2018年8月27日月曜日

8月25日 上方歌舞伎会

「真如」
敵討ちの話だが、当人たちが逡巡するのが新歌舞伎たるところ。結局は敵討ちを果たしてしまうのだけど、メデタシメデタシにはならないのでスッキリ感はない。

母親お節役の當史弥が武家の奥方らしい気品。老け役がよく似合う。数馬の光は線が細いところが若者らしい青さになった。お静のりき弥は恋人に尽くすありがちな娘役だが、硬さがあるのがマイナス…と思ったら、十数年前の上方歌舞伎塾の卒業公演でも同じ役をやったそうな。だったらもっとできてもよさそうだが。敵討ちの当人、源次郎役の當吉郎は珍しい白塗り。気弱な若侍といった役どころなのだろうが、ちょっと恰幅が良すぎるか。若党曽平太の鴈大は若侍に敵討ちをけしかける、ゴリゴリの忠義がうっとおしいほど。(多分役としては正解)一方で変わり身の早さが唐突だった。

「彦山権現誓助太刀」
松十郎の六助は出だし、純朴な人柄が感じられて好印象。時間が経つとちょいちょい二枚目が顔を出していたが、ちょっともっさりしてるくらいが役らしい。千次郎の婆はメイクのせいが、肌の張りが隠れてなくて年寄りらしくなかったが、声のトーン、語り方で婆らしく見せた。お園は折之助。おきゃんな感じで可愛いが、勇ましく闘って恥じらうところのギャップがもう少しほしかった。お忍びの浪人役で初出演の愛治郎が入門したてと思えない堂々たる演技。

「道行恋苧環」
橘姫の千壽が安定感のある美しさ。求女と身長差があるので並んだときは大分背を盗んでいたようだが、ちゃんとバランスが取れていた。求女の翫政はいつもと違うキリリとした男前。柔らかな仕草も様になっていた。身長がもう少しあったら言うことなし。そして、お三輪の吉太朗が大健闘。いじらしさ、嫉妬、健気さと様々な表情を見せてくれた。最後の花道の引っ込み、苧環の糸が切れたのに気付いてからの表情が切なく、物語の奥行を感じさせた。

「元禄花見踊」
道行に出演していた千壽が休憩なしの早変わりで登場。女形で見慣れない美人がいるなと思ったら當史弥だった。

0 件のコメント: