1幕は額縁を連ねたような背景。王子や友人らはシンプルなシャツとスラックス、ドレスのような普段着のような出で立ち。女王のみ、マキシ丈ドレスで威厳を感じさせる。友人らは色付きだが、王家の人たちはモノトーンで、彩度がガラリと変わるのが面白い。オディールのソロやスワンクバーの曲。王子の友だちも個性的で、ヘソ出しで足りない感じの大男と小柄の男はゲイカップル?
2幕は額縁が取り払われ、下手に岩のようなセット。オデットの継母とロットバルトが無音のなか登場。この後も、曲と曲の無音で踊るところが多いのが特徴的。白鳥たちと、継母の手下が絡み、囚われの身であることが明確に。4羽の白鳥は手下ども。悪巧みしてるよう。
オデットと王子のパドドゥの間も、上手に祖父、下手に継母がたたずみ、善と悪の綱引きを暗示。ダンサーは表情豊かで恋の歓喜が丁寧に描かれる。演劇的な一幕だが、踊りのテクニックを見せつけるようなところは少なく、やや物足りない。
3幕は聞きなれない曲も。オディールは別のダンサーで、衣装も振り付けも異なるのに、王子がなぜ騙されたのか不明。
4幕はチラシにも使われた白鳥の群舞。ストレッチ素材のドレスを広げて深くプリエするのはユニークだが、美的ではない。写真に使うなら、上に伸びたポーズの方が魅力的では?
全体的に、王子の等身大の若者の悩み?が丁寧に描かれ、オデットより王子が主役の印象。ダンサーのスキルは高いが、ソロでの見せ場は少なく、群舞のスピード感が心地よかった。振り付けはクラシックの基本がベースで、足首をフレックスにしたり、床を転がったりするところにコンテらしさが感じられた。様式美より、心情描写を重視するようで、ただ見つめ合うようなシーンが多かった。
客席はまばら。興味深い舞台だったが、舞台装置や衣装のシンプルさなどを考えると、SS席2万5000円はお高い。録音にして値段を下げたらとも思ったが、沈黙の多い演出上、生演奏は必須なのかなぁ。
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