2016年5月5日木曜日

0504 地点アンダースロー「かもめ」

チェーホフ作品をバラバラにして再構成した感じで、絵画に例えるならキュビスムのようなイメージ。 音節をイレギュラーに区切ったり、言葉のイントネーションが突飛だったり、突然叫び出したりするのがこの劇団のスタイルらしいが、ざわざわするというか、不快で、落ち着かない。喜劇というのにちっとも笑えない。 コンテンポラリーダンスのような、オフバランスの動きやポーズ、独特の台詞回しをこなすのは役者に力量がいるのだろうが、個性は不要になるように思った。

2016年5月3日火曜日

0503 宝塚宙組「ヴァンパイアサクセション」

現代を生きる吸血鬼の話なのだが、吸血鬼というより不老不死の苦悩なのか。本気で人を愛し、愛されれば人間になれるという設定がご都合主義的だし、700年も生きてきて初めて恋に落ちる相手にしては、女子大生のルーシーには魅力がないというか、それだけのエピソードが描かれていなかったように思う。 真風涼帆のちょっと苦みのある二枚目ぶりは堪能できたが、二枚目がちょっと外したことをやるだけで笑えると思うのは大間違いだ。コメディタッチという割にちっとも可笑しくない。冒頭、南北戦争や第二次世界大戦の写真に同じ人物が映っているといって、変な合成写真が映し出されたときの笑いは面白いからではなくて失笑だ。 テーマ曲のデュエットは、特別歌が上手いわけではなかったが、声の相性がよいのか悪くなかった。

0430 大蔵流五家狂言会

同じ流派ながら、家ごとの芸風の違いが観られて興味深かった。 善竹家の人々は朗々とした声が私は好きだ。分かりやすくサービス精神にあふれているのが茂山千五郎家か。 小学生でも知っている「附子」というコミカルな演目を、一番硬い芸風の山本家が演じたのだが、なんだか余計に面白く感じた。

0429 唐組「秘密の花園」

初の紅テント体験は季節外れの寒波で寒かった。 サラリーマンのアキヨシは日暮里の安アパートで暮らすいちよとプラトニックな恋愛関係にある。いちよの夫もアキヨシの金を当てにして公認している関係。 一線を踏み越えるのかの危うさや、生と死、プラトニックと肉欲が混然として不思議な感覚に襲われる。アキヨシの姉もろはといちよ(1人2役)で、どちらがどちらかもあやふやになってくる。本水を使う演出もあり、休憩をはさんで2時間あまりの芝居は長いと感じなかった。 最後、舞台の後ろの壁が開き、去ってゆくいちよ。木の陰で見えなくなるまで歩いていく姿から目が離せなかった。

0428 鄭義信 三部作「たとえば野に咲く花のように」

舞台は九州らしく、方言がキュートだ。 ともさかりえ演じる満喜は戦争から帰ってこない婚約者を忘れられないまま、ダンスホールで働く。凛としたたたずまいで存在感が抜群。 満喜に言い寄るライバル店のオーナー康雄は戦争で顔に傷を負い、後に心にもトラウマを抱えていることがのちに明らかになる。山口馬木也はそういう屈託のある男のぎりぎりした感じが上手い。 ただ、あれだけ言い寄っていたくせに康雄が逃げてしまうのが解せない。戦地での非道な行いがばれてしまったとはいえせっかく満喜は受け入れる気持ちになったのに。 最後、ダンスホールの女たち3人とも妊娠して、強く生きていくというラストがやや強引に感じた。 あと、康雄の婚約者あかね(村川絵梨)はわがままなお嬢さんぶりがすごくよかったのだが、アル中という設定は必要だったろうか。 海上保安官?といい仲になる珠代(池谷のぶえ)が逞しさとかわいらしさのある女で魅力的だった。

4月25日 こんぴら歌舞伎 昼の部

「毛谷村」 愛之助の六助に壱太郎のお園。巡業と同じ顔触れで慣れているのか、板についた様子。 子役がかわいい。いつもながら松嶋屋の芝居は子役がいいなあ。 「口上」 鴈治郎をはじめ、総勢7人の口上は慌ただしくなくアットホームな雰囲気。 藤十郎が披露口上を述べ、「では中車さん」と名指しで振ってしまうおおらかさ。千秋楽だからといって特に変わったことは言わなかったようだが、琴平のボランティアやスタッフへの感謝を口々に述べていたのが印象的だった。 「幸助餅」 松竹新喜劇から取り入れたという人情話。あまり笑いはなかったように思うが、最後にほろりとさせるいい話。鴈治郎の良さが出る作品だ。 中車の雷が歌舞伎らしい関取で立派。 亀鶴が女房と、毛谷村の敵役とはがらりと変わった役どころで芸達者ぶりを見せた。

4月24日 こんぴら歌舞伎 夜の部

「あんまと泥棒」 中車のあんまに愛之助の泥棒。小悪党は愛之助のニンかと思いきや、それほどでもなく。猿之助とやった時よりもあっさりした印象。泥棒を上方出身にして関西弁にしたのがまずかったのか。 「鷺娘」 扇雀の鷺娘は骨太で繊細さに欠ける。薄暗い金丸座の空間で舞う様は幻想的でよかった。 「封印切」 鴈治郎の忠兵衛、壱太郎の梅川、愛之助の八右衛門。 花道からの忠兵衛の出で、「がんじろは~ん」という掛け声がいいなあ。頼りない、運に見放された色男の風情があり、期待以上。一方、梅川は情が薄い感じで泣けず。八右衛門も突っ込みが足りず物足りなかった。