冒頭は、出演者が次々と行き交い、登場人物を披露するあべの歌舞伎恒例の演出。客席から出てくる人もいて、暗転したら急に隣りに役者が隣にいて驚いたけれど、これも観客サービス与ね。
初日だけあって所々セリフの出だしが怪しいところがあったけど、キャラクター造形がしっかりしているのは頼もしい。
中心メンバーの3人はそれぞれ二役を演じて、敵役の八坂源次兵衛役の松十郎はゾクゾクする悪人ぶり。もう一役の中川縫之助は全くの別人。お縫と月岡刑部の女房梅野を演じた千寿も、若い娘と老け役を演じ分ける。特に老け役、白髪でもないのにちゃんと母親に見えた。千次郎は作者・亀谷東西役で講談師さながらに物語の導入や背景説明を担い、奴駒平(向井善九郎)役では二枚目を好演。
お縫の夫、松田新蔵役の翫政、月岡刑部の當十郎、その娘、お沢の當史弥、松枝のりき弥、中元只助の佑次郎は初演と同じ役。それぞれ進化していたように思った。お沢の當史弥は少し老けていて松枝の姉というより母のよう。好きだけど。
八坂の弟、源内は初役で愛治郎。兄の悪事の片棒を担ぐ小悪人をよく演じた。
芝居としては、通し狂言を3時間にまとめるにあたって、序幕は細切れのような背景説明になってしまうのは仕方ないのか。二幕で竹本が入ると俄然面白くなった。
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