2022年7月16日土曜日

7月16日 文楽公演第2部

 「心中天網島」

北新地河庄の段の中を睦・勝平、前を呂勢・清治、後を織・清志郎。

睦は掠れ声が聞きづらい。女性だけでなく、治兵衛も辛かった。口三味線で開放弦を口ずさんでいるはずなのに、音程がぶれるのはいかに。湿気のせいか勝平の三味線の音色がいまひとつ冴えない。

前は繊細な心理描写を三味線の旋律が彩り、呂勢は音採りが安定しているので安心して聞いていられる。義太夫節は音楽なのだなあと改めて感じた。途中、床裏から駒の入った箱が差し入れられ、交換していた。舞台に出て音の感じが違うとなったのだろうか?どうやって合図したんだろう。

織は表情が先に立つ感じで情感たっぷり。清志郎が突っ込んでいく演奏で緊迫感があった。

天満紙屋内の段は口を咲寿・寛太郎、切を錣・宗介。

今日の咲寿は声が安定していて悪くなかった。

錣は切の字がつき、弟子の聖太夫が白湯くみで控える。滴るような情が溢れる語りで、感情を揺さぶられる。

大和屋の段は咲・燕三。

久しぶりに元気そうな姿を見られて一安心。声は少し弱いものの、節づかいの確かさは頼もしい。

道行名残の橋づくしは三輪、睦、津国、咲寿、文字栄に団七、団吾、清丈、清公、清方。

人形は勘十郎の小春に玉男の治兵衛、和生のおさんと同世代3人が久しぶりに揃う豪華さ。小春は首がもげるくらい深く俯いていて、ちょっと心配になるくらい。治兵衛のダメ男ぶり、おさんの出来過ぎぶりと、人物描写が的確。玉也の孫右衛門の抑えの効いた演技がよかった。

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