2022年9月17日土曜日

9月17日 文楽公演 第三部

「奥州安達原」

朱雀堤の段は芳穂、津国、碩、南都に清志郎。傔仗の津国など太夫の配役がはまっていて、ストレスなく聞けた。

敷妙使者の段は小住・清丈。小住は声がよく出ていて、語り分けもしっかり。

矢の根の段は織・藤蔵。どちらも熱演。温度差がないので、いい組み合わせなのだろう。

袖萩祭文は呂勢・清治。期待以上の演奏で泣けた。袖萩の嘆きはもちらん、傔仗の突き放すような詞にも哀しさが滲んでいた。メロディアスな三味線が切なさを引き立てる。義太夫は音曲なのだから、やはり音で楽しみたいし、クライマックスにはそれなりの音量がないと。

後半は貞任物語の段と題して錣・宗介。錣は汗だくの熱演だったけど、ちょっとこの場面には合わないか。宗介の三味線は淡々と安定感がある。

道行戦略の岩田帯は睦、希、亘、碩、聖に錦糸、清馗、清公、錦吾、清允。シンの睦の声が掠れて出ておらず、つられたのか希も振るわない。道行なのにだいぶんしんどかった。

人形は勘十郎の袖萩は期待通り。勘次郎のお君がよく、袖萩に着物を着せてやることろで、寒さに震えていたのが哀れを誘った。
最後、貞任の玉男の大きさに比べ、玉助の宗任はちょっと見劣りした。

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2022年9月16日金曜日

9月16日 国立能楽堂 定期公演

「舎弟」
逸平の弟に宗彦の兄と、リアルな兄弟が兄弟役。ありそうな兄弟喧嘩におかしみがある。教え手のあきらが悪そうな顔。

「松虫」
宝生和英のシテ。前場は直面だが、傘をかぶって登場するのであまり表情は見えず。後シテで面をつけてからの方が、感情が露わなように感じた。後シテの舞は友と共に有る嬉しさが迸るような。 男同士の特別な友情ということだが、派手さはないのに、ちっとも飽きなかった。
ワキは福王知登。この美声を聞いていると、酒屋みたいな脇役ではなく、シテの友人として対峙してほしいと思ってしまった。 

小鼓の鵜澤洋太郎がいい声。

2022年9月15日木曜日

9月15日 秀山祭九月大歌舞伎 第三部

「仮名手本忠臣蔵」祇園一力茶屋の場 

仁左衛門の由良之助が期待通り素晴らしい。九太夫にタコを食わせられた時に覗かせる怒りや、お軽に見受けの話をするところでふと見せる憐れむ表情など、細かな心情描写が物語に深みを与える。雀右衛門のお軽もよく、華があり、身請けを素直に喜ぶいじらしさが胸を打つ。
これに比べて海老蔵の平右衛門がよろしくない。時代物野芝居の中で一人だけ世話物みたいな違和感。花道を出てきた時、顔が浅黒くて、小鼻のあたりの隈?が汚れみたいみ見えた。武士と言っても下級の足軽だし、身分の低さを表しているのかと思おうとしたけれど、なんか違う。セリフの軽さが町火消しみたい。目があらぬ方を見ているというか、視線に力がないのもマイナス。子供が不貞腐れているみたいだった。
力弥の千之助はナヨナヨしすぎではないか。柔らかみのある役だけど、由良之助に耳打ちする仕草など、シナを作っているみたいだった。最近女方が多かったからその名残り? すでに何度か勤めている役なので、所作が身について余裕が出てきたということなのかもしれないが。

「藤戸」 

菊之助が素晴らしい。花道を出てきたところから、ひとつ一つの所作、表情が丁寧で、母の悲しみをくっきり描くる。ちょっと老けた風情がより哀れで、子の死をしってがっくりと肩を落とすところなど胸をつかれた。後ジテの龍神は迫力。

間狂言で種之助の浜の男、米吉の浜の女、丑之助の浜の童。丑之助がきちんとした所作と愛嬌のある表情でしっかり役割を果たして立派だった。  

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2022年9月11日日曜日

9月11日 歌舞伎特別公演 第三部

「夏祭浪花鑑」

久しぶりに気持ちが高ぶった。愛之助の団七&お辰をはじめ、鴈治郎、壱太郎、吉弥ら上方の役者で固め、上方の匂いがコッテリ。これぞ上方歌舞伎という面白さだった。

愛之助の団七は当たり役だけあって不足なし。団七は以前より男ぶりが増した感じで、終始格好よく、心理描写も克明で、見ていてゾクゾクする。だけと、シュッとしすぎてなくて泥臭さがあるのが上方らしい。初役というお辰は、美しく色気があって、いいお辰。男女道成寺といい、元々女方として修行していただけあって、女方も違和感ない。ある意味、故勘三郎の二役より似合っていた。泥場は亀鶴の義兵次との立ち回りが絵面のような美しさ。抑えめの「しもた〜」も心情をよく表していた。

青虎の徳兵衛はニンではないのか、奴さんのよう。

亀鶴の義平次は顔が火傷したように赤いのが気になった。三婦内では笠を被って顔を見せず、長町裏になって顔を出したのだが、目の下の隈を強調した化粧が不気味さを醸し出していた。

鴈治郎の三婦、壱太郎のお梶、吉弥のおつぎが上方の風情たっぷり。千寿の磯之氶、りき弥の琴浦、役人の當吉郎、こっぱの権のひかる、なまこの八の愛次郎ら、上方の若手の活躍も嬉しい。市松役の子役さん、終始緊張した面持ちだったけれどかわいかった。 

千穐楽だったので、終演後にカーテンコール。花道をはけた団七・愛之助が、鬘と浴衣を着替えて登場。ざんばら髪に濡れた浴衣のままという訳にはいかないからね。大阪文化芸術創出事業なので、来場していたという吉村知事や大阪府市への感謝を述べるとともに、来月公演の宣伝も。貞子って!?と思っていたけれど、播州皿屋敷もたっぷりすると言っていたので悪くないかも。


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9月10日 歌舞伎特別公演 第二部

 「心霊矢口渡」

壱太郎のお船に鴈治郎の頓兵衛は数年前の国立劇場以来。壱太郎にはよく合っている役なのだが、昼食後だったためちょっと意識が飛んでしまった…。冒頭の、義峯に一目惚れした可愛さ、最後の太鼓を打つ場面、六蔵(亀鶴)との立ち回りなど見どころたっぷり。

義峯の鴈乃助、うてなの段之のカップルは訳あり感。船頭八助に竹之助。立役も違和感なかった。


「博奕十王」

猿之助の博奕打、青虎の閻魔大王。猿之助の踊りは軽快で表現力が豊か。踊りだけでも楽しい。

9月10日 歌舞伎特別公演 第一部

 「傾城反魂香」

鴈治郎の又平に猿之助のおとくは、鴈治郎襲名以来。前回がよかったので期待していたのだが、又平が吃りというよりものすごく滑舌の悪い人になっていて、「さしすせそ」が「シャシィシュシェショ」みたいな感じ。何を言っているのかほとんど聞き取れなかった。苗字を許されてからの愛嬌は鴈治郎の持ち味。猿之助は遠目のせいか、化粧のせいか、香川照之に似て見えた。ちょっと意地悪そうな顔にも見えたど、セリフがうまいので段々違和感はなくなった。

修理之介の翫政に胸熱。又平が修理之介の足に縋りつくところなど、どんな気持ちで演じているのだろうと思ったり。土佐将監の寿治郎も元気な姿が嬉しい。


「男女道成寺」

愛之助の白拍子桜子実は狂言師左近、壱太郎の花子。愛之助の女方はどうかと思っていたけれど、普通に美しかった。ちょっと千寿に似てた。踊りも、壱太郎と並んでも遜色ない感じ。シンクロしたふりが美しい。狂言師の正体を表してからの三つ面を使っての踊りわけは後半バタバタして見えたけど。

壱太郎は初役だそうだが、男女でない道成寺は経験があるだろうし。

剛力の不動坊に千太郎、普文坊に愛三郎。千太郎は白拍子に見惚れる仕草などにおかしみがあった。

2022年9月4日日曜日

9月4日 前進座「東海道四谷怪談」

南座の公演が浪宅だけで少々物足りなかったので、前後も含めての上演に期待していたのだが…。
國太郎はお岩、茶屋女おもん、小仏小平に小平女房お花の4役。だが、肝心のお岩様が今ひとつ。不調のためか声に精彩がなかったのと、化粧のせいか顔もなんだかやつれて見えた。それも、病み衰えてというより、疲れた感じ。武家の娘という品格も薄かった。伊右衛門の裏切りを知ってからは、怒りが強い感じ。小平との早替わりでは、舞台裏を走っている足音が聞こえて興醒め。
伊右衛門の芳三郎は色悪というより単なる悪党。悪いのは悪いのだけど、小悪党というか。低くない声も凄みに欠ける。
お袖の玉浦祐之介は声がよく、女優?と見まごうほど。
一番役にはまっていたのは、直助の矢之輔。年齢がいっているのは置いておいて、直助の軽さや小狡さが役に合っていて唯一と言っていいくらい芝居らしさが感じられた。 

脚本も前進座版なのか色々違うところがあって、伊右衛門のダメ押しの「離すなよ」のセリフがなかったり、髪梳きの後で絶命するところで刀に首が刺さる前に既に幽霊の手になっていたり。余り上演されない「三角屋敷」は興味深く観た。