2019年9月16日月曜日

9月15日 九月花形歌舞伎

「東海道四谷怪談」
愛之助の民谷伊右衛門、七之助のお岩、中車の直助という、いずれも初役の顔合わせ。
愛之助の伊右衛門は低い声が良く、悪の格好良さを保ち色悪として十分の出来。2幕でお岩を嬲る残酷さ。仁左衛門の伊右衛門と比べると、凄みに欠けるが、予想を上回った。中車の直助とも息のあった様子で、花道で悪巧みをするところは悪友のよう。
七之助は1幕、2幕、3幕と違った顔。武家の娘らしいキリリとした美しさから、病み弱った様子。力ない話し方は亡き勘三郎を思わせる。薬を飲むところはくど過ぎず。「これが私の顔かいなぁ」は哀しみの中に恨みが透ける。3幕はもはや化け物と化し、ケケケッと不気味な笑い。早替りも鮮やかで、与茂七のスッキリとした二枚目ぶりがいい。小平は勘九郎に似てた。
中車は小悪党ぶりが板に付く。
宅悦の千次郎が大健闘。お岩と2人の長場面も堂々と渡り合った。
幕開きと3幕の途中、舞台転換時に亀蔵が舞台番役で解説。忠臣蔵の外伝であることや、省略した三角屋敷のあらすじ。2幕終わりに出てきた壱太郎がお袖でなく、小平女房であるとの説明がありありがたし。危うくお袖だと思ってたよ…。

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