2026年5月4日月曜日

5月4日 「獨道中五十三驛」

幕開きの口上で言った通り、團子が13役早替わりで大奮闘。花道やすっぽんのない舞台なので、パターンの変化はないものの、老若男女に次々と姿を変え、飽きさせない。後半は汗だくで、首の白粉がはげていたほど。大奮闘ではあったが、形は変わっても声や所作で見せるところまでは至らず、変化舞踊として面白いかというと、そうでもない。丁稚長吉の声が女方並みに高かったのは何でか分からないが、信濃屋お半や長吉許嫁お絹など女の声にも変化がなく、女方の拵えなのに時折男の体つきになったりするところも。 おさん実は猫の怪を演じた中車は不気味な婆を好演。時折猿翁に似て見えたり、セリフが四代目みたいに聞こえたりしたところもあってドキッとした。最後は宙乗りで盛り上げ、大詰の赤堀水右衛門の敵役ぶりも良かった。 笑也の重の井姫は團子と並んでも姫に見えるのがすごい。笑三郎のお袖は久しぶりの娘役で本領発揮。 こえかぶとのコラボで、声優による朗読劇。置鮎龍太郎は初めて聞いたが、さすがの美声で、声色を使い分けての語りも見事。ただ、いかにもアニメ声優という語り口がだんだん耳についてきたのと、長時間の一人語りに飽きてきたのとで、終盤はしんどかった。声優が変わると印象が変わりそう。

2026年5月3日日曜日

5月3日 新国立劇場バレエ団「ライモンダ」

直塚美穂・速水省吾ペアの千秋楽。 主役デビューの直塚は身体性が高く、確かなテクニックを見せつけるよう。終盤は少しバテたのか、ふらつくところもあったが、脚を上げれば一段高く、回転は軸がぶれず、姿勢の良さが際立つ。上中佑樹のアブデラクマンに言い寄られると、眉間を寄せて本当に嫌そう。速水は線が太くなった印象で、武人らしい逞しさがあった。 周りのキャストは前日と同じで、印象も変わらず。4階席から見ると、衣装のキラキラがよく見え、コールドがより華やか。フォーメーションも鮮やか。

2026年5月2日土曜日

5月2日 新国立劇場バレエ団「ライモンダ」

小野絢子・李明賢ペア。 李はタイトルデビューで、初々しさのあるジャン・ド・ブリエンヌ。スラリとした容姿で、高い跳躍、長い手足が映える。リフトは心持ち余裕がない感じで、片手リフトはもうちょっと長くてもと思った。小野のライモンダは危なげなく、ポワントワークの美しさはピカイチ。アブデラクマンは上中佑樹で、野獣のようなワイルドな魅力。クレメンス東真帆とヘンリエット飯野萌子のバリエーションは東に一日の長あり。2幕のスペインと3幕のパドカトルで中島瑞稀の姿の良さが目を引いた。 牧阿佐美版は舞台装置と衣装が美しいので、群舞が映える。

2026年4月29日水曜日

4月29日 第五回 みのり会

「桂川連理柵」 芳穂も燕二郎も健闘していたが、世話物の難しさも感じた。幕開き前に燕三が言っていたが、筒いっぱいでやるだけではダメで、もう少し余裕というか、柔らかさが必要なのだろう。芳穂は意地悪婆や儀兵衛が憎らしく、長右衛門の優男ぶり、お絹の出来過ぎた女房、お半の可愛さをよく語っていた。燕二郎はキッパリしすぎかなと思うところも。 本公演で役がつかないからやるのではなく、時間に余裕のある時に経験しておくことが大事と燕三。誰かのことを念頭にしているのだろうか。

2026年4月26日日曜日

4月26日 御名残四月大歌舞伎 昼の部

「毛谷村」 獅童の六助は義太夫みが薄く、世話に見える。無禄で村人と共に暮らしているとはいえ、無類の剣豪なのだから人間としての大きさがあって然るべし。獅童は素朴な気のいい兄ちゃんだった。 吉弥の一味斎後室に武家の女らしい風格があり、お園と張り合って椿を贈る可愛さも。孝太郎のお園はいつも通り。 弥三松の夏幹は小柄でかわいいが、セリフや所作をこなしているだけという感じ。名子役には及ばす。 杣人斧右衛門は美味しい役なのだろうけど、精四郎は勿体無いと思う。杣人に松十郎、翫政、冒頭の大坪軍内に千次郎。 六助内のみの上演だったので、斧右衛門母の件がなくて分かりづらい上、敵討もないのでスッキリしない。 「夕霧名残の正月」 藤十郎七回忌追善ということで、虎之助の伊左衛門、壱太郎の夕霧と若手二人が家の芸に挑むのはよろしいのだが、まだまだという感じ。特に伊左衛門は所作をこなすだけではダメで、内から滲み出る風情がないとつまらなくなってしまう。扇谷主人に鴈治郎、女房に扇雀と、成駒家勢揃い。太鼓持に亀鶴。 「大當り伏見の富くじ」 松竹座で生まれた作品ということで御名残公演で上演されたのだろうが、もっとふさわしい演目があるだろうに。喜劇なのにちっとも笑えず、むしろ不快感でムカムカした。 幸四郎の紙屋は楽しそうだが、独りよがり。鴈治郎の鳰照太夫は前回は意外な可愛さに驚いたが、今回はちっとも可愛く見えず。鴈治郎が絶世の美女という意外設定がキモなのd、2回目ともなると面白くないのだ。紙屋の妹、お絹(壱太郎)に言い寄る家老・黒住の獅童は化粧だけでよくあそこまで不細工にできると感心するが、下品は笑いに走りすぎ。 良かったのは歌舞伎塾出身者ら上方の役者が多くでていたことで、吉弥の遣手や松十郎の男衆は敵役を好演。鳰照の愛猫、初音役の吉太朗は着ぐるみだけでなく、前半のぬいぐるみ操作も担当していたそう。河童の翫政もいい味出してた。黒住の奥方に千蔵も珍しい配役。いつも籠かきの千蔵が籠から登場するのは不思議な感じ。何より神官役の進之介が冒頭、紙屋とやりとりするのが軽妙で、こんなにのびのび芝居している進之介は初めて見た。

2026年4月25日土曜日

4月25日 文楽公演 第3部

「二人禿」 三輪、咲寿、聖、文字栄に清友、団吾、燕二郎、藤之亮。 不協和音な床。 人形は簑太郎と勘次郎。 勘次郎の禿に柔らかさがあった。 「ひらかな盛衰記」 辻法印の段を芳穂・錦糸に清允のツレ。 チャリの場面を生き生きと語り、楽しい。百姓たちの語り分けも面白く。 神崎揚屋は千歳・富助に清公のツレ。 切り語りの風格。 奥座敷は睦・清馗。 高音の掠れはあったがあまり気にならず、いい語りだった。 人形は勘十郎の梅ヶ枝。一輔の梶原源太の貴公子ぶりがよき。

4月25日 大槻能楽堂自主公演

「茶壺」 茂山忠三郎のすっぱに善竹隆平の田舎者、隆司の目代。 忠三郎は軽妙。隆平は芸の輪郭が太くなったようで、おおらかさがあって良かった。 「景清」 浅井文義のシテ、ツレの人丸は大槻裕一。トモの人丸の従者は浦田保親。ワキは福王茂十郎。 冒頭の解説(三浦裕子)によると、シテが水衣に髭のある景清の面を付けているのは、景清の武勇に着目しているのだそう。三保の谷の錣引きの武勇を語るところが眼目。人丸との別れは淡々として余韻が残った。