第一部
聖・清公。
聖は真っ直ぐな語りぶりに好感が持てる。語り分けや音の使い方は未熟だけれど、ちゃんと真ん中で語ってる感じがする。狐言葉の前までだったのは、まだ彼には荷が重いという判断だろうか。
清公もきっぱりした弾きぶりがよい。音の大きさでなく、寸法がちょっと小さく感じられるのが、若手ってことなのかと思った。
「勘平腹切りの段」
睦・清允。
聖と比べれば格段の上手さで出だしはとても良かった。後半、ばてたのか声が掠れてきたのと、婆(女性)の語りがもう一つ。
清允は健闘してたけど、やはり寸足らずに聞こえた。
「山の段」
靖・清方。
山椒大夫の話は素浄瑠璃でしか残っていないのかな。靖は度々手がけているようだが、うーん。三味線が未熟だと語りにくいのか。
清方はよく弾いていたように思ったが。
「九郎助住処の段」
碩・藤蔵。
この日一番の聞き物。のびのびとした語りで、スケールの大きさを感じた。語り分けもできてたし、情景描写にもメリハリがあった。何より、太郎助が健気で可愛いのがいい。
藤蔵は唸り声は控えめで、太夫を上手く乗せていた。
第二部
「妙心寺の段」は小住・藤之亮。
三味線を盛り立てる語り。大きな語りで、隙間を埋めるような。藤之亮は固かったが、大きなミスはなかったのでは。
「夕顔棚」は薫・清志郎。
チャリっぽくなる癖を抑えてまずまず。
「花渡しの段」は亘・寛太郎。
「油店の段」は織・燕二郎。
チャリだから軽くていいのだけどやや早口で忙しない感じ。予定時間より10分ほど巻いて終わった。
コトバが多く、三味線は3分の2くらい弾かないでじっとしているので、燕二郎の稽古になるのかと思ったら、燕三の指示なのだそう。
3回目を迎える素浄瑠璃の会だが、台風の影響もあって客席が寂しかったのが残念。