2018年8月31日金曜日
0829 宝塚星組「東離劍遊紀」
衣装や世界観がゲームっぽいと思ったら、観ていた人が「FFみたい」と。中国風の名前が覚えにくく、誰が誰やら。紅ゆずる演じる主人公(?)凜雪鴉(リンセツア)は飄々とした雰囲気が紅のキャラに合っているが、敵か味方か立ち位置がはっきりせず、物語をぴっぱるというより、かき混ぜる役どころ。これが主人公?ヒロイン丹翡(タンヒ)の綺咲愛里が最後、礼真琴演じる捲殘雲(ケンサンウン)とくっつく展開も意外といえば意外だ。役の中では礼が少年漫画の主人公のようなまっすぐさが良かった。
0827 匿名劇壇「笑う茶化師と事情女子」
盗作問題から自暴自棄になり自殺を考える元劇作家、広告会社でデザイナーとして働くイラストレーターは恋人が浮気したらしい。その上司はクライアント企業の女とつきあっているが、結婚から逃げている。降板騒ぎをおこした元女優は怪しげなサプリメントに頼り、堅気になった元ラッパーと暮らしている。軽妙なセリフのやり取りは笑えるのだが、ネガティブなセリフが多く、モヤモヤした気分が残る。4組のカップルの話が少しずつリンクして、ラストにつながる構成が上手い。
2018年8月27日月曜日
8月26日 内子座文楽 午後の部
解説は小住。独特の間合いが私には面白かったが、お客さんの半分くらいは右から左だったみたい。聞きどころ見所をちゃんと押さえてくれてたのに。
「寺入りの段」は芳穂・勝平。菅秀才の声が低くちょっと年上みたい。
「寺子屋の段」は前が呂・清介、後が呂勢・藤蔵。何でこの順番?襲名披露の雪辱を晴らして後半は自分が、もっと言っちゃえば前段俺が語るくらいの意欲を見せて欲しかった。で、やはり声量がなく、薄膜で包んだようなので、首実検の迫力が足りない。ここは床から圧が感じられるくらいでないと。
後半の呂勢になってようやく安心。が、半端なところで変わったので、語り出しからかなりのハイテンション。小太郎の最期を語る松王と源蔵のやり取りなぞ情があってよかったのだが、もっとと思ってしますのは望みすぎ?いろは送りの千代の振り付けは勘十郎の本領発揮。なんて可愛い動き、と心の声がダダ漏れのご婦人がいた。
「団子売」
希、小住、碩に清馗、清丈、清允。清馗がシンだと何で三味線がもっちゃりするのか…。碩が若手とは思えない貫禄。
「寺入りの段」は芳穂・勝平。菅秀才の声が低くちょっと年上みたい。
「寺子屋の段」は前が呂・清介、後が呂勢・藤蔵。何でこの順番?襲名披露の雪辱を晴らして後半は自分が、もっと言っちゃえば前段俺が語るくらいの意欲を見せて欲しかった。で、やはり声量がなく、薄膜で包んだようなので、首実検の迫力が足りない。ここは床から圧が感じられるくらいでないと。
後半の呂勢になってようやく安心。が、半端なところで変わったので、語り出しからかなりのハイテンション。小太郎の最期を語る松王と源蔵のやり取りなぞ情があってよかったのだが、もっとと思ってしますのは望みすぎ?いろは送りの千代の振り付けは勘十郎の本領発揮。なんて可愛い動き、と心の声がダダ漏れのご婦人がいた。
「団子売」
希、小住、碩に清馗、清丈、清允。清馗がシンだと何で三味線がもっちゃりするのか…。碩が若手とは思えない貫禄。
8月26日 内子座文楽 午前の部
解説は希。桜丸切腹の段はタイトルで内容が分かってるといいながら、「桜丸がどうなるか観てのお楽しみ」というのはおかしいだろう。もうちょっと気の利いたこと言えないものか。
「茶筅酒の段」は芳穂・勝平。勝平の三味線はくっきりしてていいなあ。
「喧嘩の段」は希・清馗。オクリであれっというミスタッチがあり、不安な出だし。勇壮な喧嘩の場面はこの人のニンではないように思うのだが、そうも言ってられないのか。頑張っているのはよく分かるのだが、松王の低音がクッキーモンスターか何かのよう。
人形は玉助が梅王。右手を持ち替えるときにもたついたのが目立った。松王の玉男と並ぶと未熟さが目立つ。喧嘩だから派手でナンボかもしらんが、人形よりドヤ顔が前に出るのもどうかと思う。八重の勘弥を見ていて妙な色っぽさを感じた。八重って幼さの残る女房かと思っていたので新鮮だった。
「桜丸切腹の段」は千歳・富助。千歳太夫の芸が大きくなっている気がする。もう切場語りになっていいのではないだろうか。プログラムのインタビューもそんな扱いだった。白太夫の嘆き、八重の悲痛がくっきり描かれ、心が揺さぶられる。節もコトバも鮮やかで、義太夫節を聞いたという満足感があった。
「茶筅酒の段」は芳穂・勝平。勝平の三味線はくっきりしてていいなあ。
「喧嘩の段」は希・清馗。オクリであれっというミスタッチがあり、不安な出だし。勇壮な喧嘩の場面はこの人のニンではないように思うのだが、そうも言ってられないのか。頑張っているのはよく分かるのだが、松王の低音がクッキーモンスターか何かのよう。
人形は玉助が梅王。右手を持ち替えるときにもたついたのが目立った。松王の玉男と並ぶと未熟さが目立つ。喧嘩だから派手でナンボかもしらんが、人形よりドヤ顔が前に出るのもどうかと思う。八重の勘弥を見ていて妙な色っぽさを感じた。八重って幼さの残る女房かと思っていたので新鮮だった。
「桜丸切腹の段」は千歳・富助。千歳太夫の芸が大きくなっている気がする。もう切場語りになっていいのではないだろうか。プログラムのインタビューもそんな扱いだった。白太夫の嘆き、八重の悲痛がくっきり描かれ、心が揺さぶられる。節もコトバも鮮やかで、義太夫節を聞いたという満足感があった。
8月25日 上方歌舞伎会
「真如」
敵討ちの話だが、当人たちが逡巡するのが新歌舞伎たるところ。結局は敵討ちを果たしてしまうのだけど、メデタシメデタシにはならないのでスッキリ感はない。
母親お節役の當史弥が武家の奥方らしい気品。老け役がよく似合う。数馬の光は線が細いところが若者らしい青さになった。お静のりき弥は恋人に尽くすありがちな娘役だが、硬さがあるのがマイナス…と思ったら、十数年前の上方歌舞伎塾の卒業公演でも同じ役をやったそうな。だったらもっとできてもよさそうだが。敵討ちの当人、源次郎役の當吉郎は珍しい白塗り。気弱な若侍といった役どころなのだろうが、ちょっと恰幅が良すぎるか。若党曽平太の鴈大は若侍に敵討ちをけしかける、ゴリゴリの忠義がうっとおしいほど。(多分役としては正解)一方で変わり身の早さが唐突だった。
「彦山権現誓助太刀」
松十郎の六助は出だし、純朴な人柄が感じられて好印象。時間が経つとちょいちょい二枚目が顔を出していたが、ちょっともっさりしてるくらいが役らしい。千次郎の婆はメイクのせいが、肌の張りが隠れてなくて年寄りらしくなかったが、声のトーン、語り方で婆らしく見せた。お園は折之助。おきゃんな感じで可愛いが、勇ましく闘って恥じらうところのギャップがもう少しほしかった。お忍びの浪人役で初出演の愛治郎が入門したてと思えない堂々たる演技。
「道行恋苧環」
橘姫の千壽が安定感のある美しさ。求女と身長差があるので並んだときは大分背を盗んでいたようだが、ちゃんとバランスが取れていた。求女の翫政はいつもと違うキリリとした男前。柔らかな仕草も様になっていた。身長がもう少しあったら言うことなし。そして、お三輪の吉太朗が大健闘。いじらしさ、嫉妬、健気さと様々な表情を見せてくれた。最後の花道の引っ込み、苧環の糸が切れたのに気付いてからの表情が切なく、物語の奥行を感じさせた。
「元禄花見踊」
道行に出演していた千壽が休憩なしの早変わりで登場。女形で見慣れない美人がいるなと思ったら當史弥だった。
敵討ちの話だが、当人たちが逡巡するのが新歌舞伎たるところ。結局は敵討ちを果たしてしまうのだけど、メデタシメデタシにはならないのでスッキリ感はない。
母親お節役の當史弥が武家の奥方らしい気品。老け役がよく似合う。数馬の光は線が細いところが若者らしい青さになった。お静のりき弥は恋人に尽くすありがちな娘役だが、硬さがあるのがマイナス…と思ったら、十数年前の上方歌舞伎塾の卒業公演でも同じ役をやったそうな。だったらもっとできてもよさそうだが。敵討ちの当人、源次郎役の當吉郎は珍しい白塗り。気弱な若侍といった役どころなのだろうが、ちょっと恰幅が良すぎるか。若党曽平太の鴈大は若侍に敵討ちをけしかける、ゴリゴリの忠義がうっとおしいほど。(多分役としては正解)一方で変わり身の早さが唐突だった。
「彦山権現誓助太刀」
松十郎の六助は出だし、純朴な人柄が感じられて好印象。時間が経つとちょいちょい二枚目が顔を出していたが、ちょっともっさりしてるくらいが役らしい。千次郎の婆はメイクのせいが、肌の張りが隠れてなくて年寄りらしくなかったが、声のトーン、語り方で婆らしく見せた。お園は折之助。おきゃんな感じで可愛いが、勇ましく闘って恥じらうところのギャップがもう少しほしかった。お忍びの浪人役で初出演の愛治郎が入門したてと思えない堂々たる演技。
「道行恋苧環」
橘姫の千壽が安定感のある美しさ。求女と身長差があるので並んだときは大分背を盗んでいたようだが、ちゃんとバランスが取れていた。求女の翫政はいつもと違うキリリとした男前。柔らかな仕草も様になっていた。身長がもう少しあったら言うことなし。そして、お三輪の吉太朗が大健闘。いじらしさ、嫉妬、健気さと様々な表情を見せてくれた。最後の花道の引っ込み、苧環の糸が切れたのに気付いてからの表情が切なく、物語の奥行を感じさせた。
「元禄花見踊」
道行に出演していた千壽が休憩なしの早変わりで登場。女形で見慣れない美人がいるなと思ったら當史弥だった。
2018年8月20日月曜日
8月19日 第3回女流義太夫 竹本駒之助の至芸
「冥途の飛脚 封印切の段」
出だしはそれほどでもと思っていたが、八右衛門や忠兵衛の詞になってから目が覚めたよう。特に、封印を切るに至る忠兵衛の畳みかけるようなセリフの鮮やかさ。不思議と、梅川よりも男性陣のほうが情感がこもっているように感じた。見台をバンっと叩くのは素浄瑠璃の技なのか。津賀花の三味線も音がクリアでよかった。
2018年8月19日日曜日
0818 文楽素浄瑠璃の会
「和田合戦女舞鶴 市若初陣の段」
呂太夫・清友。初代若太夫が初演した作品ということで選ばれたのだろうが、美声とは言えない声質だし、清友の、決して派手ではない三味線にもかき消されてしまう声量はどうかと思う。板額の「ほんのほんの…ほんぼんの子ぢゃわいなう」ではさすがに声も出ていて拍手が来ていたけれど、この声量を一段キープしてほしいと切に願う。物語としては、実の子を殺せないから自ら切腹させようという心情に同情できないし、腹を切った後で実は…と打ち明けるのが重ねて酷いと思う。この矛盾を超えて感動させるのは、演者さんの力量なのかもしれないけれど。
「曲輪文章 吉田屋の段」
咲大夫・燕三。歌舞伎から文楽に移された異色の作品とのことで、歌舞伎のほうが見応えあると思った。伊左衛門が育ちのよさそうな感じは充分にあったけど、チャーミングではなかった。宮古路節など他流の影響が多く、節付けを楽しむものなのだろうが、精彩を欠いた咲の声では十分に楽しめず。三味線は華やかな手が多くて、聞きごたえあり。美声の太夫で聞いてみたい。
2018年8月15日水曜日
0815 レインマン
藤原竜也の演技はいつも通りなのだが、マシンガントークのようなチャーリーのセリフのテンポがよく、時間を感じさせなかった。レイモンドは椎名桔平。やりすぎない演技で、可愛さがあった。
アンサンブルが揃いの衣装を着て職人のようにベッドやテーブルなどを出し入れする演出が面白かった。
8月12日 八月納涼歌舞伎 第一部
「花魁草」
大地震から逃れて江戸から栃木に下った女郎お蝶(扇雀)と大部屋役者の幸太郎(獅童)。年上であることと、人を殺した過去を持つことに引け目を感じているお蝶は、幸太郎と夫婦になれずにいる。扇雀は年増らしい風情が似合う。幸太郎は村娘が思いを寄せたり、芝居茶屋のおかみが入れあげたりするほどだから、男前なのだろうが、獅童はむしろ人が好さそう。幸太郎が役者に復帰することになり、出世の妨げにならないよう身を引くお蝶。夏芝居にはちょうどいいメロドラマ。
「龍虎」
幸四郎と染五郎の親子共演。引き抜きや早変わりなど、視覚的な工夫は多いが、振付の面白さはなかったような。
「心中月夜星野屋」
青物問屋の照蔵(中車)が相場に失敗し、元芸者のおたか(七之助)に心中を持ち掛ける。橋から一緒に飛び降りようとするところ、おたかは飛び降りずに戻ってきて…。中車、七之助ともに上手く、おたかの母お熊役の獅童も加わって男と女のだまし合い、化かしあいを、軽妙な演技で飄々とみせる。「ふふ、はは…」という歌舞伎らしい笑いのやり取りが楽しく、肩の凝らない気軽な芝居になっていた。
8月11日 阿佐ヶ谷スパイダース「MAKOTO」
演劇の面白さを満喫。ちょっと毒のあるセリフで笑わせ、ふっと我に返って考えさせる。上手い役者ばかりなのか、配役の妙なのか、アンサンブルの巧みさも劇団ならでは。長屋の中庭のようなセットがそのままで工事現場になったり、医者の家になったり、主人公の部屋になったり。もっと抽象的なセットにしてもよさそうなものなのに、写真を張り付けたようなリアルさのあるセットが邪魔にならなかった。
医療ミスで妻を亡くしたらしい男が、忘れるために街を疾走する。担当医の家に押しかけたり、拉致した医者を妻に見立てたり、突拍子もない行動の裏にやるせない悲しみを感じさせる中村まことの演技。遺品を処分すると爆発的なエネルギーを発し、突如SFの世界になる。未曽有のエネルギーを原発に持っていこうというところには、唐突さを感じた。
8月11日 新作歌舞伎「NARUTO」
上演時間は2時間余だったが、全72巻の物語がよくまとまっていて、話の筋は分かりやすい。あまり歌舞伎らしくはなかったのは、セリフか現代劇だったのと、ロック音楽のためか。サスケの兄などの重要な役を現代劇の役者が演じていたせいもあるかも。主人公ナルトの口癖も、アニメならいいのかもしれないが、舞台にかかると違和感。巳之助が二役で演じたナルトの父の方が若々しく好青年に見えたよ。
やたらとツケが多用されていて、うるさいくらい。立ち回りは派手だったが、本水は取ってつけたようだったのが残念だ。サスケとナルトの最後の戦いにあたって「場所を変えよう」と言って本水のセットに移ったり、水に飛び込んだりするのがミエミエで。 大蛇丸の笑三郎が、しわがれた声で存在感のある悪役。影のあるハンサムが意外に似合った。花道に出たとき、横顔が愛之助に似て見えて驚いた。ナルトの母とのギャップも楽しませてくれた。サクラ役の梅丸はアニメキャラのような可愛さ。
やたらとツケが多用されていて、うるさいくらい。立ち回りは派手だったが、本水は取ってつけたようだったのが残念だ。サスケとナルトの最後の戦いにあたって「場所を変えよう」と言って本水のセットに移ったり、水に飛び込んだりするのがミエミエで。 大蛇丸の笑三郎が、しわがれた声で存在感のある悪役。影のあるハンサムが意外に似合った。花道に出たとき、横顔が愛之助に似て見えて驚いた。ナルトの母とのギャップも楽しませてくれた。サクラ役の梅丸はアニメキャラのような可愛さ。
0810 劇団鹿殺し「俺の骨をあげる」
ストロングスタイル歌劇と銘打っているが、歌劇というよりライブショー。芝居と歌謡ショーが交互に繰り広げられる感じで、菜月チョビのライブショーのよう。私には彼女の魅力がわからないので、入り込めなかったが。覆面プロレスラーの娘の成長物語?出会う男たちによってレスラーになったり、卓球選手になったり、バンドのボーカルになったりと紆余曲折しつつも、結局は人生の主役になりたいともがく…話なのかしら。やりたいことをてんこ盛りにした感じで、勢いはあるのかなあ。テニミュやディズニーなどパロディが多いのも、学園祭のノリみたいで。主人公の父親役で高嶋政宏が出ていたのだが、生かし切れていなかったように思った。オープニングのダンスシーンが疲れた様子で。
0804 第一回竹之助の会
「歌しぐれ」
母娘再会のええ人情話。なさぬ子の嫁入りを願うおれん役の吉弥がいいのはもちろん、お縫役の竹之助が大健闘。この役を演じるには若すぎると思うのだが、娘に一目会いたい母心、前夫への恨みをたっぷりと見せた。頭巾姿だと下ぶくれに見えて、見た目では損をしていたのが残念。
娘お町役の河合宥季の可愛さが際立っていた。
口上は竹三郎。ところどころろれつが怪しかったりもしたが、「この竹之助の会が、2回、3回、4回…と続きますよう」と師弟愛に溢れる暖かい口上だった。
「雷の道行き」
新内節に新たに振り付けしたそうで、雷さまと傾城の目にも楽しい踊り。竹之助も美しかった。
最後、挨拶に立った竹之助。皆への感謝を何度も口にし、「これが終わりではなく、明日からが始まり」と語る姿は好感度高し。師匠、竹三郎の誕生日だそうで、サプライズのバースデーケーキと猿之助からのメッセージが。「死なないでください」という憎まれ口は皆の願いだね。
母娘再会のええ人情話。なさぬ子の嫁入りを願うおれん役の吉弥がいいのはもちろん、お縫役の竹之助が大健闘。この役を演じるには若すぎると思うのだが、娘に一目会いたい母心、前夫への恨みをたっぷりと見せた。頭巾姿だと下ぶくれに見えて、見た目では損をしていたのが残念。
娘お町役の河合宥季の可愛さが際立っていた。
口上は竹三郎。ところどころろれつが怪しかったりもしたが、「この竹之助の会が、2回、3回、4回…と続きますよう」と師弟愛に溢れる暖かい口上だった。
「雷の道行き」
新内節に新たに振り付けしたそうで、雷さまと傾城の目にも楽しい踊り。竹之助も美しかった。
最後、挨拶に立った竹之助。皆への感謝を何度も口にし、「これが終わりではなく、明日からが始まり」と語る姿は好感度高し。師匠、竹三郎の誕生日だそうで、サプライズのバースデーケーキと猿之助からのメッセージが。「死なないでください」という憎まれ口は皆の願いだね。
0804 ウォーターバイザスプーンフル
尾上右近の初現代劇。きついパーマ今時の若者姿は新鮮だが、何だか好きになれない感じ。発声もあまり良くないし。従姉妹役の南沢奈央のキンキンした喋り方もあって、耳には辛い。
インターネット上のチャットを舞台で表現するなど、面白いところもあったが、総じて分かりづらい。プエルトリコやアジア系など、米国におけるマイノリティをオール日本人で演じるのに無理があるのだろう。
インターネット上のチャットを舞台で表現するなど、面白いところもあったが、総じて分かりづらい。プエルトリコやアジア系など、米国におけるマイノリティをオール日本人で演じるのに無理があるのだろう。
2018年8月4日土曜日
0803 アンナ・クリスティ
13年ぶりの舞台という篠原涼子に期待したのだが、甲高い声ややや舌足らずな口調が聞きづらく、アンナという人物に感情移入できなかった。初演された1921年の女性観や男尊女卑的なセリフは現代とギャップがあって、そのギャップを埋め切れていなかったことも物語に入り込めなった一因か。時代は下るが、「欲望という名の列車」のブランチには共感できるのに。マット役の佐藤隆太は人がよさそうなイメージで、マットにはもっと強引な男の魅力が欲しい。アンナの父、クリス役のたかお鷹はしょうもない親父らしかった。
薄い布を斜めに巻き上げる形の幕に雰囲気があり、場面転換時の創造を掻き立てられた。
2018年8月3日金曜日
0802 あべの歌舞伎 晴の会「謎帯一寸徳兵衛」
夏祭浪花鑑のパロディで登場人物の名前が多く共通する。主人公の団七はとにかく悪い男。妻を亡くして幼い娘がいるのだが、可愛がっている様子がまるでない。松十郎の冷酷な色男ぶりは昨年の伊右衛門のときよりも勝っていて、お梶を殺すところの表情なんかゾクゾクした。千寿はお辰とお梶の二役。早変わりもあるのだが、キャラクターがはっきりしているのはさすが。千次郎の徳兵衛とのカップルは意外感があって新鮮だった。千次郎は狂言作者、亀谷東斎と義平治、徳兵衛の三役で、演技の幅が広いなあとつくづく。お市役が団七の悪事を明らかにする結構重要な役どころで、子役が上手かった。香炉の行方や草履のトリック?などややこしいところを上手くまとめていて、全体としては面白かったという感想。
2時間余りに短縮した影響もあるのだろうが、筋立てには粗さも目立ち、予備知識なしではついていけないかも。団七が強引に妻にしたお梶に、2幕になったとたん冷たく当たるのは何でかとか、お梶を殺すのは偶然からなのか、明確な殺意があるのか不明だとか、徳兵衛、お辰夫婦がお市を養女に迎えるのはいいとして、お梶の子どもではないし、実の父親である団七を殺してしまったことをどう説明するのかとか、いろいろモヤモヤが残った。
0801 TENTH
シアタークリエ10周年の公演を関西に持ってきたというもので、祝祭感が場違いな感じだ。1幕はミュージカル「ニュー・ブレイン」のダイジェスト版。子ども向け番組の作曲家に石丸幹二。Tシャツにチェックのシャツを羽織ったカジュアルな衣装が似合わず、緩んだ身体が辛い。ポップな音楽もいまいちだ。恋人役の畠中洋?が編み込みのような髪型だったのが気になった。長髪なの?
。ホームレス役は意味不明がよくわからなかったが、マルシアは歌が上手かった。
2幕は冒頭に石丸と伊礼彼方の歌の後、「RENT」のガラコン。石丸は正装のほうが断然素敵だ。RENTのキャストは知っている人がいなかったけれど、歌は達者。ロジャー役がさえないバンドマンみたいだったり、ミミ役のジェニファーが瀕死のエイズ患者なのに豊満ボディだったり、トークが酷く詰まらなかったのはさておき、曲の力は偉大だ。
7月28日ミュージカル「エビータ」
アンドリュー・ロイド・ウェーバーの曲の素晴らしさよ。映画を見たのは20年も昔なのにどの曲も覚えていた。エビータ役のエマ・キングストンはよく通る声で音程もしっかりしているのだが、今ひとつ心に響かない。「don't cry for me Algentina」は流石に曲の力でグッときたが。チェ・ゲバラ役のラミン・カリムルーはさすがの歌唱だが、いかんせん主役じゃないのよねー。ペロン役の存在感が薄くて、エビータのお飾りみたいだったのも残念なところ。
白黒の本人映像を映す演出は悪くないが、暗転ばかりが単調。エビータやチェのソロで、何もないステージにピンスポットだけというのも素っ気ない。最後、エビータが死んで、遺体が17年間行方不明――で終わるのが唐突に感じた。あと、カーンコールで宝塚のようなフィナーレが欲しいと思ってしまったよ。
白黒の本人映像を映す演出は悪くないが、暗転ばかりが単調。エビータやチェのソロで、何もないステージにピンスポットだけというのも素っ気ない。最後、エビータが死んで、遺体が17年間行方不明――で終わるのが唐突に感じた。あと、カーンコールで宝塚のようなフィナーレが欲しいと思ってしまったよ。
0727 京都バレエ団「ル・レーヴ」
「パキータ」
セットなしで踊りだけを魅せるのはハードルが高いが、懸命さが感じられて好印象。
「ル・レーヴ」
1890年初演の日本が舞台の幻のバレエ。漁村らしい、水辺の村は濃い緑や紫など浮世絵を思わせる色彩で描かれる。甚兵衛のような上衣に細身のパンツというスタイルで現れた主役のタイコ(カール・パケット)は村人だから仕方ないとはいえ、あまりにも質素な衣装だ。金髪を髷風に結わえているのだが、金髪や彫りの深い顔立ちが違和感を覚えるが、初演は全て西洋人だったわけで、ある意味当時はこんな風だったのかと思い直す。ヒロイン、ダイタはオニール八菜。細く伸びた腕にスラリとした脚が美しい。ピンクの上衣は少しでも華やかさを出すためだろうが、チグハグさが勝ったか。2幕の晴着は既製品のキモノのよう。踊るときに前がはだけるのがいただけない。横にスリットを入れた方がよかったのでは。
衣装が良かったのは、イザナミ。白地に赤や緑、青といった原色が配され、奈良時代を思わせる古風なスタイル。踊ると袖や裾が翻ってきれいだった。サクマも黒の裃で、ちょっと悪い男の魅力。
振り付けは正当なスタイルで悪くはないが、際立つものもない。腕を隠した衣装でもなお美しいオニールのスタイルは特筆すべきか。
肝心の大扇のセットは光線で代用されたが、光をかき分けるようにイザナミが登場するのはいい効果だった。
45分ほどの小品としては楽しめたし、再演したら良くなりそう。
「バヤディール」
3幕のみで、オニールのガムザッティにパケットのゾロル。オニールの美しさは文句なしだが、パケットはお疲れ?動きにキレがなく、体つきもモッサリして見えた。群舞で子どもの一団やら、ゾロゾロ出てきて、人数の豪華さがすごかった。
「ル・レーヴ」
1890年初演の日本が舞台の幻のバレエ。漁村らしい、水辺の村は濃い緑や紫など浮世絵を思わせる色彩で描かれる。甚兵衛のような上衣に細身のパンツというスタイルで現れた主役のタイコ(カール・パケット)は村人だから仕方ないとはいえ、あまりにも質素な衣装だ。金髪を髷風に結わえているのだが、金髪や彫りの深い顔立ちが違和感を覚えるが、初演は全て西洋人だったわけで、ある意味当時はこんな風だったのかと思い直す。ヒロイン、ダイタはオニール八菜。細く伸びた腕にスラリとした脚が美しい。ピンクの上衣は少しでも華やかさを出すためだろうが、チグハグさが勝ったか。2幕の晴着は既製品のキモノのよう。踊るときに前がはだけるのがいただけない。横にスリットを入れた方がよかったのでは。
衣装が良かったのは、イザナミ。白地に赤や緑、青といった原色が配され、奈良時代を思わせる古風なスタイル。踊ると袖や裾が翻ってきれいだった。サクマも黒の裃で、ちょっと悪い男の魅力。
振り付けは正当なスタイルで悪くはないが、際立つものもない。腕を隠した衣装でもなお美しいオニールのスタイルは特筆すべきか。
肝心の大扇のセットは光線で代用されたが、光をかき分けるようにイザナミが登場するのはいい効果だった。
45分ほどの小品としては楽しめたし、再演したら良くなりそう。
「バヤディール」
3幕のみで、オニールのガムザッティにパケットのゾロル。オニールの美しさは文句なしだが、パケットはお疲れ?動きにキレがなく、体つきもモッサリして見えた。群舞で子どもの一団やら、ゾロゾロ出てきて、人数の豪華さがすごかった。
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