2021年12月4日土曜日

12月4日 文楽公演

 「仮名手本忠臣蔵」

桃井館本蔵松切の段は小住・清丈。
小住は少し声の調子が不安定なところもあり、あたらしい師匠の影響? 素質はいいはずなので(配信で聞いた「出世景清」はよかった)、本領を発揮してほしい。清丈の三味線は安定感がある。

下馬先進物の段は南都・団吾。
南都らしくない、だみ声っぽい語りは、場の演出? 団吾はロックしてた。

殿中刃傷は靖・錦糸。
冒頭の低音は苦戦が感じられたが、師直のいじわる振りは悪くない。刃傷に及んでからの立て詞にもっと勢いがあるといいかと思った。三味線は案外淡々と。

塩谷判官切腹は織・燕三。
織の床本は⑧綱太夫のものだそうで、白木の見台に気合を感じる。いつもの力んだ感じがなく、訥々と語る様子は悪くない。が、全体的に元気で、判官が刀を突きつけてからもあまり死にそうでなく、由良助の到着が案外早かったように感じてしまった。師匠の咲とはやはり違うなあと。「九寸五分は汝へ形見」の「かた」は咲に似てると思ったが、「み」でそうでなくなった。
燕三の三味線は、静謐で、心地よい緊張感。

城明渡しは碩・清允。
御簾内だったので姿は見えなかったが、最後の「はったとにらんで~~」がいつもより控えめな感じ?

道行旅路の嫁入りは呂勢、咲寿、亘、聖、薫に清志郎、清公、錦吾、燕二郎、清方。
城明渡しで終わらず、最後に景事を入れてくれるのはありがたい。呂勢の美声に癒された。
ユニゾンで語るところは、不協和音?と不安になったけど。

人形は清十郎の戸浪と簑紫郎の小浪に情感があってよかった。
若狭之介の玉佳の顔芸はあまり気にならないというか、役と一体になってるのに、玉助の師直はうるさく見えるのはなぜだろう。
判官の簑二郎は慣れないせいか、切腹の緊張感が薄いように感じた。
玉志の由良助は、城明渡しでの掛け声が控えめでよい。

12月16日に再見。
靖は低音が出るようになっていたものの、嫌みっぷりが控えめになったよう。
織に何か違うと感じるのはなぜだろう。若いから重厚感が不足しているのか、ちょっと語り急いでいるような気もする。あと、いろんな意味で格好良すぎるのか。無念さとかいうより、勇んで死ににいくような感じというか。燕三の三味線が奏でる静謐さが場を引き締めていた。

城明渡しは掛け声や合図なしに「はったとにらんで~」となった。人形の動きを見ていたのか。碩は声量もたっぷり。

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