2016年6月27日月曜日

0626 能勢人形浄瑠璃鹿角座

オリジナル演目の「風神雷神」と「生写朝顔話」の2本立て。 風神雷神は勘十郎監修だけあって、力強い動きやコミカルな動きでみせる。 「朝顔話」は去年文楽で観たばかり。全体的に素人芝居ではあるのだが、中には情感あふれる人形遣いや太夫がいてほろりとさせられた。

2016年6月26日日曜日

0625 「冷蔵庫のうえの人生」

末期がんのシングルマザーと15~16歳の娘が、冷蔵庫に張り出すメモでやり取りする。舞台中央の冷蔵庫と簡素なテーブルとイスのみという、シンプルな舞台に役者2人だけ。音楽もピアノ1台のみで、静かな芝居だ。 母親役の大空祐飛が、次第にがんが進行して気力、体力ともに衰えていく様子を巧みに表現。天真爛漫な娘、クレアの大野いとも、病の深刻さを知るにつれて、思慮深く大人になっていく。日常的な言葉だけでつづられるやり取りなのに、とても胸を打たれた。後半は涙をこらえられなかった。歌は2人とも残念。ないほうがよかった。

0625 おはんちょう

南光の落語「どうらんの幸助」、浄瑠璃の師匠の語りが長めで、稽古の成果を発揮?さすが、他の落語家のものより本格的だった。 続いて、英太夫の「帯屋」。能楽堂の音響のせいか、三味線に負けてしまっている。よくよく聞いてみて、多分私は声が響いていないのが好きではないのだ。発声方法として、身体で音を響かせていないというか。語りわけや、音程はちゃんとしているのだろうに、ちっとも心に響かないのはなんでかなと。 アフタートークで「若太夫を継ぎなはれ」と言われて満更でもなさそう。呂太夫はツナギですか?

0624 歌劇な噺劇

元宝塚と元OSKの女優による、落語の芝居。「井戸の茶碗」「江島屋騒動」「ねずみ」 衣装はシンプルな着物、小道具は手ぬぐいと扇子だけという落語のような拵えなので、役者の力量がよくわかる。やはり、洋あおい、桜花昇ぼる、未央一の3人の芸達者ぶりが目立つというか、華がある。注目したのが、友麻亜里。所作がきれいで、芝居でも目を引いたし、踊りでも際立っていた。

2016年6月23日木曜日

0622 文学座「何か いけないことを しましたでしょうか? と、いう私たちのハナシ。」

イエスの方舟事件がモデル。教祖おっちゃん先生が入院し、マスコミを避けて日向灘の島まで逃げてきた信者の女たち。 個性豊かな女たちの描き分けが鮮やか。途中、アカペラで讃美歌や唱歌が挟まれ、場面を和ませる。 最後、教祖が死に、女たちは島で飲食店(スナック?)を始める。たくましく生きる女たちを描きたいのかもしれないが、なんだか伝わるものがなかった。 教祖の妻で、グループの代表的存在の塩田朋子の発声が美しかった。

0620 五代目中村雀右衛門襲名披露 六月博多座大歌舞伎

「君が代松竹梅」 友右衛門、錦之助、廣松。襲名を祝うおめでたい舞、わずか10分。 「毛抜」 松緑の粂寺弾正。メークの目元がオレンジ系なのはスタンダード?なんだか違和感があった。セリフの語尾をいちいちクレッシェンドで発音するのが耳障り。所作はきれいだし、型はきっちりしているのだろうが、なんだか好きになれないのは、私が荒事が嫌いだからだろう。 「熊谷陣屋」 是非にと勧められて観に行った。もちろん、仁左衛門の熊谷陣屋は心理描写が丁寧で素晴らしいのだが、過去と比べて著しく進化しているというほどではないような。 雀右衛門の相模は素晴らしく、ほろりとさせられた。菊之助の藤の方はちょっとハラが薄いかなあ。セリフのないところで時々、気持ちが入っていないように見えた。 「身替座禅」 菊五郎の右京はあっさり加減が前回見た時よりは濃くてまずまず。けど、好色なオヤジという感じで、イヤラシイんだよなあ。 左団次の玉井は恐妻。 千枝、小枝の右近と米吉がキレイだった。

0619 リリパットアーミーII「銀の系譜」

意外にも非常にオーソドックスな芝居。戦中、迫害を受けるプロテスタントの牧師補を細川ガラシャを重ねて描く。笑いをまぶしているので、深刻になりすぎないのはいいが、何を伝えたいのかがよく分からなかった。牧師補に信仰を明かしながら、憲兵に売る軍人に、時勢に逆らって信仰を貫くことのできない苦悩みたいなのはあったけど、それがテーマでもなさそうだし。牧師補はなんとなく聖職についたようで、いろいろ脇が甘いくせに、拷問に屈しない理由がわからん。おばあちゃん役のわかぎえふが可愛かった。

2016年6月19日日曜日

0617 鄭義信 三部作「パーマ屋すみれ」

休憩挟んで3時間という長丁場だが、物語の力が強いので最後までダレなかった。 九州の炭鉱の町。炭鉱事故による後遺症に加え、石炭産業の衰退で苦しめられる人々。3部作の中で一番暗いという重苦しさがある。 南果歩が床屋をしながら夫を支える力強い主人公を熱演。こういう激しい女性を演じているのが意外だった。

0617 宝塚月組「NOBUNAGA」

一言でいえばトンデモ信長。龍真咲の退団公演で、本人の希望した役柄だというが、こんな信長でよかったのか。何かに似ているなあと考えていて、高校生の暴走族のトップ争いというか、とても少年漫画っぽい(いい意味でなくて)。子供っぽいというか幼稚というか、天下国家を争うスケールがない。秀吉が謀反に加わろうとしたのもびっくりだし、よくわからない外国人を二番手が演じているのも違和感があった。別天地へ旅立つ龍に重ねて、逃亡説をとるのはありうるが、あれは違うよ。 終盤、娘役トップの愛希れいかを切り殺し、倒れたまま放置していたのにも、愛のなさを感じた。

2016年6月17日金曜日

0616 劇団太陽族「執行の7人」

PTAの執行役員になった7人。いろいろ決めなければならないことがあるのに、話はあっちへ行き、こっちへ行き、議論は進まない。働く女性と、唯一の父親役員が引っかき回して、会議は紛糾。途中、働く女性への男の無理解について述べたくだりは、とても共感できた。が、子どもを0歳のときから保育園に預けたことを、母親業の放棄と批判したところで、女性全員が味方に回ったところはどうかな…。専業主婦で男以上に保守的なひともいるのに。 防犯研修が劇団の体のいい資金源になっていて意味がないという批判は一理あり、それで研修をやめるやめないで一悶着あるのだが、内容を見直すべきではないのかと誰もいいださなかったことにモヤモヤした。 最後、「消しゴム」という歌を皆で歌うのは唐突にも思えたが、詞が素晴らしいので納得させられてしまう。 とはいえ、引き込まれる芝居で、2時間あまり(遅れて行ったので実際観たのは2時間弱だが)が短く感じた。

2016年6月14日火曜日

0613 文楽鑑賞教室 D

「二人三番叟」 希太夫と清馗。全体的にもっちゃり?テンポアップしてからの三味線のリズムに乱れというか、転んでなかったか? 「夏祭浪花鑑」 口は希太夫と龍爾。 奥は咲甫太夫と錦糸。期待していたほどではなく、咲甫は意外とあっさり。おつぎも三婦も若くて、おつぎとお辰の区別がはっきりしない。焼ごてのくだりもあれ、という間だった。まあ、後ろのおっちゃんが凄いイビキでそれどころではなかったのもあるかもしれないが。 アトの小住太夫と錦吾。小住は語りわけはまだまだ。錦吾が思ったよりしっかり。 「長町裏の段」 津駒太夫、靖太夫に清志郎。 靖は「おーい」が被せぎみで、「待った、待った」は力入りすぎの感もあったが、津駒・義平次とのがっぷり四つな感じがとてもよい。義平次のぶりにニヤニヤしてしまう。

2016年6月13日月曜日

0612 笑えない会

桂よね吉、茂山正邦のトークから。 会場からの質問は、笑点についてや昨日の晩ごはんなど。父の日にちなみ父との思い出で「昼寝ごっこ」が微笑ましい。 狂言は「鱸包丁」正邦の叔父は終始怒鳴っているよう。最後のオチまでの長い前ふりのような。 落語は「本能寺」。鳴り物満載で、たっぷりとした芝居噺。オチがしょーもないというのはなるほどね。なんでイナゴよ。

0612 文楽鑑賞教室 C

「二人三番叟」 睦、靖、小住に喜一郎、団吾、寛太郎、燕二郎。三味線はテンポゆっくりめ? 人形は玉佳と文哉。玉佳が意外にフツーだった。 「夏祭浪花鑑」 三婦内の段 始太夫と寛太郎。 始は出だしが立派。三婦はいいが。磯之氶や琴浦などのキレイどころに難あり。 文字久太夫と藤蔵は期待しすぎたのかちょっと肩透かし。文字久はおつぎとお辰の語りわけにもう少しメリハリがほしい。声のトーンだけでなく、語るテンポも変えるとか。お辰の焼ごてシーンでは藤蔵の三味線がかけ声とともに盛り上がる。途中、三婦の珠数が落ちてしまい、どうするのかとハラハラ。後ろを向いてナンマイダとやるところで直してた。 「できた〜!」の間はこれまで観た中では一番しっくりきた。そこまでのやり取りが重厚だと、なんだか早すぎるように思っていたので。逆に言えば、お辰のクドきなんかがちょっとかるいのかも。 咲寿太夫と清公。咲寿は腹から声を出しているのはいいが、老け役がまだまだ。おつぎなんか誰かと思ったよ。 長町裏の段は津駒太夫の義平次に芳穂太夫の団七、清介。 三味線の出だしが軽快で祭の風情。 芳穂は骨太な男らしい団七。津駒も憎たらしくてよい。 人形は玉志の団七が、「悪い人でも〜」のくだりで眉を動かすなど表情がよい。玉也の義平次は断末魔の表情が、顔を上げてから目と口を剥くのが他と違うところ。面を上げると同時に変わっているほうがいいように思う。

0611 桂米団治春秋座特別公演

落語は2席はそうばの「手水回し」から。ガチャガチャとうるさい話し方。 隣の女性はケラケラ笑ってたけど、私はあまり笑えず。 米団治の「七段目」は全体的にさらりとした印象。途中、猿翁の名前を挟んだのは会場の春秋座にちなんで。猿之助の富樫に団十郎の弁慶が良かったなんて言ってたけど、そんな座組あったのかしら。団十郎の真似が、デフォルメされてるけど特徴がよく出てた。オチは「七段目から落ちたのか?」「いえ、てっぺんから」 おぺらくごは「コシ・ファン・トゥッテ」。ナポリが舞台なので、コジではなくコシなのだとか。話題にはなっていたが、私にはあまり面白くなかった。オペラと落語の融合って言葉で説明しやすいから、記事にしやすいのだろう。落語で話を進め、要所要所で歌が挟まる構成なのだが、一体感がなく、寄せ集めな感じ。米団治が落語でセリフのやり取りを語り、歌手と黒衣が無言で芝居をする場面もイマイチだ。米団治は歌も披露したが、微妙?生オケの演奏で気持ちよさそうではあった。

0611 OSK日本歌劇「紅に燃ゆる~真田幸村 紅蓮の奏乱~」

用事があって休憩前の前半しか見られなかったが、そのうえで。 幸村の悠浦あやとは低い声がよく、歌も達者。だが、むやみに腹から絞り出すような発生をしていたのが気になった。 半蔵の楊琳はキャラクター作りがなんだかなあ…。変にふざけた感じ?でステキとは思えない。 物語は史実をなぞりつつ、歌やダンスが挟まる感じなのだが、盛り上がりに欠ける印象。幸村と半蔵の関係とか、佐助の恋とかをもっと丁寧に描いてほしい。全体的にそこはかとなく安っぽくて大衆演劇チック。そこが魅力でもあるのだが。

0610 「文楽応援の落語会」

「仮名手本忠臣蔵」はもともと文楽ということで、忠臣蔵ゆかりの演目を揃える企画。 トップバッターは立体紙芝居。手間がかかる割に受けないので、他にやる人がいないそうだが、確かに。でも、やりようによってはもっと面白くなるんじゃないかなあ。1ヶ月半かけて作ったという紙芝居で、忠臣蔵のあらましを解説したのだが、せっかくなら史実と仮名手本忠臣蔵の違いについても一言あるほうが親切だと思った。 二番手に早くも春之輔が「質屋芝居」。マクラで、手違いからチケット100枚を売りそびれたので赤字だとのぼやき節。なんだか話にも身が入っていないような。 米二の「蔵丁稚」は手堅く。文楽や歌舞伎よりも先に落語を聞いていたので、逆に芝居を見て「落語と同じ」と思ったとか。 露の新治の「中村仲蔵」は聞き応えたっぷり。よくぞ20分であそこまで聞かせてくれました。仲蔵もいいが、奥さんがまたステキだった。 中入りをはさんで、英太夫を招いてのトーク。仲野先生の義太夫披露はご愛嬌だが、ちと長かった。内海英華が太棹三味線でお付き合いしたのにびっくり。なんでもなさるのね。 生寿の「仮名手本天神祭」は新作落語で討ち入りの前、天神祭で吉良上野介と大石内蔵助が遭遇していたという。通常は25分の話をぎゅっと縮めて15分くらいだったが、随所で笑いが。 トリは春蝶の「七段目」。マクラで世界の3代目の話は食傷気味だが、本編は悪くなかった。これまで見た春蝶のなかでは一番だったかも。

2016年6月10日金曜日

0609 ピッコロ劇団「メトミミトヤミー小泉セツと八雲の怪談ー」

現実と幻想ら過去と未来が錯綜する不思議な舞台。耳なし芳一や雪女、未来の子供達、ネコやハト、蛍が現れたり。松山弁?と八雲のカタコトの日本語が聞きづらく、集中がそがれる。八雲のキャラクターも好感が持てず、共感できなかった。

2016年6月7日火曜日

0606 文楽鑑賞教室 A

「夏祭浪花鑑」 靖太夫の三婦がそれらしかった。 咲甫太夫の団七、出だしの「おおい、おおい」で遠くから息せき切って近寄ってくる様がはっきり。立体的な語りだ。 「コリャコレ男の生面を」のところで、見台をバンッとはたくのが勢いにのってよかった。 対して英太夫の義兵次は声が小さいのは老人だからと思えなくもないけれど、憎らしさが薄い。殺されるほど酷い人かなあという感じで、最後の「悪い人でも舅は親」のセリフが中ぶらりんな感じだった。 人形は勘十郎の団七がきびきびとした動きでひき付ける。和生の義平次がそれほどでなかったのは、語りのせいか。

2016年6月5日日曜日

0604 文楽鑑賞教室 B

「二人三番叟」 清志郎率いる三味線がアグレッシブで、すごくテンポ速くてびっくり。 「夏祭浪花鑑」 釣船三婦内の段 口が芳穂太夫と清丈、奥が呂勢太夫と燕三、アトが希太夫と龍爾。3人分割はそれぞれが短すぎでは。 人形は三婦女房おつぎの玉佳が、人形よりも表情豊かで微笑ましい。 呂勢太夫は出だしはやや精彩を欠くが、おつぎとお辰など語り分けがくっきり。 長町裏の段 睦太夫の団七に英太夫の義平次、三味線は宗助。 睦はスキッとした男前な感じで、真面目ないい人そう。が、団七としてはどうなのか。(2回目に見たときはそれほどでもなかった) 2回目は社会人のための鑑賞教室。普段の解説とは違って住吉鳥居前の段のさわりを春野恵子のナビ付きで。 なぜか口上の黒子(勘市)をフォーカスしていて、顔出しでインタビューしたり、ツケ打ちの解説をしたり。 スケルトンの手すりで足遣いの動きが見えるのが面白い。 希太夫の語り分けはちょっと区別がつきにくかったかな。 三味線の引き分けで、「551があるとき~」「ないとき~」というのが面白かった。龍爾のキムタクが観られないのは残念な気も。

2016年6月4日土曜日

0603 イキウメ「太陽」

近未来のSFで映画化もされたというので、映像の方が向いているのではと思ったが、ミニマムなセットで世界観を表現していた。 ウイルスに感染し、太陽を浴びれない代わりに、老いず、病気にもならない新人類NOX。独善的で、他者への共感や情緒が欠如しているNOXの嫌みな感じがうまく表現されていてムカッとする。 虐げられるものになってしまった旧人類の鉄彦はNOXに憧れる。学校で習うことなんて大したことない、生活に根ざした知恵が尊いのだといわれても、そんなことを言えるのは知っているからで、知らない俺には分からないと突き放す。なんだか、高学歴にコンプレックスを抱きながらむやみに崇めるひとを連想してしまった。 実の母であるNOXの勧めで、自らもNOXになることを選択する結。変化の後では過去のことなど忘れてしまったかのように振舞う。捨ててしまったものの大きさには気づくことがないように。芸術が生まれるのは、歳をとり、痛みや苦しさから逃れられない旧人類のほうで、NOXは新しい芸術を生み出すことができず、子孫も残せないというのは象徴的だ。私たちの世界も、障害をすべて除いてしまったら、それは幸福ではなくなってしまうのかも。

0603 毛皮のマリー

美輪明宏で一度は観ておくべきと思っていたのだか、20年前に観たかった。常に片乳を出している衣装なので、身体の弛みがどうしても目に付いてしまうのと、動作にキレがないのだ。若いころだったら、一見美しく見えるなかにグロテスクがにじむという感じだったろうが、今はただグロテスクなだけ。頼みのセリフも、息絶え絶えといった感じで、酔えなかった。美少女役の若松武史もだいぶ年配なので、どうしたって役柄に無理がある。 欣也役の勧修寺保都はピュアで嫌みのない美少年ぶりに好感。名もない水夫の木村彰吾はなんだか変なしゃべり方で違和感がぬぐえなかった。

2016年6月3日金曜日

0602 南河内万歳一座「肥満男」

いやあ、笑った。 同窓会で集まって、顔は分かるのに名前が思い出せなくて、なぜかあだ名で呼び合うのだか、呼ばれるほうは覚えがなくて、本当に同窓生なのか確信が持てないまま船が出港。明らかに年齢層が違ったり、高校生?の演劇部が混ざって稽古していたりと、ドタバタが面白いのは間がいいのだな。 最後まで幹事の中山田が現われず、謎のままなのだか、その余韻もまたいいのかも。始まりと終わりが分からない、というのは、前回の「似世物小屋」にも通じるのか。

0529 VOGA「Social Walk」

竹藪や木々に囲まれた野外劇場はあいにくの雨だったけど、風情があっていいものだ。 2人の少年の1人の少女、白のブラウスに黒いスカートという制服のような出で立ちの女たち、4組の夫婦が舞台上を整然と立ち回る。上がる、下がる、東入る、西入ると唱えながら、たぶん本当にその方向へ向かう。ときおり京都の地名が入ったりして、地図を移動しているよう。 新婚夫婦や生まれなかった子どもなど、抽象的なモチーフが散りばめられ、物語は具体的ではないのだが、空間と相まって不思議な時間が流れる。カッパで視界が遮られたのと、寒くて縮こまって集中力がなくなっていたのだが、引き込まれて途中で帰りたくはならなかった。(動くのが面倒くさいとかケーブルが動いてなくて帰れないというのもあったけど)雨に映るライトとか、雨だからこその美しさもあったように思う。けど、今度は晴れた日にみたい。

0528 わらび座「奇想天外歌舞音曲劇 げんない」

休憩10分を挟んで2時間、飽きることなく楽しめた。曲もダンスも感動するほどではないけれど、よく出来ている。 杉田玄白に「解体新書が発行できたのは、清濁併せ呑む田沼時代だったから。為政者が変わればできなくなる」というようなことを言うシーンがあって、現代を暗示しているよう。平賀源内について、成功したかはともかく、たくさんの種を蒔いた人と評していたのが心に残った。