南座の歌舞伎鑑賞教室が縁という美吉屋一門が落語に挑むお楽しみ。本職の役者だから、芝居噺の芝居部分はさすがのうまさだが、普段の落語よりもボリュームがある上に歌舞伎役者の間なので少し長く感じた。落語家は芝居の上手い人でもやはり落語の芝居だったのだなあと。
九雀「まめだ」
まめだの哀れさが強くて、こんなに悲しい話だったかと思う。
吉太朗「蔵丁稚」
ものすごく緊張していて、特にマクラはしどろもどろで終始着物の裾を直していた。丁稚のこまっしゃくれた可愛さ、主人のとの語り分けもしっかりしていて、芝居の部分になるとさすがの口跡の良さ。ひとりで演じて忠臣蔵四段目の緊張感を描き出していたのはあっぱれ。
折乃助「転宅」
2回目とあって、吉太朗よりは落ち着いた様子。特に後半は伸び伸びとして良かった。妾の色っぽさ、泥棒は普段はほとんど演じない男の役なので新鮮。弁天小僧の名乗りなど聞かせどころもよかった。
吉弥「質屋芝居」
意外なくらい緊張していて、本題に入ってからも羽織を脱がないのでハラハラしてしまった。忠臣蔵三段目の刃傷から裏門、鷺坂坂内までと盛りだくさん。坂内のところは日本舞踊のように形が決まって、「いい形!」と大向こうもバッチリ。立ち回りのところは舞台の左右から吉太朗と折乃助が出てきて3人で大いに見せた。
九雀「芝浜」
慣れない落語に挑戦する3人を憚って江戸弁で。イントネーションには違和感なかったけれど、ちょっともっちゃりした感じ。前半はサラサラとすぎたが、3年後の大晦日の告白はたっぷりと。
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