観音巡りと天神森を文楽、生玉と天満屋を講談で、短時間で曽根崎の全編を上演する趣向。現代アート後藤靖香のイラストがプロジェクションマッピングで、背景や人物を描く。
観音巡りは清介の作曲で、以前清治が作ったものとは違うよう。太夫は小住、ツレに清公、清允。会場のせいかマイクを使ったせいか音がとても耳に障り、集中できず…。観音巡りの良さが分からなかった。舞台は勘十郎の遣うお初。背景のイラストがアニメのように動いて、寺社を巡る。スクリーンに映し出された人形に蝶々が戯れるのは目に面白かった。
講談は玉秀斎。びっくりするくらいつまらなかった。曽根崎という物語が講談に合わないのと、セリフのやり取りが中心で芝居にし過ぎたのが敗因か。
天神森は呂勢、希、亘に藤蔵、清志郎、寛太郎。藤蔵の唸りが気にはなったが、浄瑠璃を楽しめた。希の徳兵衛が異次元に行っていたかはともかくも。手摺は、徳兵衛の清十郎が不慣れなのか、最期に帯を体に巻き付けるところがもたつき、解けてしまっていた。
2023年3月16日木曜日
2023年3月12日日曜日
3月12日 三月大歌舞伎 第三部
「髑髏尼」
ノートルダムの鐘にヒントを得た作品だそうだが、色々モヤモヤ。源氏方に息子を殺され、出家した美しい尼を玉三郎。その尼に懸想する醜い鐘楼七兵衛を中村福之助。お堂に忍び込んだ七兵衛は髑髏尼に自分と一緒に逃げてくれ、と懇願するのだが、どうして願いを聞き入れてもらえるなどと思うのだろうか。偶然見かけた髑髏尼が自分に笑いかけてくれたとか、優しくしてくれたとかいうならまだしも。そして、断られたからといって逆上し、縊り殺してしまうのも分からない。
平重衡の亡霊に愛之助。背後には平家の武士らが透けるようにならび、幻想的な場面だが、この人もなんのために出てきたのか分からなかった。
「吉田屋」
浅草歌舞伎の時よりはだいぶマシではあったけれど、もっと上方の柔らかみが欲しい。登場シーンなどは、男前すぎない発声が写実なのかなとも思ったけれど、通して見てみると何か物足りない。
吉弥のおきさも、ちょっと違うと思ってしまった。脳内に秀太郎のおきさがはっきり残っているせいもあるけれど、吉弥のは廓の女房にしては現役感があるというか。阿波の大尽、松之助はピッタリ。
3月12日 シアターコクーン「アンナ・カレーニナ」
休憩20分を挟んで3時間45分の芝居は、懸念していたほど冗長には感じなかったが、やはり長かった。飽きさせなかったのは、場面転換がほとんどなく、連続的に芝居が続いたことと、複数の話を並行して進める脚本の巧みさ。例えば、夫(小日向文世)と愛人ヴロンスキー(渡辺圭祐)とそれぞれとアンナ(宮沢りえ)が語る場面は、テーブルを挟んで2人の間を行き来しながらセリフが進行する。
色々なキャストがセリフの途中で、客席に向かって本音を吐露するのも面白かった。
2幕野終盤、ヴロンスキーの愛を試すアンナのわがままがエスカレートしていくところ。だんだん嫌な女になっていくのは全く同情できないのに、胸が締め付けられるような思いがしたのは、宮沢の芝居に悲壮感があったからか。ヴロンスキーはよく耐えていたよなあ。
ピアノとバイオリン、コントラバスの音楽や照明の使い方も効果的。
キティ(土井志央梨)とリョービン(浅香航大)カップルの微笑ましさが救い。
2幕野終盤、ヴロンスキーの愛を試すアンナのわがままがエスカレートしていくところ。だんだん嫌な女になっていくのは全く同情できないのに、胸が締め付けられるような思いがしたのは、宮沢の芝居に悲壮感があったからか。ヴロンスキーはよく耐えていたよなあ。
ピアノとバイオリン、コントラバスの音楽や照明の使い方も効果的。
キティ(土井志央梨)とリョービン(浅香航大)カップルの微笑ましさが救い。
3月11日 ハンブルク・バレエ団「シルヴィア」
菅井円加のシルヴィア。1幕のアマゾネス集団の先頭に立って狩りに勤しむ様は少女というより少年のような勇ましさ。時折奇声を発したりして、乱暴な仕草やぶっきらぼうな感じ。アミンタ(アレクサンドル・トルーシュ)にアプローチされるもの拒むのは、男まさりな女の子が照れてるような。ディアナ(アンナ・ラウデール)に咎められて、許しを乞うも、すぐに次のお気に入りに取って代わられてしまう。
1幕のアマゾネスたちの踊りはそんな感じであまり好みではなかったのだが、ディアナとエンディミオン(ヤコポ・べルーシ)のパドドゥが素晴らしい。とても官能的で、互いの頭を寄せ合うように横たわって手を組むところなど、直裁的ではない情緒にうっとりした。
2幕は黒燕尾(一部タキシードや上半身裸)の群舞。宝塚以外でこんな踊りが見られるとは! その中に一人、赤いベルベットのドレスのシルヴィアの戸惑いや高揚感が際立つ。黒燕尾の男たちに混じって、男装のディアナ。
3幕は時が経って、再開するシルヴィアとアミンタ。共に白髪混じりで、過ぎた日々を取り返すことはできない悲しみ。
アミンタが「森を守ろう」と書いたプラカードを持っているのはなぜ?とか、アムール(クリストファー・エヴァンズ)の白いパンツ(しかも、右は一分丈、左は三分のアシンメトリー)がふざけているように見えるとか、不思議なところもあったけど、全体としてはいい作品だった。
カーテンコールでノイマイヤーが出てくると、客席は総立ち。
1幕のアマゾネスたちの踊りはそんな感じであまり好みではなかったのだが、ディアナとエンディミオン(ヤコポ・べルーシ)のパドドゥが素晴らしい。とても官能的で、互いの頭を寄せ合うように横たわって手を組むところなど、直裁的ではない情緒にうっとりした。
2幕は黒燕尾(一部タキシードや上半身裸)の群舞。宝塚以外でこんな踊りが見られるとは! その中に一人、赤いベルベットのドレスのシルヴィアの戸惑いや高揚感が際立つ。黒燕尾の男たちに混じって、男装のディアナ。
3幕は時が経って、再開するシルヴィアとアミンタ。共に白髪混じりで、過ぎた日々を取り返すことはできない悲しみ。
アミンタが「森を守ろう」と書いたプラカードを持っているのはなぜ?とか、アムール(クリストファー・エヴァンズ)の白いパンツ(しかも、右は一分丈、左は三分のアシンメトリー)がふざけているように見えるとか、不思議なところもあったけど、全体としてはいい作品だった。
カーテンコールでノイマイヤーが出てくると、客席は総立ち。
3月11日 三月大歌舞伎 第一部
「花の御所始末」
シェイクスピアの「リチャード三世」を翻案した新歌舞伎。40年ぶりの上演だそう。初演は白鴎(当時染五郎)に当てて書かれたそうだが、いかにも高麗屋がらしい芝居だ。
物語は、将軍の座に就くために、足利義満の次男、義教(幸四郎)が邪魔な兄(亀蔵)を罠に嵌め、障害となる人を次々に殺していく。権力のためなら何でもするが、何のために権力につくか分からない、非常な人物が当代幸四郎によく似合う。今までに見た彼の芝居で一番かも。最期は、殺した人たちの亡霊に脅かされ、百姓らの一揆に攻められて自害する。テンポよく飽きさせない構成ではあった。
愛之助が、後に一揆の首謀者役となる安積行秀で活躍。冒頭で暴君義教の怒りにふれ、片眼を傷つけられたまま出てこなくなったので、ちょい役かと思ったがさにあらず。ただ、件ののち追放されて、主君に使える人生から転換したと言いながら、腹を切った義教の首を切ることはせずに、そのまま死ぬに任せたのはなぜだろう?やはり旧主は切れないということなのか、「介錯せよ」という命令に従いたくなかったのか。
千壽が、義満の妾で後に義教の愛妾となる北野の方役で、なかなかいい役のようだが、人物の深みは全くない。ただ、トロフィーのように権力者の寵をうけるだけ。もっと陰謀術数に絡んでほしかった。最後、一条の局役のりき彌と二人並んだのは胸熱。
妹役の雀右衛門。幸四郎を「ちいにいさま」と呼ぶのはともかく、染五郎演じる左馬之助と恋仲になるの、歌舞伎らしい萌えポイント。大丈夫、親子には見えなかった。
シェイクスピアの「リチャード三世」を翻案した新歌舞伎。40年ぶりの上演だそう。初演は白鴎(当時染五郎)に当てて書かれたそうだが、いかにも高麗屋がらしい芝居だ。
物語は、将軍の座に就くために、足利義満の次男、義教(幸四郎)が邪魔な兄(亀蔵)を罠に嵌め、障害となる人を次々に殺していく。権力のためなら何でもするが、何のために権力につくか分からない、非常な人物が当代幸四郎によく似合う。今までに見た彼の芝居で一番かも。最期は、殺した人たちの亡霊に脅かされ、百姓らの一揆に攻められて自害する。テンポよく飽きさせない構成ではあった。
愛之助が、後に一揆の首謀者役となる安積行秀で活躍。冒頭で暴君義教の怒りにふれ、片眼を傷つけられたまま出てこなくなったので、ちょい役かと思ったがさにあらず。ただ、件ののち追放されて、主君に使える人生から転換したと言いながら、腹を切った義教の首を切ることはせずに、そのまま死ぬに任せたのはなぜだろう?やはり旧主は切れないということなのか、「介錯せよ」という命令に従いたくなかったのか。
千壽が、義満の妾で後に義教の愛妾となる北野の方役で、なかなかいい役のようだが、人物の深みは全くない。ただ、トロフィーのように権力者の寵をうけるだけ。もっと陰謀術数に絡んでほしかった。最後、一条の局役のりき彌と二人並んだのは胸熱。
妹役の雀右衛門。幸四郎を「ちいにいさま」と呼ぶのはともかく、染五郎演じる左馬之助と恋仲になるの、歌舞伎らしい萌えポイント。大丈夫、親子には見えなかった。
2023年3月5日日曜日
3月4日 瑠璃の会 第7回
「加賀見山旧錦絵 草履打の段」
呂秀、呂響、呂萬に駒清。
先輩2人は大分落ち着いてきた感じ。呂秀は岩藤にしては可愛らしい声で、首に合わないのではと思った。もっと低い声で憎々し気なのがいい。尾上の呂響と逆の方が合うのでは。呂萬は初めて聞いたが、役のせいもあってか、落語家のような話ぶり。詞中心で掛け合いの場面なので、義太夫節と朗読劇の違いは何なのだろうと考えた。あまり役に没入しすぎないのが義太夫なのか。
「由良湊千軒長者」
住年・住静。
拐かされた姉弟の悲劇。哀れな境遇が涙を誘う。住年の語りはぐっと義太夫らしい。
「艶容女舞衣 酒屋の段」
住蝶・住輔。
住蝶はドラマのあるいい語り。声が華やかだし、上手い。こういうのが女義の魅力なのではと思うなど。お園のクドキより、父の述懐のほうに拍手があった。やっぱりお園には同情しにくいのか。
「本朝廿四孝 十種香の段」
土佐絵・駒清。
この段は三味線の手が派手なので、駒清の為の選曲か。土佐絵は淡々と語る風だったので、今一つ盛り上がりに欠けた。
呂秀、呂響、呂萬に駒清。
先輩2人は大分落ち着いてきた感じ。呂秀は岩藤にしては可愛らしい声で、首に合わないのではと思った。もっと低い声で憎々し気なのがいい。尾上の呂響と逆の方が合うのでは。呂萬は初めて聞いたが、役のせいもあってか、落語家のような話ぶり。詞中心で掛け合いの場面なので、義太夫節と朗読劇の違いは何なのだろうと考えた。あまり役に没入しすぎないのが義太夫なのか。
「由良湊千軒長者」
住年・住静。
拐かされた姉弟の悲劇。哀れな境遇が涙を誘う。住年の語りはぐっと義太夫らしい。
「艶容女舞衣 酒屋の段」
住蝶・住輔。
住蝶はドラマのあるいい語り。声が華やかだし、上手い。こういうのが女義の魅力なのではと思うなど。お園のクドキより、父の述懐のほうに拍手があった。やっぱりお園には同情しにくいのか。
「本朝廿四孝 十種香の段」
土佐絵・駒清。
この段は三味線の手が派手なので、駒清の為の選曲か。土佐絵は淡々と語る風だったので、今一つ盛り上がりに欠けた。
2023年3月4日土曜日
3月3日 若手素浄瑠璃の会
「妙心寺の段」
薫・清志郎。
5日前の京都の会より、ぐっとよくなった。薫の語りは言葉が明瞭で、聞きやすい。女性の詞にたると掠れるのが気になった。
清志郎はいつもながらの気合の入った演奏。後半、詞のみで演奏がないところでも息を詰めて、太夫と息を合わせていた。
「袖萩祭文」
芳穂・清馗。
よく声が出ていて、袖萩の詞などしっとりと美しかった。ちょっと綺麗すぎでどこぞのお姫様?という感じだが。お君が賢し気で可愛くなかった。
三味線はなんか気が抜けたようで…。芳穂が盛り上げて語っても、三味線の音で水をかけられるような。
薫・清志郎。
5日前の京都の会より、ぐっとよくなった。薫の語りは言葉が明瞭で、聞きやすい。女性の詞にたると掠れるのが気になった。
清志郎はいつもながらの気合の入った演奏。後半、詞のみで演奏がないところでも息を詰めて、太夫と息を合わせていた。
「袖萩祭文」
芳穂・清馗。
よく声が出ていて、袖萩の詞などしっとりと美しかった。ちょっと綺麗すぎでどこぞのお姫様?という感じだが。お君が賢し気で可愛くなかった。
三味線はなんか気が抜けたようで…。芳穂が盛り上げて語っても、三味線の音で水をかけられるような。
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