2018年8月3日金曜日

0802 あべの歌舞伎 晴の会「謎帯一寸徳兵衛」

夏祭浪花鑑のパロディで登場人物の名前が多く共通する。主人公の団七はとにかく悪い男。妻を亡くして幼い娘がいるのだが、可愛がっている様子がまるでない。松十郎の冷酷な色男ぶりは昨年の伊右衛門のときよりも勝っていて、お梶を殺すところの表情なんかゾクゾクした。千寿はお辰とお梶の二役。早変わりもあるのだが、キャラクターがはっきりしているのはさすが。千次郎の徳兵衛とのカップルは意外感があって新鮮だった。千次郎は狂言作者、亀谷東斎と義平治、徳兵衛の三役で、演技の幅が広いなあとつくづく。お市役が団七の悪事を明らかにする結構重要な役どころで、子役が上手かった。香炉の行方や草履のトリック?などややこしいところを上手くまとめていて、全体としては面白かったという感想。 2時間余りに短縮した影響もあるのだろうが、筋立てには粗さも目立ち、予備知識なしではついていけないかも。団七が強引に妻にしたお梶に、2幕になったとたん冷たく当たるのは何でかとか、お梶を殺すのは偶然からなのか、明確な殺意があるのか不明だとか、徳兵衛、お辰夫婦がお市を養女に迎えるのはいいとして、お梶の子どもではないし、実の父親である団七を殺してしまったことをどう説明するのかとか、いろいろモヤモヤが残った。

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