2018年8月19日日曜日

0818 文楽素浄瑠璃の会

「和田合戦女舞鶴 市若初陣の段」 呂太夫・清友。初代若太夫が初演した作品ということで選ばれたのだろうが、美声とは言えない声質だし、清友の、決して派手ではない三味線にもかき消されてしまう声量はどうかと思う。板額の「ほんのほんの…ほんぼんの子ぢゃわいなう」ではさすがに声も出ていて拍手が来ていたけれど、この声量を一段キープしてほしいと切に願う。物語としては、実の子を殺せないから自ら切腹させようという心情に同情できないし、腹を切った後で実は…と打ち明けるのが重ねて酷いと思う。この矛盾を超えて感動させるのは、演者さんの力量なのかもしれないけれど。 「曲輪文章 吉田屋の段」 咲大夫・燕三。歌舞伎から文楽に移された異色の作品とのことで、歌舞伎のほうが見応えあると思った。伊左衛門が育ちのよさそうな感じは充分にあったけど、チャーミングではなかった。宮古路節など他流の影響が多く、節付けを楽しむものなのだろうが、精彩を欠いた咲の声では十分に楽しめず。三味線は華やかな手が多くて、聞きごたえあり。美声の太夫で聞いてみたい。

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