2018年5月2日水曜日

0427 唐組「吸血姫」

屋台崩しのようなオープニングから、勢いのある舞台。冒頭、ステージで歌う白衣の高石かつえ(銀粉蝶)の存在感に圧倒される。美しいけどどこか禍々しく、力強くも儚い。1幕はほぼ出ずっぱりで、銀粉蝶に刺激されてか、白衣の天使隊の2人も力強い演技。病院長、袋小路浩三の大鶴佐助が危なっかしくも妙に目の離せない存在感。後で、唐十郎の息子だと聞いて納得。ちょっとぽっちゃりして少年らしさの残る外見が役に合っている。引っ越し看護婦、海之ほおずきに、同じく唐の娘の大鶴美仁音。人力車に乗っての登場から、どこか古風で深窓の令嬢のような凛とした気品があり、涼やかな声もいい。肥後守の福本雄樹がハッとするような美青年。出番は短めで、浩三とほおずきの当て馬みたいというのも、贅沢な配役だ。藤井由紀も、読売演劇賞を受賞したばかりだというのに、出番が少なく、残念。浩三に攫われる人妻、ユリ子役で、よろめき婦人からべらんめえ調に豹変したり、電話ボックスに出没したりと、印象的な役ではあった。下着姿になると、デコルテの美しさが際立つ。
丁寧にストーリーを追うという展開ではないなで、脈絡なく唐突に感じられるところも多いが、息をつかせぬ怒涛の展開に呑み込まれるよう。途中、労働でなく金利が富をもたらす社会への批判などもあり、最近のビットコイン騒動を予言するかのよう。(今の日本では金利はつかないけど、虚業という意味で)
女に天才はいないとか、今ならNGだろうセリフもあるが、本質的には今にも響く作品である。

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