2018年5月6日日曜日

0505 「夢と錯乱」

クロード・レジが93歳の時に演出した最後の作品。約1時間ほどの短い舞台だが、終始不快感が刺激された。 会場に入ったときから薄暗い客席。明かりを最小限に絞った舞台は、薄暗がりの中にぼんやりとしか見えない役者に否が応でも集中力を要求される。涎が飛んできそうな口元から発せられるセリフは、薬物中毒者の恍惚の表現なのか。ゆっくりと月面を移動するような動きはコンテンポラリーダンスのようでもあるが、俳優のヤン・ブードーは弛緩した体つきの冴えない中年といった外見で、美しさとは遠い。どうして彼が配役されたのか。照明はわずかな陰影で表情を変え、吉本有輝子の繊細な仕事が素晴らしかった。

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