2018年8月15日水曜日

8月12日 八月納涼歌舞伎 第一部

「花魁草」 大地震から逃れて江戸から栃木に下った女郎お蝶(扇雀)と大部屋役者の幸太郎(獅童)。年上であることと、人を殺した過去を持つことに引け目を感じているお蝶は、幸太郎と夫婦になれずにいる。扇雀は年増らしい風情が似合う。幸太郎は村娘が思いを寄せたり、芝居茶屋のおかみが入れあげたりするほどだから、男前なのだろうが、獅童はむしろ人が好さそう。幸太郎が役者に復帰することになり、出世の妨げにならないよう身を引くお蝶。夏芝居にはちょうどいいメロドラマ。 「龍虎」 幸四郎と染五郎の親子共演。引き抜きや早変わりなど、視覚的な工夫は多いが、振付の面白さはなかったような。 「心中月夜星野屋」 青物問屋の照蔵(中車)が相場に失敗し、元芸者のおたか(七之助)に心中を持ち掛ける。橋から一緒に飛び降りようとするところ、おたかは飛び降りずに戻ってきて…。中車、七之助ともに上手く、おたかの母お熊役の獅童も加わって男と女のだまし合い、化かしあいを、軽妙な演技で飄々とみせる。「ふふ、はは…」という歌舞伎らしい笑いのやり取りが楽しく、肩の凝らない気軽な芝居になっていた。

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