2011年3月7日月曜日

3月6日 絵本合法衢

仁左衛門が大学之助、太平次の悪役2役。時代物の悪役のような大学之助と、世話物の太平次と全く別人のような2人で、どちらも迫力があって悪の権化という感じ。こんなに何人も人が殺される芝居ってほかにないよね。子供も大人も、敵も味方も、次から次へと、しかも、虫でも追い払うようにあっさりと切り捨ててしまうのが、なんともやりきれない。三五大切なんかの、一場面で5人切りとかいう陰惨さとは違って、断続的に続く悪の姿というのは、心にもやもやしたものが残る気がする。
あんなにたくさん殺したのに、最後の敵討されるところはいやにあっさりだし。あれだけの悪事に報いるには、もっと、しっかり殺され(ってのも変な表現だけど)ないと、見ているほうのカタルシスがないような。

最後のシーン、大学之助が着物を肩脱ぐところで、腕が抜けずになんだかもたもた…。えいや、とばかりに、白い襦袢(?)も縫いでしまっていたけど、あれは脱ぎすぎ?黒いメッシュのようなの(鎖帷子?)だけになってしまった姿が、ちょっと締まらない感じだった。仁左衛門でも失敗することあるんだ、という思いと、それでも、ミスと感じさせずに芝居を続けてしまうのはさすがだなあと思った。まだ2日めだから、手順が慣れてなかったのかな。

うんざりお松は時蔵。赤姫の印象が強い役者さんだけど、こういう悪役も素敵だった。悪婆の代表的な役ということだけど、太平次に気に入られたい一心で、と思うといじらしくもある。

愛之助の与兵衛は、なんだか魅力のない役だった(役者のせいというより、台本としてそうなのだろうけど)。敵討をしなければいけないのに、病気になっちゃったりだとか、妻のお亀を守ってやれずに敵のところに妾にやったりだとか、なんとも頼りない男だ。

2011年2月13日日曜日

2月13日 二月大歌舞伎「盟三五大切」

2日続けての大阪松竹座。夜の部は仁左衛門を堪能できた。
とはいえ…「三五大切」てこんな話だったっけ…?前に見た時と全然印象が違うんだけど??こんなに陰惨な話をどうして私は、人情話と思っていたのだろうか????
五人殺しの場とか、小万の殺しの場面とか、観たら思い出したけど、タイトルをみただけでは結びつけられなかった…orz。
ともかく!!!今回は源五郎の怨みの深さや執念、冷徹さなんかが物凄く伝わってきて、身震いするほど。仁左衛門の源五郎は、一旦許して帰ったと見せかけて復讐に訪れたり、1年以上も三五郎と小万を追い続けたりと、狂気の様が恐ろしい。そのくせ、小万の生首を胸に抱いて慈しむような表情を見せたり、花道で涙を浮かべたりと、情の深さも見せる。花道横の席だったので、表情がよく見えて、語りかけるように心情が伝わってきた。
なんかでも、この話って、理不尽のオンパレード。皆がやらなくてもいいことをやって不幸になっていくよなぁ…。短気は損気というか、先走らずに周りをよく見ましょうと言いたい!
愛之助は昼とはまた違って、小ずるいけど憎めない、すっきりした色男を好演。江戸弁も違和感はなかったなぁ。出足の、小万といちゃつくところとか、色気も十分(まあ、船上の濡れ場は、もっとやれぃ!と思ったけどww大先輩相手じゃあ、難しいか)
小万の芝雀は、ちょっと幸薄そうな風情が役に合って良かった。隣に座ってた奥様も言ってたけど、孝太郎だったらこうはならなかったかも。
松也の菊乃は昼よりもさらに良し。芝雀よりも全然年下なのに、道理をわきまえた先輩芸者みたいな風情すらあったような。
でもさあ…、あんだけ散々したひとが「さあそうですか」と討ち入に参加してしまうのは腑に落ちない。全てはあんたの思い込みが招いたんでしょうがっ!

2月12日 二月大歌舞伎「彦山権現誓助剣」

全体的に大満足。もちろん仁左衛門が座頭なのだから、面白くないはずはないのだが、期待していた以上に堪能した。
なにより、愛之助の悪役(京極内匠)が良かった。悪いヤツと判っているのに、惚れちゃいそうな、ゾクゾクするような色気を感じた。実は、一幕目では、今ひとつ押しが弱いというか、嫌がるお菊への攻めようが甘くて、悪役としてちょっと物足りなく感じたのだが、なかなかどうして。三幕の殺しの場面なんて、いやらしくてすごく色っぽかった。死んだお菊の顔を覗き込んで、口付けるかってところなんか、凄くドキドキ。
この存在感のまま、四幕の敵討ち(される)ところは、憎たらしい仇ぶり。愛之助は古典的な二枚目はカッコいいのだが、三枚目とか、癖のある役はあんまり良くなくて、得意不得意の差が大きいような気がしていたけど、いい意味で裏切られた。新境地開拓といったところか。
仁左衛門の六助が格好いいのは、予想どおり。実年齢よりかなり若い役を芸で若々しく感じさせるのは勿論なのだが、一瞬、肌艶まで若々しく感じてびっくりした。でもこの舞台、四幕まで主役がでてこないんだよね…。毛谷村だけやるなら、間違いなく六助が主役だけど、通しでやると、仇役の京極内匠のほうが出番も多いし、在感ある。仁左衛門と一応互角に渡り合ったわけで、そういう意味でも、今回の愛之助の健闘には拍手。
あと、子役の子が凄く可愛らしい。化粧のせいもあってか、ちょっと垂れ目で今にも泣きだしそうな顔か何とも愛くるしくて、仕草もかわいいし、客席をつかんでた。途中からは、主役よりも子どもに目が行ってしまうくらい。床に座るところでひっくり返って竹三郎に助けられたり、敵討ちのところでは仁左衛門の手助けで見得をきったりと、役者さん達も眼をかけてあげてる様子が垣間見えて。こんなに印象に残った子役は初めて。
松也の女形は美しく、声もキレイ。ただ、膝を曲げて盗んだ姿が今一つ。ベテランの女形には感じたことないのは姿勢のせいか。いかにも" やってます"という感じで、ちょっと不自然。殺されるところも、海老ぞりは綺麗に決まったのに、その後で横たわるときに膝を立ててしまったのは美しくなかった。身体が堅いのかな?
孝太郎はお園。こういうおきゃんな男勝りの役は似合うので安心して観てられる(苦笑)。六助と判って急に可愛らしくなるところとか、ホント上手いよね。

2011年1月24日月曜日

1月23日 「新春浅草歌舞伎」第2部

「壺坂霊験記」

愛之助の沢市、七之助のお里。あらすじを読んで、以前見たことあるなあと思いだし、調べてみたら、去年2月の歌舞伎座さよなら公演で、三津五郎と福助のコンビで見ていた。改めてみてみて、ある程度年齢のいった人のほうが合う役のような気がした。愛之助の沢市は、外見がなんだか「一休さん」のようで、悪くはないのだが、盲目であることの負い目とか、屈折した感じが弱い感じ。七之助のお里は、クールな顔つきのせいか、いまひとつ情に厚い、よくできた妻という風情に欠ける。いろいろと所作に気を取られていて、気持ちが入りきっていないような…
目が見えるようになってからのやりとりは、かわいらしくてよかったけど。

冷静に考えてみると、ストーリーとしては全く共感できない。最後に沢市の目が見えるようになるのはお約束としても、お里が観音参りしていることを3年も気付かないのは何で?とか、沢市が身を投げてしまうのはあまりに身勝手とか、お里が後を追ってしまうのもなんだかなあ…。それを感動させてしまうのが芝居の魅力ではあるのだけど。

「黒手組曲輪達引」

助六のパロディということだが、助六の衣装からして、あの紫鉢巻がなかったりと、かなり違う印象。亀次郎が3役で、二枚目や三枚目の役もよかった。権九郎の拵えが、香川照之にそっくりでびっくり!出演者の名前を織り交ぜたシャレを言ったり、福山雅治の歌を歌ったりと、笑いをとるところのはじけっぷりが意外だったけどよかった。亀鶴の鳥居新左衛門が、悪そううで格好良かった。

2011年1月17日月曜日

1月16日 ベルリン国立バレエ「シンデレラ」

シンデレラはポリーナ・セミオノワ。可憐で守ってあげたいと感じさせるサレンコとは違って、自分の意思を持って自立している感じがするシンデレラ。というか、もともとはセミオノワをイメージして作った作品だとか。自分の力でプリマの座を手に入れるという、ストーリーはより明確に感じられた。
セミオノワの踊りは、完璧に美しいというか、何ていうんだろう、見ていて不安がないというか、自然で無理がない(ように見える)。2階席から見ても、長い手足が映えて綺麗だった。プロポーションも理想的で、すごく現代的なダンサーだという気がする。

2011年1月15日土曜日

1月15日 ベルリン国立バレエ「シンデレラ」

シンデレラ役のヤーナ・サレンコが華奢で小さくて、可憐でかわいい。折れちゃいそうに細くって、いびり役のバレリーナsに挟まれたりすると、肉食動物に睨まれた小動物みたいで…
義理の姉を翻案した「甘いもの好き」と「アル中」の2人のバレリーナは、実は一番の見せどころでは!?確かなテクニックに裏付けされた、コミカルな演技が素晴らしい。前日はマラーホフが甘いもの好きをやってたようで、一度見てみたかったかも。(でも、私が気に入ったのはアル中のほう)
舞踏会のシーンとか、群舞も見ごたえあり。日本人ダンサー(菅野茉里奈、寺井七海、針山愛美、巣山葵)も、頑張ってたね(悪目立ちすることなく、ね…苦笑)

1月15日 新春浅草歌舞伎 第1部

「三人吉三巴白波」

お嬢(七之助)、お坊(亀次郎)、和尚(愛之助)の組み合わせ。
愛之助丈はインフルエンザによる休演明けの舞台だったけど、そんな様子は感じさせなかった(やや顔がほっそりしてたか、という感じ)のはさすが。三人吉三はお坊のほうが格好いいと思っていたけど、役の上では和尚のほうが見せ場も多いし、要の役。大川端でお嬢とお坊を仲介するところはもちろん、おとせと十三郎を手に掛ける場面とか、説得力のある演技。初めて、和尚が格好いいと思ったり。
七之助のお嬢はセリフにやや力みが感じられるかな。ちょっと硬さが残るのが残念。亀次郎のお坊は細目の釣り目で顔が悪人っぽいのはどうなの?そりゃあもちろん、盗賊なんだから善人ではないにせよ、悪役ではないでしょう。セリフもなんだか口の中にこもる感じで、切れがわるい。
あと、観客の笑いどころがずれてるのが、なんだかなあ…。本堂の場でお坊とお嬢が再会を喜ぶところとか、共に死のうとするところとかで笑うのはなんで?シリアスな場面のはずなのに、雰囲気ぶち壊し。

「独楽」

踊りの名手、亀次郎の独り舞台。日本舞踊って、難しいことをやってるんだろうけど、凄そうに見えないのが気の毒。観客が拍手するのは、くるくる回っているところとか、わかりやすいところだけだもんねえ。片足でバランスをとりながら、上体を傾けたりとかって、ほんとは凄く難しいんだろうなあ…と思った。