2018年5月24日木曜日

0523 人形の家

主演の北乃きいに期待していたのだが、最後まで役の違和感が拭えなかった。セリフにリアリティが感じられず、たぶん、現代の感覚と100年前の古典のギャップなのだろう。夫役の佐藤アツヒロも同様。プログラムのインタビューを読んでも当時の夫婦関係や女性の社会的地位を理解した上で演じるというより、現代の感覚でとらえている様子がうかがえた。古典を演じる場合、そのあたりを乗り越えないと現代の私たちにはリアリティをもって届かないのだと思う。ノラの友人、リンで夫人役の大空ゆうひが地に足の着いた安定感のある演技で、クロクスタ役の松田賢二はややオーバーなほどの悪役ぶりだが、声がいいので舞台に映える。ランク役の淵上泰史、女中役の大浦千佳も悪くなかった。つまりは、主役の二人に説得力がなかったということに尽きるのだろうか。演出の一色隆司は映像出身だそうで、暗転からストップモーションで場面転換するところなどにその片鱗がうかがえた。あまり効果的とは思わなかったが。俗っぽい選曲や、衣装のセンスもいまいち。

0 件のコメント: