五段目、六段目は右近の勘平で江戸の型。キリッとした二枚目で、終始格好いい。間抜けなことをする時も、人倫にもとる行為をする時も、腹切りでさえも美しく見せる。今まで見た右近で一番格好いいと思ったが、二枚目過ぎて、あまり哀れは感じないかも。
莟玉のおかるは、吊り目気味の化粧のせいか少し冷たそうに見えた。
定九郎と数右衛門に吉之丞。吉右衛門門下だけあって、拵えがよく似ていた。
二つ玉からでなく、山崎街道からするのは、勘平が金を必要としていることがはっきりと分かるので、初心者には親切。
「忠臣いろは絵姿」
七段目から十一段目を舞踊仕立てでというのだが、初見の人には何が何やら分からないのでは? 芸者春虹の壱太郎、幇間栄寿の右近、茶屋娘おせんの千之助が、忠臣蔵の名場面を演じる。春虹が由良助、栄寿がお軽、おせんが平右衛門と、役の性別と逆を演じるのもわかりにくいし、千之助はガニ股になるなど所作が全く男になってしまっていた。八段目、九段目もあらすじの説明にはなっていないし、十段目は5つの面を使って右近が大奮闘だが、話の筋は分からないと思う。雪の討ち入りの場面をつけておけば、とりあえず客は納得ということなのだろうか。
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