愛之助の伊右衛門がよりクールに。あまり地声を使わず、かと言って超低音というほどでもなく、ほどほどの低さ。はじめはただ貧乏暮らしや赤子の鳴き声を疎ましく思っているのが、伊藤家へ赴き、岩に毒を盛られたと知るに及んで、裏切りの決意をするまでの心の動きを克明に描いた。
吉太郎のお梅は一見可憐なのに、思い詰めた目つきに恋の狂気が滲む。
千秋楽だったので、カーテンコールが2回。といって、何かを話すことはなく、2回目は皆で扇を振ってお別れ。華やかだった 。
2022年8月28日日曜日
2022年8月27日土曜日
8月27日 河東けい ひとり語り「母」のすべて
河原けいの最後の舞台と銘打った一人芝居。小林多喜二の母、セキの独白で多喜二の青年期から獄中死するまでを綴る。車椅子で登場死、声量は小さめだったけれど、ピッコロシアター中ホールでは十分に聞こえたし、声の張り、緩急、滑舌はしっかりしていて、もう2、3回はできるのではと思った。河東のセキは田舎の純朴な母親そのもの。2時間弱の舞台は濃密で、集中して観られた。
アフタートークで、演出のふじたあさやと対談。アンサンブル芝居への反動で一人芝居が流行りだした時に、何かいい題材はないかと探していた時に、三浦綾子の「母」と出会って戯曲化したこと。今回の公演は体調面での不安があったので、非常時に備えてふじたや朗読で参加した末永直美が控えていたことなど、舞台裏を話してくれた。
2022年8月25日木曜日
8月25日 上方歌舞伎会
「伊勢音頭恋寝刃」
愛治郎の福岡貢。セリフは固く、間も今ひとつだが、立ち回りはよい。奥庭の場に変わって襖を破って出てくるところからは、目つき、顔つきも変わって、殺気が滲む。
万野の折之助は吊り目の化粧で、意地悪そう。セリフの嫌味っぷりは十分だが、もう少し色気や柔らかみが欲しい。
お岸の千太郎は健闘だけれど、成長期のせいか顔立ちが角張ってみえるのが損している。
千野の千壽、お紺のりき彌、鴈政の喜助は手慣れた様子。お鹿の鴈大は特に不細工にしようとしていない化粧はいいが、芝居も素のままという感じで、もう少し可愛げがあったらと思った。
初めての女方という仲居の愛三郎が可愛らしい。若い頃の七之助を思わせるスッキリ系美人。
愛治郎の福岡貢。セリフは固く、間も今ひとつだが、立ち回りはよい。奥庭の場に変わって襖を破って出てくるところからは、目つき、顔つきも変わって、殺気が滲む。
万野の折之助は吊り目の化粧で、意地悪そう。セリフの嫌味っぷりは十分だが、もう少し色気や柔らかみが欲しい。
お岸の千太郎は健闘だけれど、成長期のせいか顔立ちが角張ってみえるのが損している。
千野の千壽、お紺のりき彌、鴈政の喜助は手慣れた様子。お鹿の鴈大は特に不細工にしようとしていない化粧はいいが、芝居も素のままという感じで、もう少し可愛げがあったらと思った。
初めての女方という仲居の愛三郎が可愛らしい。若い頃の七之助を思わせるスッキリ系美人。
「 乗合船恵方万歳」
太夫の當吉郎の踊りはカウントで動いている感じ。オンカウント過ぎるのだろうか。才蔵の松四郎は三枚目らしい。白酒売の愛三郎は同じく可憐な女方。女船頭の當史弥に年増の色気。
終演後の挨拶で、仁左衛門が「1週間の経過より2日の公演」、孝太郎も「稽古でできていなかったことができている」。客席の力を受けて成長するのだなあ。
仁左衛門が出演者一人一人に挨拶というか、役名と名前を言うように促し、客席には「拍手は最後にまとめて」と言っておきながら、最初の愛治郎が挨拶したところで率先して拍手してしまい照れ笑いする一幕も。
太夫の當吉郎の踊りはカウントで動いている感じ。オンカウント過ぎるのだろうか。才蔵の松四郎は三枚目らしい。白酒売の愛三郎は同じく可憐な女方。女船頭の當史弥に年増の色気。
終演後の挨拶で、仁左衛門が「1週間の経過より2日の公演」、孝太郎も「稽古でできていなかったことができている」。客席の力を受けて成長するのだなあ。
仁左衛門が出演者一人一人に挨拶というか、役名と名前を言うように促し、客席には「拍手は最後にまとめて」と言っておきながら、最初の愛治郎が挨拶したところで率先して拍手してしまい照れ笑いする一幕も。
2022年8月21日日曜日
8月21日 坂東玉三郎特別公演「東海道四谷怪談」
愛之助の伊右衛門は色悪の悪どさが薄いなと思ったが、パンフレットの玉三郎のコメントによると、あえて写実にしたらしい。言われてみれば、浪宅に戻った伊右衛門にお岩が死後のことを聞くくだりで、はじめは遠慮や戸惑いがありつつも、冷酷な言葉を重ねるうちに吹っ切れていったように見えた。
玉三郎の岩は、武家の娘の気品を保ちつつも、醜くなってしまった女の哀れが悲しい。宅悦かっこ松之助)と揉み合って死ぬところはあっさり。
吉太郎の梅は、控えめで可憐ながら伊右衛門への恋慕をにじませる。乳母おまさの歌女之丞が手堅い。
小仏小平に喜多村緑郎、後家お弓に河合雪之丞と、新派に移った2人が歌舞伎の舞台に立つのが嬉しい。喜多村の小平は格好良すぎるけど。
「元禄花見踊」は打って変わって華やか。玉三郎の美しさは言うまでもなく、吉弥や千次郎ら上方の役者が加わったのも嬉しい。
玉三郎の岩は、武家の娘の気品を保ちつつも、醜くなってしまった女の哀れが悲しい。宅悦かっこ松之助)と揉み合って死ぬところはあっさり。
吉太郎の梅は、控えめで可憐ながら伊右衛門への恋慕をにじませる。乳母おまさの歌女之丞が手堅い。
小仏小平に喜多村緑郎、後家お弓に河合雪之丞と、新派に移った2人が歌舞伎の舞台に立つのが嬉しい。喜多村の小平は格好良すぎるけど。
「元禄花見踊」は打って変わって華やか。玉三郎の美しさは言うまでもなく、吉弥や千次郎ら上方の役者が加わったのも嬉しい。
2022年8月20日土曜日
8月20日 文楽素浄瑠璃の会
「碁平太平記白石噺」 逆井村の段
錣・藤蔵。 語りと三味線のバランスが良く、情感のある語りで、今日一番聞き応えがあった。藤蔵の掛け声もほどほどで。知っている話ではあるけれど、ちゃんと情景が目に浮かんだ。
千歳・富助。51年ぶりの上演ということで、馴染みのない話だからか、話の筋が分かりづらい。演奏もこなれていない感じがした。
千歳は仰反るような姿勢が度々あり、声が前に出ていないように感じた。富助の三味線も精彩を欠いた。
「奥州安達原」 袖萩祭文の段
千歳は仰反るような姿勢が度々あり、声が前に出ていないように感じた。富助の三味線も精彩を欠いた。
「奥州安達原」 袖萩祭文の段
呂・清介。出だしはさすが年の功と思ったのだが、聴きつづけるにつれ、起伏に乏しいのがしんどく、冗長に感じた。音量を抑えた語りも、弱っている袖萩の表現としてはアリかなとや思ったが、やっぱり義太夫らしくない。遠くの出来事を眺めているようで、泣けなかった。
「源平布引滝」久郎助住家の段
「源平布引滝」久郎助住家の段
錣・藤蔵。 語りと三味線のバランスが良く、情感のある語りで、今日一番聞き応えがあった。藤蔵の掛け声もほどほどで。知っている話ではあるけれど、ちゃんと情景が目に浮かんだ。
2022年8月16日火曜日
8月16日 地主薫バレエ団「未来へ繋がるダブル・ビル」
「シンデレラ」
案内役の岩本乃蒼アナによるあらすじやマイムの説明を交えて約1時間の短縮版だったが、そうとは感じさせない充実した一幕。シンデレラの奥村唯はほっそりした肢体が可憐で役に合っている。バレエ学校の子どもたちによる小ネズミが可愛く、シンデレラに甘える様子などほのぼのした。義理の姉たちの大久保沙耶、徳彩也子はイジワルだけどキュートさがあり、嫌な感じはない。継母の金克潤もいい味出してた。
王子の石神航一は抜擢だそうだが、ごめん。登場したとき王子を先導する従者かと思ってしまった。王侯貴族の威厳を醸すには経験がいるのだろう。
「ジゼル」
倉永美沙が直前で来日できなくなり、急遽小野絢子が代役だったが、さすがの一言。ジゼルの可憐さ、健気さ、優雅な舞が素晴らしい。そして、奥村康祐のアルブレヒトがすごくチャーミングで、このアルブレヒトだったら許してしまうのも納得。身分の差はありながらもジゼルを愛しいと思っているのが感じられたし、婚約者に素性を明かされそうになった時にシーッと口に手をやって気遣うところなど、細かいところまで行き届いた演技。2幕では精霊となったジゼルを捕まえようとしてもすれ違うもどかしさ。ウィリーたちに踊らされるところの連続シャンジュマンは本当に辛そうで。新国立劇場の公演がますます楽しみになった。
案内役の岩本乃蒼アナによるあらすじやマイムの説明を交えて約1時間の短縮版だったが、そうとは感じさせない充実した一幕。シンデレラの奥村唯はほっそりした肢体が可憐で役に合っている。バレエ学校の子どもたちによる小ネズミが可愛く、シンデレラに甘える様子などほのぼのした。義理の姉たちの大久保沙耶、徳彩也子はイジワルだけどキュートさがあり、嫌な感じはない。継母の金克潤もいい味出してた。
王子の石神航一は抜擢だそうだが、ごめん。登場したとき王子を先導する従者かと思ってしまった。王侯貴族の威厳を醸すには経験がいるのだろう。
「ジゼル」
倉永美沙が直前で来日できなくなり、急遽小野絢子が代役だったが、さすがの一言。ジゼルの可憐さ、健気さ、優雅な舞が素晴らしい。そして、奥村康祐のアルブレヒトがすごくチャーミングで、このアルブレヒトだったら許してしまうのも納得。身分の差はありながらもジゼルを愛しいと思っているのが感じられたし、婚約者に素性を明かされそうになった時にシーッと口に手をやって気遣うところなど、細かいところまで行き届いた演技。2幕では精霊となったジゼルを捕まえようとしてもすれ違うもどかしさ。ウィリーたちに踊らされるところの連続シャンジュマンは本当に辛そうで。新国立劇場の公演がますます楽しみになった。
2022年8月14日日曜日
8月14日 東京シティバレエ団「白鳥の湖」
藤田嗣治の舞台美術に惹かれて劇場へ。1幕の王子の誕生会が緑の中で、森の中のガーデンパーティーの雰囲気。2幕の湖の場面とは一続きの場所という感じがあった。緑の木々が絵本の中のよう。3幕の宮殿はワインレッドでガラリと印象が変わる。とはいえ、観たことのない白鳥という印象は、舞台美術というより、振付や物語の展開によるところが大きい。
古風というか、パがシンプルで、昨今のを見慣れていると物足りなく感じるほど。4幕の幕開きの白鳥の群舞は4×4の隊列に囚われないフォーメーションの変化が面白く、綺麗だった。ラストはオデットをはじめ白鳥たちが人の姿に戻る。早替わりは見事だったけど、ストーリーとしては釈然としなかった。
オニール八菜のオデットはニンではないのかしっくりこない。理知的で自らの境遇を理路整然と説明している風に見えて、哀れさ、儚さが感じられなかった。本調子でないのか、ポワントてのバランスがぐらつくところも。一方のオディールは本領発揮というか、俄然イキイキして見えた。フェッテはシングルに時折ダブルを混ぜる感じだったが、最後は3〜4回転?(少しぐらついたが)
王子のジェルマン・ルーヴェは背が高く、手足の長いこと!オニールとのバランスはよかった。ノーブルな二枚目なのだが、(彼のせいではなく演出のためだろうが)苦悩する王子ではなくあまり考えていないボンボンといった感じ。3幕幕ではまんまと騙される間抜けぶりに失笑してしまった。
古風というか、パがシンプルで、昨今のを見慣れていると物足りなく感じるほど。4幕の幕開きの白鳥の群舞は4×4の隊列に囚われないフォーメーションの変化が面白く、綺麗だった。ラストはオデットをはじめ白鳥たちが人の姿に戻る。早替わりは見事だったけど、ストーリーとしては釈然としなかった。
オニール八菜のオデットはニンではないのかしっくりこない。理知的で自らの境遇を理路整然と説明している風に見えて、哀れさ、儚さが感じられなかった。本調子でないのか、ポワントてのバランスがぐらつくところも。一方のオディールは本領発揮というか、俄然イキイキして見えた。フェッテはシングルに時折ダブルを混ぜる感じだったが、最後は3〜4回転?(少しぐらついたが)
王子のジェルマン・ルーヴェは背が高く、手足の長いこと!オニールとのバランスはよかった。ノーブルな二枚目なのだが、(彼のせいではなく演出のためだろうが)苦悩する王子ではなくあまり考えていないボンボンといった感じ。3幕幕ではまんまと騙される間抜けぶりに失笑してしまった。
2022年8月13日土曜日
8月13日 能・義太夫節・歌舞伎 謡かたり「隅田川」
義太夫の語りに能楽のお囃子、歌舞伎の立方によるコラボレーション。詞章は能をペースにしていて、謡語りのような出だし。
母のセリフは菊之助、それ以外の登場人物は咲太夫という語り分けだが、子の死を知った母が咽び泣くところや、南無阿弥陀仏と念仏を唱えるところでは声を重ねる演出で、母の嘆きがより深く伝わる。
見えるのに触れられない息子の幻を探すところは、能のカケリ?に則って近くや遠くを探すよう工夫したのだとか。菊之助が美しくも悲しい狂乱ぶりで、途中仰反る仕草が印象的。最後の引っ込みはどこかへ消えてしまうようと思ったら、この後、息子の後を追って入水する演出だったそう。
すみだトリフォニーホールはクラシック用なので天井が高く、音が拡散してしまう。マイクを使っていたため、聞こえないことはなかったが、変に響くのが気になった。1回席がほとんどフラットなので、舞台が見えにくいという問題も。
アフタートークで、道行は重の井子別れを参考に、燕三が作曲したのだそう。梅若をいじめる件は、一番文楽らしいと咲太夫。
母のセリフは菊之助、それ以外の登場人物は咲太夫という語り分けだが、子の死を知った母が咽び泣くところや、南無阿弥陀仏と念仏を唱えるところでは声を重ねる演出で、母の嘆きがより深く伝わる。
見えるのに触れられない息子の幻を探すところは、能のカケリ?に則って近くや遠くを探すよう工夫したのだとか。菊之助が美しくも悲しい狂乱ぶりで、途中仰反る仕草が印象的。最後の引っ込みはどこかへ消えてしまうようと思ったら、この後、息子の後を追って入水する演出だったそう。
すみだトリフォニーホールはクラシック用なので天井が高く、音が拡散してしまう。マイクを使っていたため、聞こえないことはなかったが、変に響くのが気になった。1回席がほとんどフラットなので、舞台が見えにくいという問題も。
アフタートークで、道行は重の井子別れを参考に、燕三が作曲したのだそう。梅若をいじめる件は、一番文楽らしいと咲太夫。
2022年8月11日木曜日
8月11日 京都バレエ団「ロミオとジュリエット」
ファブリス・ブルジョワの振付で、ストーリー立ても少し変わっている。幕開き、キャピュレ卿がジュリエットの思い出を書き記している場面から。ドレスを傍にかけているのだが、死んだ娘を偲ぶものがドレスってちょっと違和感。モンタギュー一族とキャピュレット一族の抗争というか、小競り合いの場面や、決闘のシーンが続き、ちょっと冗長に感じた。2幕の広場の場面に出てくる大道芸人の衣装が、体の中心で紫とベージュの2色に分かれていて、女性はいいのだが、男性は半裸みたいに見えて困った。あと、場面転換が暗転ばかりなのも、退屈だった。ラストもキャピュレット卿の書斎で、両家が仲直りするくだりがないのも物足りない。
パリ・オペラ座からのゲスト、フロロン・メラックがロミオ、ロクサーヌ・ストヤノフがジュリエット。スジェとプルミエールダンスールというポジションゆえか、踊りが硬いというか、ニュアンスが薄い気がした。2人とも長身で、日本人ダンサーより頭一つ大きいので、子供の中な大人が混じってるみたいな異質感があった。
ティバルトは鷲尾隆之。死の場面は刺されてから舞台上を大きく動き、見せ場になっていたけれど、ちょっと長すぎるように感じだ。(ダンサーのせいでなく、演出の問題)
よかったのはロザリンドの藤川雅子。柔らかいポワント使いにニュアンスがあり、ロミオを揶揄うようなマイムも饒舌。 キャピュレ卿の山本隆之、キャピュレ夫人の瀬島五月も存在感があった。
パリ・オペラ座からのゲスト、フロロン・メラックがロミオ、ロクサーヌ・ストヤノフがジュリエット。スジェとプルミエールダンスールというポジションゆえか、踊りが硬いというか、ニュアンスが薄い気がした。2人とも長身で、日本人ダンサーより頭一つ大きいので、子供の中な大人が混じってるみたいな異質感があった。
ティバルトは鷲尾隆之。死の場面は刺されてから舞台上を大きく動き、見せ場になっていたけれど、ちょっと長すぎるように感じだ。(ダンサーのせいでなく、演出の問題)
よかったのはロザリンドの藤川雅子。柔らかいポワント使いにニュアンスがあり、ロミオを揶揄うようなマイムも饒舌。 キャピュレ卿の山本隆之、キャピュレ夫人の瀬島五月も存在感があった。
2022年8月9日火曜日
8月9日 蝠聚会
「加賀見山旧錦絵」
草履打の段は清介・清公。
清介の語りは、御隠居のよう。程よく力が抜けて。
「一谷嫩軍記」
「一谷嫩軍記」
熊谷桜の段は寛太郎・宗助。力の入った語りで、力みすぎて喉が開いていないかなという印象。札の前で村人がやいやいするところで笑いが起きていたのは、流石の間のよさ。藤の方ら女性同士のやり取りは高音が辛そうだったが、その後の梶原の力強い口調は立派だった。
「義経千本桜」
「義経千本桜」
川連法眼館の段は藤蔵・清志郎に清允のツレ。藤蔵の忠信はウエットな印象。やり切ったのか、最後まで語り切ると客席を見回し、ドヤといった表情だったので思わず笑ってしまった。
2022年8月7日日曜日
8月7日 BALLET The New Classic
平場の舞台と客席が近く、ダンサーを間近で見られるという謳い文句はいいのだが、バレエは足元が見たいので、足元が見えにくいのは不満足。
「ローズアダージョ」
水谷実喜のオーロラ。モダンなピンクのチュチュに合わせて髪もピンクに色付けられて、深窓の姫というよりは活発な現代っ子の雰囲気。王子たち(堀内将平、池本祥真、太田倫功、高野陽年)の衣装は素肌に黒のロングジャケットで、なんというか、オラオラ感が…。テクニックは素晴らしかった。音楽はピアノのみだったので、ffで盛り上がるところがちょっと物足りなかった。
「HOMEM」
2部はライモンダのバリエーションをダンサーが踊り繋ぐ趣向で、一体感が見られたのがいい。実力のあるdancerの中で中村祥子が女王の貫禄。
「ローズアダージョ」
水谷実喜のオーロラ。モダンなピンクのチュチュに合わせて髪もピンクに色付けられて、深窓の姫というよりは活発な現代っ子の雰囲気。王子たち(堀内将平、池本祥真、太田倫功、高野陽年)の衣装は素肌に黒のロングジャケットで、なんというか、オラオラ感が…。テクニックは素晴らしかった。音楽はピアノのみだったので、ffで盛り上がるところがちょっと物足りなかった。
「HOMEM」
菅野茉里奈。エキゾチックでモダンな踊り。
「シェヘラザード」 よりパドドゥ
横山瑠華、堀内将平。
男女の駆け引きがスリリングでセクシー。モノトーンの衣装がスタイリッシュだった。
男女の駆け引きがスリリングでセクシー。モノトーンの衣装がスタイリッシュだった。
「Moment in Time」
秋山瑛、池本祥真、太田倫功。秋山の衣装が、レオタードにフリル状の飾りがついていたのだが、ゴテゴテしてラインを隠してしまっていたのが勿体無いと思った。
「ジゼル」よりパドドゥ
森田愛海、高野陽年。長身の森田が出てきた時、一瞬中村祥子?と見間違えた。ジゼルはレースを重ねたようなふわっとした衣装が幻想的。アルブレヒトも白い衣装で、それ自体は婚礼衣装か死装束かという感じだが、胸元が大きく開いてあるのがいただけなかった。
「瀕死の白鳥」
中川祥子のアームズがうねるような繊細な動き。死の間際に生を希求するようで胸に迫った。これだけでも観に来たかいがあった。
「瀕死の白鳥」
中川祥子のアームズがうねるような繊細な動き。死の間際に生を希求するようで胸に迫った。これだけでも観に来たかいがあった。
「ボレロ」
ピアノソロにアレンジされた曲はジャジーな印象。二山治男のしなやかな踊りも良かった。
ピアノソロにアレンジされた曲はジャジーな印象。二山治男のしなやかな踊りも良かった。
2部はライモンダのバリエーションをダンサーが踊り繋ぐ趣向で、一体感が見られたのがいい。実力のあるdancerの中で中村祥子が女王の貫禄。
2022年8月6日土曜日
8月6日 文楽夢想
「二人三番叟」
人形は三人出遣いで、左を違う玉男の奮闘ぶりが微笑ましい。人形の胴体を支えていたのは主遣いをサポートするため。後のトークによると、今の子は背が高いので人形の位置が高すぎたり、移動の歩幅が大きいのでついていくのが大変なのだとか。
床は亘、薫、靖に清允、清方、清志郎。床とお囃子と人形の足踏みが崩壊しそうになりながらすんでのところで留まるスリリングな展開。鈴のリズムがビミョーだったのは初めての経験だった。
舞台転換の間、幕前で勘十郎のトーク。遅れて加わった玉男は、左遣いを終えたばかりで汗びっしょり。坂内、八右衛門は共に初役だそう。
「裏門の段」
床は呂勢・清公。解説でも度々語る場だが、普段はたいてい若手の太夫。呂勢の語りの安定感たるや。安心して聞いていられるし、この場面の面白さを再認識した気がする。「勘平の男は廃ったわやい」の声の調子に凛々しさというか、男らしさが滲んだのが新鮮。坂内のチャリもハラハラしないで、ただおかしいというのは貴重だ。清公は懸命な様子に好感が持てる。
人形は勘助の勘平、お軽が柔らかみがあってよかった。勘十郎の坂内は流石の面白さ。
トークは清公、玉峻、玉征。
「新口村」
薫・清志郎。薫は大きな声で懸命に語るのは若手らしくていいのだが、音程がとても怪しい。声質もガチャガチャした印象。
切は呂・友之助。呂はいつも通りの省エネ運転。友之助は気合が入ったのか、泣きの場面で泣きそうな顔をして弾いているのが気になった。こんなに表情変えながら弾く三味線は初めて。
人形は勘介の忠兵衛、勘次郎の梅川。勘次郎の頭にずっと紙吹雪のかけらがついていて髪飾りのようでつい目がいってしまう。
旗振り役の玉翔がコロナで休演になり、急遽配役変更に。それでも上演できてよかった。
人形は三人出遣いで、左を違う玉男の奮闘ぶりが微笑ましい。人形の胴体を支えていたのは主遣いをサポートするため。後のトークによると、今の子は背が高いので人形の位置が高すぎたり、移動の歩幅が大きいのでついていくのが大変なのだとか。
床は亘、薫、靖に清允、清方、清志郎。床とお囃子と人形の足踏みが崩壊しそうになりながらすんでのところで留まるスリリングな展開。鈴のリズムがビミョーだったのは初めての経験だった。
舞台転換の間、幕前で勘十郎のトーク。遅れて加わった玉男は、左遣いを終えたばかりで汗びっしょり。坂内、八右衛門は共に初役だそう。
「裏門の段」
床は呂勢・清公。解説でも度々語る場だが、普段はたいてい若手の太夫。呂勢の語りの安定感たるや。安心して聞いていられるし、この場面の面白さを再認識した気がする。「勘平の男は廃ったわやい」の声の調子に凛々しさというか、男らしさが滲んだのが新鮮。坂内のチャリもハラハラしないで、ただおかしいというのは貴重だ。清公は懸命な様子に好感が持てる。
人形は勘助の勘平、お軽が柔らかみがあってよかった。勘十郎の坂内は流石の面白さ。
トークは清公、玉峻、玉征。
「新口村」
薫・清志郎。薫は大きな声で懸命に語るのは若手らしくていいのだが、音程がとても怪しい。声質もガチャガチャした印象。
切は呂・友之助。呂はいつも通りの省エネ運転。友之助は気合が入ったのか、泣きの場面で泣きそうな顔をして弾いているのが気になった。こんなに表情変えながら弾く三味線は初めて。
人形は勘介の忠兵衛、勘次郎の梅川。勘次郎の頭にずっと紙吹雪のかけらがついていて髪飾りのようでつい目がいってしまう。
旗振り役の玉翔がコロナで休演になり、急遽配役変更に。それでも上演できてよかった。
2022年8月5日金曜日
8月5日 霜乃会本公演「婦女模様芸瓦版」
京山幸太を進行役に、新作浪曲で作品紹介。
林本大のシテで「羽衣」。袴能で見るのは初めてで、所作や謡に集中できた。
紋四郎の落語は「宿替え」
南龍の「一休禅師地獄問答」。地獄太夫の悲話なのだが、前振りが長すぎて、今ひとつ感動に至らず。のちのトークで「可哀想で」と言っていたけれど、ちゃんと泣かせてほしい。
碩太夫・燕二郎で「妹背山婦女庭訓 姫戻りの段」。緊張した面持ちだったのは、師匠の燕三が客席にいたからか。清々しい演奏だった。
8月4日 晴の会「伊勢参宮神乃賑」
第2回で初演した作品の再演ということだが、キャストも内容もだいぶ変わっていて、新作のよう。
清八は初演に続いて松十郎だが、喜六は翫政。同期だった千次郎とのコンビは対等の友人といった感じだったが、翫政とのコンビは、作中で喜六が清八のことを「兄貴」と呼ぶように兄弟っぽさがあった。翫政は少しぎこちなさが残るところもあったが、立派な主役ぶり。
七度狐の千壽が初演に続き、というかそれ以上の大活躍で、煮売屋の婆から遊女おこん、仙女と次々に姿を変え、婆の怪しさ、遊女の色っぽさとガラリと変わる鮮やかさ。
初演は3人だけだったが、幕開きの巫女役に當史弥、千太郎、七度狐の手下の根太・お仲夫婦に佑次郎、りき彌と、上方役者勢揃いの様相。昼間は南座出演の千次郎も駆けつけ、尼妙林役で花を添える。
煮売屋で注文をするところで、勧進帳のようなやりとりがあったり、遊女が清八を誘惑するところで、油地獄のようなシーンがあったりと、歌舞伎のパロディが散りばめられているのも面白かった。
冒頭、亀屋東斎のこしらえで千次郎が挨拶をする映像を流したのだが、声が小さく聞き取れない。…と思ったら客席後方から千次郎が駆け降りて舞台に上がり、急遽口上。演出かと思ったら本当にトラブルだったらしい。
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