2019年1月2日水曜日

1227 「民衆の敵」

温泉で栄える町。医師兼科学者が温泉が汚染されていることを発見する。パイプの付け替えなど対策をとれば問題ないと、早期対策を訴えるが、初めは賛成していた人たちがいざ自分に害が及ぶと分かると手のひらを返す。民衆の支持を得ていたと思ったら一転、民衆の敵と糾弾される。移ろいやすい民意の危うさを活写。「正義は力がなくては意味がない」というセリフが刺さった。ことを隠蔽しようとする行政、日和見のマスコミ、何処かの国を見ているよう。
はじめ反対していた妻が、孤立無援になった夫わ支えるのは何故だろう。
アンサンブルがダンスのような動きが不穏な空気を伝える。大量の石が降ってくるラストに戦慄した。

1224 バグダッドカフェ「野獣降臨」

野田秀樹の脚本らしく、言葉遊び、唐突な場面転換、こじつけのような展開。アポロ11号、月のうさぎ、伝染病などのモチーフがパッチワークのように繋ぎ合わさせる。衣装もTシャツやジャージと着物をパッチワークしたみたい。役者たちは覚えにくそうな長ゼリフをよくこなしていた。
場面転換や小道具のようなダンサーがよく動いていた。ちゃんと踊りだった。一瀬尚代はじめ、女優陣は総じてよかったのだが、男性3人のパートが退屈だったのは何故だろう。2時間余だったのに、長く感じた。

1223 M&Oplaysプロデュース「ロミオとジュリエット」

宮藤官九郎演出は古典の脚本で出来るだけふざけてみましたといった感じ。まんまやる、という割には、クドカンテイストが散りばめられていたような。どうも、学生の悪ノリのように見えて、面白がるより白けてしまった。金髪のマッシュルームヘアのロミオ(三宅弘城)は何故か短パンの子供のような出で立ち。マキューシオ(勝地涼)のクネクネダンスや、ティボルト(皆川猿時)のおふざけ、客席には受けていたけど、私には面白くなかった。ジュリエット(森川葵)は可愛い女優なのだが、セリフ回しが一本調子。演出かもしれないが。最後の場面、パリス伯がキャピュレットの墓へ来て、ロミオに殺されるというのは創作かと思ったら、原作がそうらしい。ジュリエットを助けるために現れた神父が、ロミオとパリスの死を知って、ジュリエットを置いてどこかへ行ってしまう。これも原作まんまらしいが、そんなことしたら、ジュリエットが後追い自殺するの当たり前じゃんとモヤモヤした。

12月22日 十二月大歌舞伎 夜の部

梅枝初役の「阿古屋」のみを幕見で。
花道の出は拍手もジワもなかったが、堂々とした立派な傾城。面長の古風な顔立ちが阿古屋に似合っている。客の気を引き寄せる何かが足りないのか、初役だから客も緊張してるのか。三曲の演奏もそつなくこなし、きちんと稽古したことがうかがえる。三味線で下手に奏者がでてきたのはルーキーだから?琴、胡弓は義太夫の助けはあったけど、一人で弾いていた。
若手の奮闘も立派だったが、1時間15分の舞台を退屈させなかったのは、玉三郎の岩永のおかげも大きい。人形振りで要所要所で笑わせて観客を飽きさせなかった。おそらく瞼に目を描いて大きく見開いたように見せていた。所作は踊りの名手だけあって、人形らしいおかしさ。本人の足に人形の足を付けてブラブラさせていたが、左足だけ後見が動かしていたのは何故だろう?

12月21日 「ア・ラ・カルト」

ゲストの尾上菊之丞がお目当て。セリフが入っていないようで、メニューをチラチラ見ながらの芝居が可笑しい。
鶴岡正義の役名で、高泉演じる小泉京子と同姓同名の有名人の話で盛り上がる設定。けど東京ロマンチカの鶴岡雅義って知らんがな。料理教室に通っていながら得意料理が分からなかったり、「3歳からお囃子を習っていて…あれ、僕は何歳なんだろう」とか、芝居としてはグダグダだったのだが、あの物腰で言われるとまあいいかという気になる。あとスーツのボタンがパツパツだったのも気になった。衣装合わせしなかったのかしら。
ピアソラの「リベルタンゴ」に合わせての舞は、静と動が鮮やか。歌が聴けたのもお得感あった。声がいいので。美空ひばりが好きだそうで、最後の場面では「悲しき酒」の一節も披露。(美空ひばりの一番好きな曲、漢字2文字とだけ記憶していて、後で調べたら「落葉」か「裏窓」か?)

ショートショートの芝居は、最後の老夫婦のがほのぼのとして好き。珍しく高級レストランにつれて来るも、妻はもっとおしゃれして来たかったと不満げ。夫からのプレゼントの帯どめに「高すぎるから買うのをやめた」というのが、さもありそうで面白かった。

12月21日 十二月歌舞伎公演「増補双級巴」

吉右衛門が五右衛門をするというので、後学のために観てみた。芸はともかく、お話としては面白さに欠けた。
道中出会った身重の女中をふとしたはずみで殺してしまい、そこで生まれた遺児が五右衛門という発端。女中は殿様のお手付きで、五右衛門が大名の血を引いているという。
が、次の幕では早くも、あまりの手癖の悪さに奉公先で金を盗んで出奔している。養父は腹違いの妹を廓に売って借金を返そうとしたところへ、五右衛門が帰ってきて、大金を渡して妹を身請けしたと思ったら、ふとしたはずみで刺し殺してしまう。唐突な展開だ。
理不尽はまだまだ続く。大詰めでは、なさぬ子(五郎市)に辛く当たる五右衛門の後妻おたき(雀右衛門)。父の留守に義母が間男したと勘違いした五郎市は男を刺すつもりでおたきを殺めてしまい、瀕死のおたきは盗賊稼業に染まらないよう五郎市辛くあたり、追い出そうとしていたと明かす。どんでん返しも唐突すぎて楽しめなかった。
歌舞伎らしい面白さは3幕。遊び暮らす足利義輝(錦之助)が、御台(東蔵)と傾城(雀右衛門)の衣服を替えさせ、傾城が廓言葉で御台のふりをする。逃げる五右衛門の葛籠抜けもあり。お年のせいかのんびりした葛籠抜けで、葛籠も心なしか大きいような…。足はブラブラさせずに、正座のように納めていた。和史くんが葛籠抜けのちょっと前に2階席にやってきて見学してた。
菊之助の秀吉は猿らしくなく、高貴なプリンスの風情で別のお話のようだった。

1219 貞松浜田バレエ団「くるみ割り人形」

御伽の国バージョン。ゲストの吉田旭がくるみ割り人形/王子役。被り物のくるみ割り人形は仕方ないとして、パッと衣装を引き抜いて(というか、左右から引っ張る)現れた王子の姿が。オパール色とでも言おうか、白っぽくキラキラ光る上衣に白のタイツという衣装が気恥ずかしく、直視できない感じ。1幕の終盤、クララ(宮本萌)とのパドドゥは流れるようで心地よく、ようやく踊りを楽しめた気分。クララは元気があってよろしいが、もう少し柔らかさがある方が好みだ。
雪のシーンはバレエ団の名物だけあって、見応え十分。スピード感のある白の踊りがいい。雪の量は去年より少なかったかな。

2幕は花のワルツが一番。パステルカラーの衣装が美しく、踊りも優雅。残念だったのは、御伽の国の王(武藤天華)と女王(廣岡奈美)のグランパドドゥでポーズが短くて慌ただしかったり、フィッシュダイブがスローモーションだったり。ポワントで立つ王妃の肩を掴んで回したのにはビックリした。