「髑髏尼」
ノートルダムの鐘にヒントを得た作品だそうだが、色々モヤモヤ。源氏方に息子を殺され、出家した美しい尼を玉三郎。その尼に懸想する醜い鐘楼七兵衛を中村福之助。お堂に忍び込んだ七兵衛は髑髏尼に自分と一緒に逃げてくれ、と懇願するのだが、どうして願いを聞き入れてもらえるなどと思うのだろうか。偶然見かけた髑髏尼が自分に笑いかけてくれたとか、優しくしてくれたとかいうならまだしも。そして、断られたからといって逆上し、縊り殺してしまうのも分からない。
平重衡の亡霊に愛之助。背後には平家の武士らが透けるようにならび、幻想的な場面だが、この人もなんのために出てきたのか分からなかった。
「吉田屋」
浅草歌舞伎の時よりはだいぶマシではあったけれど、もっと上方の柔らかみが欲しい。登場シーンなどは、男前すぎない発声が写実なのかなとも思ったけれど、通して見てみると何か物足りない。
吉弥のおきさも、ちょっと違うと思ってしまった。脳内に秀太郎のおきさがはっきり残っているせいもあるけれど、吉弥のは廓の女房にしては現役感があるというか。阿波の大尽、松之助はピッタリ。
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