2013年2月28日木曜日

2月24日 二月花形歌舞伎 昼の部「新八犬伝」

愛之助が4役で大活躍。(って、そのうち2人は同一人物が変装しているという設定だけど…。たとえば、「本朝廿四孝」で勝頼と蓑助二役と言うのか。拵えが違うからいいのかな)
八犬士の犬飼権八よりも悪役の扇谷定正や網干左母次郎のほうが素敵かも。本人も生き生き演じている感じがする。

伏姫の梅枝は、端正なお姫様。GOEMONの石田局もよかったが、正統派の美人が似合う。伏姫に襲いかかる弟の義成を千壽。前半のあほ坊ぶりから、操られて狂気にかられて姫に襲いかかる様の豹変ぶりがすごかった。いつもは女形なので、今回のような立ち役はあまり経験がないだろうに。

松也が犬塚信乃で、すっきりした二枚目を好演。こういうお役は目に楽しい。で、許婚の濱路の梅丸が可愛くて健気で。ちょっと声がかすれ気味だったようなのが残念だったが。秀太郎の亀篠と本当の親子のよう。

で、亀篠がまた凄い。信乃から村雨丸を奪い取って、左母次郎(=愛之助)に引き渡すシーンで、「年増もなかなか…」とか言われて迫られる時の色気。この二人、義親子なのに、やらしくってドキドキした。

2013年2月20日水曜日

2月17日 宝塚花組公演「オーシャンズ11」

格好いい男たちがたくさん出てきて、カジノやショーという華やかな舞台で歌ったり踊ったり。やはりこういうのが宝塚には似合うし、観ていて楽しいと思う。

オーシャン役の蘭寿とむはもちろん、敵のベネディクト役の望海風斗もいい男ぶり。歌も踊りもうまい。冒頭のオーシャンのソロは、言葉の使い方のせいかぞわっとする場面もあったけど(「男はノブを回す~♪」という歌詞が衝撃だった…)、そのほかのシーンは声の伸びもいいし、音程も安定していて素敵だ。

10人の仲間たちも個性的で素敵だった。時間の都合で仕方ないのだろうけど、個々のキャラクターをもっと掘り下げて見たかったなあ。イエン役の華形ひかる、一部休演でレビューは出ていなかったようなのだが、本編では不調を感じさせなかったのが凄い。

娘役はトップの蘭乃はなよりも、ダイアナ役の桜一花のほうが好きだな。宝塚の娘役って、男役を引き立てるために、ありえね~ってくらい可憐できゃしゃだから、あんまり素敵とは思えないのだ。というか、男役のみなさん、痩せすぎ。舞台の上で男には見えたのだが、華奢なので楽しんごみたいなんだもん。女性としてはマッチョにはなりたくないだろうけど、もっと体格がいいほうがスーツは映えると思う。肉襦袢着ちゃうとかできないのだろうか。

2013年2月10日日曜日

2月9日 二月花形歌舞伎 夜の部

「GOEMON」

石川五右衛門がスペイン人とのハーフで、フラメンコも踊っちゃう…というので、とんでもないことになってしまうのでは心配していたのだが、思ってたよりはちゃんと歌舞伎だった。舞台には幕がなく、スチールパイプを組んだだけのセット、鳴り物にヴァイオリンやフラメンコギターがあったり、女性がでてたりして、所々トンデモな場面はあったが、全体としては、歌舞伎を観た充実感があった。それは多分、愛之助をはじめ、役者たちが、歌舞伎の作法で演じていたからだ。現代劇のようなセットや洋楽で歌舞伎を演じるというのは、NINAGAWA十二夜という先例があるが、「歌舞伎役者が演じれば歌舞伎になる」ということなのだろう。(そうじゃないのもあるけど)

五右衛門の愛之助は、開演から1時間くらい出番がなく、待ちくたびれたが、登場してからは、縦横無尽の活躍。立ち回りも派手で見応えがあるし、見栄など見せ場を多く作り、まさに「傾いて」いた。写真で見たときは赤毛で金糸を織り込んだ派手な衣装がマツケンみたいと思ったけど、、実際に見るとそれほどの違和感は感じず。

2幕の途中、客席後方から通路を歩いてきて、ちょうど私の横で立ち止まって演技をしていたのでドキドキ。後ろ姿でよく見えなかったし、スポットライトがまぶしくて困ったけど。この劇では、客席を沢山活用していて、秀吉の追手との立ち回りでは愛之助や壱太郎をはじめ、沢山の役者が客席に降りて駆け回り、2階席でも演じるサービスっぷり。何だか少し、亡き勘三郎を彷彿とさせる。姿が似ているというより、その精神で。

阿国にフラメンコを教えるシーンは、結構様になっていて、ちょっと安心。大向こうから「待ってました」の声がかかって、苦笑する場面も。阿国の壱太郎に「笑うなよ」と言って、笑を堪えられないのを突っ込んだり、仲良さそうな様子。ただ、2人で組んで踊るのが、恋人同士というより、仲のいい兄妹に見えたのが、惜しい。せっかくセクシーな振り付けなのに。

1幕の終わりで宙乗り+葛抜けをしてしまったので、「もう⁇」と思ったら、最後にもちゃんとあった。でも、鳥になった母の背に乗って行くって、どうなの⁈

冒頭、カルデロン神父と石田局のラブロマンスが素敵。ただし松也、最初の神父服の時はよかったのだが、還俗(キリスト教でもこういうのかな)してからの洋装はちょっと残念なことに。お尻がむっちりしていて、パンツの線が見えてたよ(涙)
2幕の冒頭、酒場で飲んだくれているカルデロンが吉太郎の友市(=五右衛門)の幻覚とフラメンコを踊りだすので「??」と思ったが、これは幼いころの回想シーンで、五右衛門がフラメンコを踊れることの説明ということなのだろうか。

先月の浅草で注目した梅丸。石田光成も可愛い若侍だったが、阿国ダンサーズの一人、お菊で女形も見せてくれたのがうれしい。顔ちっちゃくて可憐だ…。後から出てきたホンモノの女性よりきれいだもんなあ…。秀太郎のお弟子さんの千壽と踊っていたのだが、2人とも上手くてきれいだった。

吉弥が北政所で、夫の浮気にチクリと釘をさす強い女房ぶりはさすが。名古屋山三も演じていたが、女形のほうがしっくりくる気がする。

1幕と2幕にそれぞれ1か所ずつ、佐藤浩希のフラメンコダンスシーンがあったのだが、珍しくもあり結構楽しめた。まあ、リズムが時々もたついたのが気になったのと、立ち居振る舞いが宝塚みたいだった。本編とのつながりがよく解らず、唐突な感じだったのも疑問だ。せっかくだから、役者との絡みがあってもいいだろうに。そういうこともあってか、帰り道でおばちゃんたちが「フラメンコが長すぎ」とぼやいていた。私としては、OSKのお姉さんがたのダンスのほうが退屈だった。

2013年1月22日火曜日

1月20日 寿初春大歌舞伎 夜の部

「操り三番叟」

藤十郎の翁、吉太郎の千歳。年の差いくつなんだろう…。お能風の踊りって、うろうろ歩きまわっているだけのように見えて、あまり面白くないなあ。

三番叟に移ってからは、コミカルな動きが楽しい。操り人形に、後見が薪車。後見役って、ほんとの後見さんもそうだけど、キリッとした風情が格好いい。


「小栗栖の長兵衛」

香川照之が歌舞伎役者中車としてどんな演技を見せてくれるのか、楽しみに。世話物の新歌舞伎なので、それほど違和感はなく。セリフ回しなんかも現代劇に近いし。ただ、立ち回りやセリフの間などで、たまに「あれ?」と思う瞬間はあった。歌舞伎のおっとりした間ではなくって、ちょっと前のめりになっているような。まあ、そういう目で見てしまったせいかも知れないけれど。

乱暴者の長兵衛が実は明智光秀を討った手柄物と分かって周囲の目が一変――という、分かりやすい筋立てで、笑いどころも多くて、楽しい芝居。

巫女小鈴の春猿、ピンクの頬紅がちょっと濃すぎるように見えたのだが、そういう演出なのかなあ。ちょっとおてもやん風というか…。笑三郎のおいねも、くっきり白塗りだったので、周りの町人たちと比べてちょっと違和感があった。


「口上」

猿扇が体調不良で休演。初めて舞台で観られるかと期待していたので残念。

藤十郎がお披露目役。今回は懐から巻紙を取り出して、読み上げていたので、スムーズに進行してた。先月の勘九郎の襲名披露では、言葉が出てこなくってハラハラしたけど。

翫雀や扇雀などは、澤瀉屋との共演も少なく、あまりエピソードなどもない様子。秀太郎の口上が、温かみがあってよかったな。

右近、笑也、寿猿、笑三郎、春猿、猿弥という一門の人たちも口上の舞台に。話す内容があっさりと控えめな様子だったのは、立場的なものなのか。

「義経千本桜」

川連法眼館の場。

新・猿之助は身のこなしが軽く、狐の化身らしい。本物の忠信の武士らしい重厚さと、狐忠信の親への情や可愛さの対比もよかった。今まで見た狐忠信のなかで一番かも。飛んだり跳ねたり、早変わりや移動も多くて結構しんどそうな役だと思うのだが、若さゆえか、余裕のある様子。最後の宙乗りもたっぷり楽しませてくれた。幕が下りたあと、舞台袖から登場するというサプライズも。三階から走ってくるのも大変そうだ。

秀太郎の静御前はしっとりとした風情が素晴らしい。何度も共演しているので猿之助との息もあっているし。

2013年1月15日火曜日

1月14日 文楽初春公演 第2部

この日から1部2部の演目が入れ替わり。

「寿式三番叟」

住大夫の復帰公演。やや痩せたようにも見えたけど、ひとまずは元気そうで安心した。
冒頭、声の張りが弱くなったようにも感じたが、8人の太夫がユニゾンで語るところでも、住大夫の声がビーンと響いてきたのはさすが。

演目はおめでたい舞踊劇。人形ならではのコミカルな動きもあって楽しいのだが、踊りは生身の人がやるほうがいいかなあ。


「義経千本桜 すしやの段」

歌舞伎とちがって、権太が二枚目ではなくて、ほんとに悪そうなおっさん。
お里の「びびびびび~」がなかったり、歌舞伎と違うところがいろいろあって興味深い。
若葉の内侍が訪ねてくるところがより丁寧に描かれていたり。歌舞伎だとあまりセリフがなかったように思うのだが、文楽では結構喋る。あと、権太が刺されてからの語りがちょっと短い。役者を見せる歌舞伎ではここぞとばかりに語るのだが、死にそうな人が長く喋る違和感もある。文楽はこの点、より自然だ。周りの人が嘆いたり悲しんだりしている様子も、人形がきちんと見せるし。
ただ、権太と小仙、善太の別れのシーンは、語りで特に触れられず、人形の表情でもあまりわからない(そりゃそうだ)ので、内に秘めた権太の悲しさがわかりにくかったかも。

源大夫。11月の仮名手本忠臣蔵の時にも思ったのだが、声が弱々しくないか?次に出てきた津駒大夫の声の張りが凄かっただけに、余計そう感じた。

「増補大江山」

呂勢大夫の語りはいいなあ。声が美しいので、女性の役が特にいい。

一条戻り橋で鬼女に襲われるという話なのだが、人形の顔が一瞬で鬼の形相になったり、観て楽しい。

1月12日 文楽初春公演 第2部

「団子売」

コミカルな舞踊のような演目。人が演じる場合はおかめのお面をかぶるであろうところで人形が変わってしまうのが文楽らしいというか、別人に見えてちょっと違和感。

「ひらかな盛衰記」

松右衛門内の段の切を語った咲太夫が素晴らしい。

最後、主君の子供を助けるために源氏方に捕えられる樋口兼光。あんなに強いのに何で、という気もするのだが。

「本朝廿四孝」

歌舞伎では何度か見ているのだが、文楽は初見。いろいろ違いもあって興味深い。

十種香の段では、八重垣姫のいじらしさ、かわいらしさ。絵姿でしか見たことのない許婚によくあそこまで入れ込めるよなあ…とは思うが、あれだけ可愛ければ許される気がする。

見ごたえがあったのは奥庭狐火の段。歌舞伎とは違って、狐に憑かれた姫の人形が入れ替わるのだが、幻想的でダイナミックな動きで魅せられた。文楽はどちらかというと太夫の語りが主で、人形は従という感じで観ていたのだが、この場面に関しては、人形の動きで引っ張るという印象だった。

人形であそこまで表現するって凄いなあ。人形遣いは勘十郎。十種香の段は蓑助が八重垣姫、勘十郎は勝頼をやっていたのだが、交代したのは何故だろう。

2013年1月4日金曜日

1月3日 新春浅草歌舞伎第1部

「寿曽我対面」

正月らしく、華やかな舞台。

松也が曽我五郎というので期待していたのだけど、ちょっと子どもっぽいというか、優しい印象だったのは、女方が多いせいか(プログラムによると、本人も五郎よりは十郎と思っていたよう)。声はいいし、見栄も決まっていたのだけど、顔かなぁ、なんか可愛らしく見えた。

十郎の壱太郎は、悪くないのだが、顔が小さいので立役にはあまり向かないと思う。勧進帳で演った片岡八郎も烏天狗みたいだったし。

大磯の虎の米吉が美しい。1年前も可愛いと思ったけど、より綺麗になった(…て男の人への褒め言葉なのだろうか)。化粧坂少将の梅丸も可愛くて、これからが楽しみな役者だ。まだ高校1年生だそうな。

工藤祐経は海老蔵。この座組のなかでは年長格だし、貫禄はあるのだけど、他の人が芝居をしている時に退屈そうな顔に見えるのは、いかがなものか。

「極付幡随長兵衛」

海老蔵が長兵衛。江戸の侠客のダンディズムだそうだが、よく似合ってた。格好つけてる様が、本人に重なるのか、もったいつけたようなセリフ回しや尊大な様子がはまってる。

女房お時の孝太郎は、夫を支えるいい女房っぷり。こういうのは上手いなぁ。

敵役の水野十郎左衛門に愛之助。悪い役もいいのだが、この人、悪人というより、卑劣な奴では…?藤見に、と騙して呼び出した(これは長兵衛も気付いていたが)うえに、和解しようと言って油断させ(これも怪しまれているが)、風呂に入れて丸裸にしてから襲いかかるって…。しかも二人掛かり。「殺すには惜しい」とか言いながら、やっぱり殺しちゃうし。ありがちなパターンとしては、長兵衛の漢気に触れて、水野が態度を改めるとかじゃないの??…と思ったのか、幕が降りてからも、続きがあると思って席を立たない人が多かった。