2022年9月15日木曜日

9月15日 秀山祭九月大歌舞伎 第三部

「仮名手本忠臣蔵」祇園一力茶屋の場 

仁左衛門の由良之助が期待通り素晴らしい。九太夫にタコを食わせられた時に覗かせる怒りや、お軽に見受けの話をするところでふと見せる憐れむ表情など、細かな心情描写が物語に深みを与える。雀右衛門のお軽もよく、華があり、身請けを素直に喜ぶいじらしさが胸を打つ。
これに比べて海老蔵の平右衛門がよろしくない。時代物野芝居の中で一人だけ世話物みたいな違和感。花道を出てきた時、顔が浅黒くて、小鼻のあたりの隈?が汚れみたいみ見えた。武士と言っても下級の足軽だし、身分の低さを表しているのかと思おうとしたけれど、なんか違う。セリフの軽さが町火消しみたい。目があらぬ方を見ているというか、視線に力がないのもマイナス。子供が不貞腐れているみたいだった。
力弥の千之助はナヨナヨしすぎではないか。柔らかみのある役だけど、由良之助に耳打ちする仕草など、シナを作っているみたいだった。最近女方が多かったからその名残り? すでに何度か勤めている役なので、所作が身について余裕が出てきたということなのかもしれないが。

「藤戸」 

菊之助が素晴らしい。花道を出てきたところから、ひとつ一つの所作、表情が丁寧で、母の悲しみをくっきり描くる。ちょっと老けた風情がより哀れで、子の死をしってがっくりと肩を落とすところなど胸をつかれた。後ジテの龍神は迫力。

間狂言で種之助の浜の男、米吉の浜の女、丑之助の浜の童。丑之助がきちんとした所作と愛嬌のある表情でしっかり役割を果たして立派だった。  

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