愛之助の伊右衛門は色悪の悪どさが薄いなと思ったが、パンフレットの玉三郎のコメントによると、あえて写実にしたらしい。言われてみれば、浪宅に戻った伊右衛門にお岩が死後のことを聞くくだりで、はじめは遠慮や戸惑いがありつつも、冷酷な言葉を重ねるうちに吹っ切れていったように見えた。
玉三郎の岩は、武家の娘の気品を保ちつつも、醜くなってしまった女の哀れが悲しい。宅悦かっこ松之助)と揉み合って死ぬところはあっさり。
吉太郎の梅は、控えめで可憐ながら伊右衛門への恋慕をにじませる。乳母おまさの歌女之丞が手堅い。
小仏小平に喜多村緑郎、後家お弓に河合雪之丞と、新派に移った2人が歌舞伎の舞台に立つのが嬉しい。喜多村の小平は格好良すぎるけど。
「元禄花見踊」は打って変わって華やか。玉三郎の美しさは言うまでもなく、吉弥や千次郎ら上方の役者が加わったのも嬉しい。
0 件のコメント:
コメントを投稿