人形は三人出遣いで、左を違う玉男の奮闘ぶりが微笑ましい。人形の胴体を支えていたのは主遣いをサポートするため。後のトークによると、今の子は背が高いので人形の位置が高すぎたり、移動の歩幅が大きいのでついていくのが大変なのだとか。
床は亘、薫、靖に清允、清方、清志郎。床とお囃子と人形の足踏みが崩壊しそうになりながらすんでのところで留まるスリリングな展開。鈴のリズムがビミョーだったのは初めての経験だった。
舞台転換の間、幕前で勘十郎のトーク。遅れて加わった玉男は、左遣いを終えたばかりで汗びっしょり。坂内、八右衛門は共に初役だそう。
「裏門の段」
床は呂勢・清公。解説でも度々語る場だが、普段はたいてい若手の太夫。呂勢の語りの安定感たるや。安心して聞いていられるし、この場面の面白さを再認識した気がする。「勘平の男は廃ったわやい」の声の調子に凛々しさというか、男らしさが滲んだのが新鮮。坂内のチャリもハラハラしないで、ただおかしいというのは貴重だ。清公は懸命な様子に好感が持てる。
人形は勘助の勘平、お軽が柔らかみがあってよかった。勘十郎の坂内は流石の面白さ。
トークは清公、玉峻、玉征。
「新口村」
薫・清志郎。薫は大きな声で懸命に語るのは若手らしくていいのだが、音程がとても怪しい。声質もガチャガチャした印象。
切は呂・友之助。呂はいつも通りの省エネ運転。友之助は気合が入ったのか、泣きの場面で泣きそうな顔をして弾いているのが気になった。こんなに表情変えながら弾く三味線は初めて。
人形は勘介の忠兵衛、勘次郎の梅川。勘次郎の頭にずっと紙吹雪のかけらがついていて髪飾りのようでつい目がいってしまう。
旗振り役の玉翔がコロナで休演になり、急遽配役変更に。それでも上演できてよかった。
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