妻役を熱演。復讐に燃える狂気に息を呑む。段田安則はしらばっくれている感がなく、本当に冤罪なのかと揺らぐ。堤真一は、理性的ではあるが、妻のいうことを信じ切っていない、薄情さのある夫を好演。

2019年10月19日土曜日

10月19日 芸術祭十月大歌舞伎 夜の部

「三人吉三巴白浪」
梅枝のお嬢に愛之助のお坊、松緑の和尚という顔ぶれ。愛之助のお坊と松緑の和尚は前にも見たことあると思い出した。その時はお嬢が菊之助だった。
梅枝お嬢と愛之助お坊は、目と目で語り合うところが多く、信頼し合う二人の関係が色濃く描かれる。梅枝は可憐な娘から男に戻るさまが鮮やか。意外に男の場面が多いのだが、何かしら色気がある。愛之助のお坊は爽やかな二枚目。和尚の松緑も頼れるアニキという感じ。
土左衛門の歌六は少しセリフが怪しいところもあったが、説得力のある人物像。おとせの尾上右近と十三郎の巳之助は運命に翻弄される若いカップルらしさがあった。

「二人静」
能仕立ての舞踊劇。舞台に児太郎の菜摘女が一指し舞った後、すっぽんから玉三郎の静が登場。相舞は息のあった様子で、シンクロの踊りが美しい。すっぽんから捌けた静は、舞台下手から再登場。能装束のような衣装で抑制された動きなので、少々地味にかんじる。
演奏は、長唄、常磐津、竹本に囃子方という豪華な布陣で(竹本は三味線のみ)さすが玉様と思った。