バリアフリー演劇で、字幕、手話通訳、音声の実況がつく。手話通訳は舞台上を移動し、時に俳優と絡んだりと、芝居に一体化してる。音声の実況は少し煩く感じた。
サリバン役が少しオーバーアクションだが、熱意は伝わった。
2019年8月31日土曜日
8月29日 若手素浄瑠璃の会
「袖萩祭文」
小住と賛助出演の錦糸。
的確な運びの三味線に導かれ、小住が健闘した。袖萩のクドキなんかはまだまだのところもあるが、貞任、宗任は力強く、キレがいい。三味線に負けじと、緊迫した雰囲気。汗が大量に滴るのを拭かずにいるのではらはらした。
「すし屋の段」
希・清丈。
希は大きな破綻はなかったが、全体的に少し物足りない。高音が苦しそうだったのも気になった。三味線は決して下手ではないのだが、錦糸の後に聞くと分が悪い。
小住と賛助出演の錦糸。
的確な運びの三味線に導かれ、小住が健闘した。袖萩のクドキなんかはまだまだのところもあるが、貞任、宗任は力強く、キレがいい。三味線に負けじと、緊迫した雰囲気。汗が大量に滴るのを拭かずにいるのではらはらした。
「すし屋の段」
希・清丈。
希は大きな破綻はなかったが、全体的に少し物足りない。高音が苦しそうだったのも気になった。三味線は決して下手ではないのだが、錦糸の後に聞くと分が悪い。
2019年8月29日木曜日
0828 第五回 研の會
「弁天娘女男白浪」
右近の弁天は声がよい。おそらく、菊五郎の教えを忠実に演じているのだろうということが感じられた。初日のためか、少しセリフが上滑りするよう。正体を現してからは、地声なのか甲高い声で、女に化けていた時との差が薄かったように思った。弁天はもっとやさぐれた感じというか、ヤンチャ感があっていいと思う。
彦三郎ので南郷は、真面目というか、悪者というより、本職の武士みたい。
日本駄右衛門は団蔵。お歳のせいかくたびれて見えた。浜松屋ではそれほどでもなかったが、勢揃いでは背が丸くなっていて、花道の出も力強さが感じられない。
赤星の梅丸は口跡よく、きっちりしてた。
「酔奴」
文楽座特別出演で、呂勢、藤蔵、清志郎が並ぶ。呂勢は出だしの声の通りが悪く、あれ?と思ったが、笑い上戸、怒り上戸、泣き上戸の語り分けは鮮やか。拍手が起きていたのは、右近だけの功績ではないはず。
右近は踊り上手だけあって、一人の舞台を飽きさせず。
右近の弁天は声がよい。おそらく、菊五郎の教えを忠実に演じているのだろうということが感じられた。初日のためか、少しセリフが上滑りするよう。正体を現してからは、地声なのか甲高い声で、女に化けていた時との差が薄かったように思った。弁天はもっとやさぐれた感じというか、ヤンチャ感があっていいと思う。
彦三郎ので南郷は、真面目というか、悪者というより、本職の武士みたい。
日本駄右衛門は団蔵。お歳のせいかくたびれて見えた。浜松屋ではそれほどでもなかったが、勢揃いでは背が丸くなっていて、花道の出も力強さが感じられない。
赤星の梅丸は口跡よく、きっちりしてた。
「酔奴」
文楽座特別出演で、呂勢、藤蔵、清志郎が並ぶ。呂勢は出だしの声の通りが悪く、あれ?と思ったが、笑い上戸、怒り上戸、泣き上戸の語り分けは鮮やか。拍手が起きていたのは、右近だけの功績ではないはず。
右近は踊り上手だけあって、一人の舞台を飽きさせず。
2019年8月28日水曜日
0826 地点「三人姉妹」
舞台を横切る透明なパネルはまだら白く塗装がしてあり、裏側がよく見えない。
冒頭、パネルの向こうで組んず解れつしながら這い回る男女。一人二人とパネルの前に現れる。取っ組み合いのような肉体的格闘をしながら駆り出されるセリフは音節が不自然なところでブツ切れになる地点語。すんなりとは理解できず、頭の中で言葉を再構築させられる。突如パネルを叩きつけたり、「嗚呼っ」と叫んで顔を覆ってうずくまったり、唐突な行動が目まぐるしい。
大音量で流れるショスタコーヴィチの「セカンド・ワルツ」、ベルの音、銃声?が思考を途切れさせる。
原作を大胆に換骨奪胎する三浦基の手法。息をつかせぬ80分だった。
冒頭、パネルの向こうで組んず解れつしながら這い回る男女。一人二人とパネルの前に現れる。取っ組み合いのような肉体的格闘をしながら駆り出されるセリフは音節が不自然なところでブツ切れになる地点語。すんなりとは理解できず、頭の中で言葉を再構築させられる。突如パネルを叩きつけたり、「嗚呼っ」と叫んで顔を覆ってうずくまったり、唐突な行動が目まぐるしい。
大音量で流れるショスタコーヴィチの「セカンド・ワルツ」、ベルの音、銃声?が思考を途切れさせる。
原作を大胆に換骨奪胎する三浦基の手法。息をつかせぬ80分だった。
2019年8月26日月曜日
0825 京都観世会八月例会
「兼平」
片山信吾のシテ。ちょっと声が高め?で不思議な感じ。後シテは刀を振ったりの立回りが勇壮。
ワキは福王知登。しかつめらしい顔をしているのは、若く見えるのを隠すためか。
アイの小笠原弘晃はよく声が出ているが、音量が安定しないのが聞き辛い。
「蝸牛」
小笠原匡の山伏、弘晃の太郎冠者、山本豪一の主人。同じ大蔵流でも、茂山家を見慣れているとキッチリして見える。
「定家」
シテの梅若実が股関節症のため地謡に回り、片山九郎右衛門がシテ。これが良かった。前シテの里女は白地に花柄の装束で、若い華やぎがある。後シテは、老いやつれた姿のはずが、濃藤色の狩衣に薄黄緑の袴という装束が清々しく、舞も静かな中に生気が感じられ、瑞々しい印象。最後、葛に再び囚われるところは、執着のおどろおどろしさというより、諦念のようなあっさりした感じだった。
ワキは福王茂十郎。
地謡の実は正座ができないようで、まあまあ大きいクッションのようなものを使い、片膝をつく姿勢だったよう。立ち上がるときには手を借りていたし、間狂言の15分ほどの間に一旦退場して(1人だといろいろ不都合があるようで、地謡の後列に並んだ全員で)気がかりなことだ。
「善界」
大江広祐のシテ。後シテの天狗の姿は背が高いので見栄えがする。立回りもダイナミック。
片山信吾のシテ。ちょっと声が高め?で不思議な感じ。後シテは刀を振ったりの立回りが勇壮。
ワキは福王知登。しかつめらしい顔をしているのは、若く見えるのを隠すためか。
アイの小笠原弘晃はよく声が出ているが、音量が安定しないのが聞き辛い。
「蝸牛」
小笠原匡の山伏、弘晃の太郎冠者、山本豪一の主人。同じ大蔵流でも、茂山家を見慣れているとキッチリして見える。
「定家」
シテの梅若実が股関節症のため地謡に回り、片山九郎右衛門がシテ。これが良かった。前シテの里女は白地に花柄の装束で、若い華やぎがある。後シテは、老いやつれた姿のはずが、濃藤色の狩衣に薄黄緑の袴という装束が清々しく、舞も静かな中に生気が感じられ、瑞々しい印象。最後、葛に再び囚われるところは、執着のおどろおどろしさというより、諦念のようなあっさりした感じだった。
ワキは福王茂十郎。
地謡の実は正座ができないようで、まあまあ大きいクッションのようなものを使い、片膝をつく姿勢だったよう。立ち上がるときには手を借りていたし、間狂言の15分ほどの間に一旦退場して(1人だといろいろ不都合があるようで、地謡の後列に並んだ全員で)気がかりなことだ。
「善界」
大江広祐のシテ。後シテの天狗の姿は背が高いので見栄えがする。立回りもダイナミック。
8月24日 上方歌舞伎会
昼夜両方観たのだが、昼の部で感じた違和感を夜には修正してきたのが頼もしい。
「寿式三番叟」
メーンは三番叟の二人だと思うのだが、吉太郎と光が対照的というか、ヤンチャな弟と落ち着いた兄みたいな感じで面白い。吉太郎は昼の部では元気が溢れて動きがややがちゃがちゃしていて、あしぶみがうるさいくらいだったが、夜はハツラツとしつつも、やり過ぎ感は収まってた。
翁の松四郎はちょっと固かったが大役をはたし、千歳の愛治郎は(師匠と違って?)誠実な踊りに好感が持てる。附千歳の千太郎は凛とした美しさ。
「熊谷陣屋」
ついこの間、素浄瑠璃で聞いたこともあり、話の細かいところはまでよく理解できた。義太夫狂言の難しさで、おそらく教わった通りのセリフの言い回し、仕草なのだろうが、間が埋めきれないというか、中身が伴っていない感じは否めなかった。でも、夜は昼に比べたら段違いに良くなってたのでびっくり。
熊谷次郎直実の當史朗はやはり難役。はじめは千寿の相模と夫婦に見えなかったが、バランスが改善。花道で「十六年もひと昔」というところで、首に手をやるのが、いかにも段取りめいていたのが、夜にはだいぶん自然になっていた。目は涙で潤んでいたが、夜の部は花道横だったので、涙が一筋流れるところもちゃんと見ました。仁左衛門のような人物の大きさには届かないものの、無骨な哀愁があった。
相模の千寿は中では一番の安定感。夜には柔らかみを増して、母らしさが感じられた。
藤の方は折之助。高貴さが身についた。
よかったのが翫政の義経。口跡がよく、浪々と響くセリフに説得力があった。
松十郎は出番の少ない梶原平治。骨太な感じで印象を残した。弥陀六に殺されるのは花道を引っ込んでからうめき声のみ。
「堀川猿回し」
千次郎の与次郎ははじめ、ちょっと軽いというか、陽気すぎるように感じたのだが、夜には落ち着いていて、ほっとした。仕事から帰って、猿を檻に入れたり、脚半を解いたり、着物の埃を払ったりと、やる事が多いのに気を取られて、病気の母が喋るのを無視しているようだったのも、2回目にはちゃんと老母をいたわるのが感じられた。
母おぎんの當史弥は年に似合わない老け役を健闘。ただ、盲目の演技はもう少し。火鉢に刺した火箸をいきなりつかむのは目が見えない人には不自然では。もっと足先や手を伸ばして探る様子があるといい。
お俊のりき弥は可憐で、遊女らしい哀れさがある。情がもっとあるとなおいい。伝兵衛の佑次郎は白塗りの二枚目。
浄瑠璃は谷太夫と勝二郎。文楽との差を感じたことであった。
「寿式三番叟」
メーンは三番叟の二人だと思うのだが、吉太郎と光が対照的というか、ヤンチャな弟と落ち着いた兄みたいな感じで面白い。吉太郎は昼の部では元気が溢れて動きがややがちゃがちゃしていて、あしぶみがうるさいくらいだったが、夜はハツラツとしつつも、やり過ぎ感は収まってた。
翁の松四郎はちょっと固かったが大役をはたし、千歳の愛治郎は(師匠と違って?)誠実な踊りに好感が持てる。附千歳の千太郎は凛とした美しさ。
「熊谷陣屋」
ついこの間、素浄瑠璃で聞いたこともあり、話の細かいところはまでよく理解できた。義太夫狂言の難しさで、おそらく教わった通りのセリフの言い回し、仕草なのだろうが、間が埋めきれないというか、中身が伴っていない感じは否めなかった。でも、夜は昼に比べたら段違いに良くなってたのでびっくり。
熊谷次郎直実の當史朗はやはり難役。はじめは千寿の相模と夫婦に見えなかったが、バランスが改善。花道で「十六年もひと昔」というところで、首に手をやるのが、いかにも段取りめいていたのが、夜にはだいぶん自然になっていた。目は涙で潤んでいたが、夜の部は花道横だったので、涙が一筋流れるところもちゃんと見ました。仁左衛門のような人物の大きさには届かないものの、無骨な哀愁があった。
相模の千寿は中では一番の安定感。夜には柔らかみを増して、母らしさが感じられた。
藤の方は折之助。高貴さが身についた。
よかったのが翫政の義経。口跡がよく、浪々と響くセリフに説得力があった。
松十郎は出番の少ない梶原平治。骨太な感じで印象を残した。弥陀六に殺されるのは花道を引っ込んでからうめき声のみ。
「堀川猿回し」
千次郎の与次郎ははじめ、ちょっと軽いというか、陽気すぎるように感じたのだが、夜には落ち着いていて、ほっとした。仕事から帰って、猿を檻に入れたり、脚半を解いたり、着物の埃を払ったりと、やる事が多いのに気を取られて、病気の母が喋るのを無視しているようだったのも、2回目にはちゃんと老母をいたわるのが感じられた。
母おぎんの當史弥は年に似合わない老け役を健闘。ただ、盲目の演技はもう少し。火鉢に刺した火箸をいきなりつかむのは目が見えない人には不自然では。もっと足先や手を伸ばして探る様子があるといい。
お俊のりき弥は可憐で、遊女らしい哀れさがある。情がもっとあるとなおいい。伝兵衛の佑次郎は白塗りの二枚目。
浄瑠璃は谷太夫と勝二郎。文楽との差を感じたことであった。
2019年8月18日日曜日
8月17日 文楽素浄瑠璃の会
「一谷嫩軍記 熊谷陣屋の段」は呂・清介。
慎重な出だしはいつも通り。三味線にかき消されるように感じるところも。文章ごとにブツ切れで聞こえ、全体のつながりが感じられないのが難点か。「十六年もひとむかし」は勿体をつけるよう?
「義経千本桜 河連法眼館の段」
咲・燕三に燕二郎のツレ。咲は節遣いのうまさはさすがだが、口が回り切らない様子で狐詞など不明瞭。テクニックはあるのだが、楽器が劣化しているような。源九郎狐の告白は詞がよく入って分かりやすかった。
「ひらかな盛衰記 神崎揚屋の段」
千歳・富助に勝平のツレ。遊郭が舞台のたおやかな場面だと思うのだが、千歳の語りは硬いというか、ゴツゴツした印象。ニンではないのでは。富助に勝平のツレが入ると、スケールが大きいが、やはりこちらもはまり役ではないように感じた。順に聴いてきて、体力、気力の充実ぶりはぴか一。最後にやっと浄瑠璃らしい浄瑠璃を聞いた気分。
慎重な出だしはいつも通り。三味線にかき消されるように感じるところも。文章ごとにブツ切れで聞こえ、全体のつながりが感じられないのが難点か。「十六年もひとむかし」は勿体をつけるよう?
「義経千本桜 河連法眼館の段」
咲・燕三に燕二郎のツレ。咲は節遣いのうまさはさすがだが、口が回り切らない様子で狐詞など不明瞭。テクニックはあるのだが、楽器が劣化しているような。源九郎狐の告白は詞がよく入って分かりやすかった。
「ひらかな盛衰記 神崎揚屋の段」
千歳・富助に勝平のツレ。遊郭が舞台のたおやかな場面だと思うのだが、千歳の語りは硬いというか、ゴツゴツした印象。ニンではないのでは。富助に勝平のツレが入ると、スケールが大きいが、やはりこちらもはまり役ではないように感じた。順に聴いてきて、体力、気力の充実ぶりはぴか一。最後にやっと浄瑠璃らしい浄瑠璃を聞いた気分。
0816 第十七回 大文字送り火能 蝋燭能
「鵺」
金剛永謹のシテに福王和幸のワキ。間は茂山千五郎。
前シテの舟人は一人で頼政に退治されたときの様子を見せる。
白頭の小書がついており、後シテの鵺は白髪に白系の衣装。
橋掛りの欄干に足を掛けたり、柱に背を当てたりと、舞の見どころが多く面白い。幕の内の飛び入る最後も。
金剛永謹のシテに福王和幸のワキ。間は茂山千五郎。
前シテの舟人は一人で頼政に退治されたときの様子を見せる。
白頭の小書がついており、後シテの鵺は白髪に白系の衣装。
橋掛りの欄干に足を掛けたり、柱に背を当てたりと、舞の見どころが多く面白い。幕の内の飛び入る最後も。
2019年8月16日金曜日
0815 サファリP「怪人二十面相」
黒い壁に赤い床の能舞台のような方丈の台、背景には黒枠に蜘蛛の巣のやうに赤い紐を絡めたようなパネル。役者の衣装は女優の赤いドレスに男優は紺?を基調にしており、スタイリッシュ。
二十面相の取り調べの場面から始まり、犯行の現場や作家と編集者のやり取りなどが入り乱れ、役柄も次々に入れ替わるスリリングな展開。途中、床に開けた穴から射し込む光を使った演出が面白かった。
ダンスシーンでは、奥さん(ゴーストライター)と刑事(明智?)のデュエットが官能的。
暗闇を効果的に使い、ラストの壁に張りつく盗賊の姿が印象に残った。
濃密な約1時間。
二十面相の取り調べの場面から始まり、犯行の現場や作家と編集者のやり取りなどが入り乱れ、役柄も次々に入れ替わるスリリングな展開。途中、床に開けた穴から射し込む光を使った演出が面白かった。
ダンスシーンでは、奥さん(ゴーストライター)と刑事(明智?)のデュエットが官能的。
暗闇を効果的に使い、ラストの壁に張りつく盗賊の姿が印象に残った。
濃密な約1時間。
2019年8月15日木曜日
8月14日 八月南座超歌舞伎
「超歌舞伎のみかた」は國矢と蝶紫。観客の小学生を舞台に上げて、分身の術を体験させてあげるのはいい趣向。人の動きをキャラクターに変換する技術では、腕が変な方へ向いてしまって、図らずもテクノロジーの限界を見た。
「當世流歌舞伎踊」
お国山三の舞踊。初音ミクの踊りは藤間宗家がモーションキャプチャーで振り写ししただけあって、滑らかで優美。ミク1人の時は客電が暗くなってはっきり見えるのだが、人の役者と一緒になると周囲が明るくなって姿がぼんやりするのが難点。
「今昔饗宴千本桜」
初音ミクが大正100年の世界から前世?に遡って美玖姫となり、狐忠信(獅童)とともに、千本桜を枯らした青龍(國矢)と戦う。映像の青龍がメタリックなのは何故だろう?必ずしもミクとの絡みでもないのに、映像パーツか多く、國矢は声だけの場面も。サイリウムの色を変えてそれぞれのキャラを応援させたり、桜を咲かせるなどら観客参加型なのは好きな人にはいいのかも。3500円のライトは安くはないが、おねだりして買ってもらった子どもも散見したので、セールス面でも成功してた。
音程が不安定なミクのセリフはやはり違和感。感情が込められないので芝居には限界があるように思う。セリフのやり取りは、獅童との場面ではミクが話し出す前の間が長すぎるように思ったが、國矢との場面はそうでもなかったので、役者次第なのだろう。ミクの間は決まっているのだから、それにどれだけ合わせられるかではないか。クライマックスではライブ会場のように観客をあおる獅童。ちょっと疲れが見えたようだったが…。
ミクを映すため仕方ないのだが、宙乗りが凧に乗ったよう。ラスト、倒されたはずの青龍がフツーに出てきたのもなんか違和感があった。
「當世流歌舞伎踊」
お国山三の舞踊。初音ミクの踊りは藤間宗家がモーションキャプチャーで振り写ししただけあって、滑らかで優美。ミク1人の時は客電が暗くなってはっきり見えるのだが、人の役者と一緒になると周囲が明るくなって姿がぼんやりするのが難点。
「今昔饗宴千本桜」
初音ミクが大正100年の世界から前世?に遡って美玖姫となり、狐忠信(獅童)とともに、千本桜を枯らした青龍(國矢)と戦う。映像の青龍がメタリックなのは何故だろう?必ずしもミクとの絡みでもないのに、映像パーツか多く、國矢は声だけの場面も。サイリウムの色を変えてそれぞれのキャラを応援させたり、桜を咲かせるなどら観客参加型なのは好きな人にはいいのかも。3500円のライトは安くはないが、おねだりして買ってもらった子どもも散見したので、セールス面でも成功してた。
音程が不安定なミクのセリフはやはり違和感。感情が込められないので芝居には限界があるように思う。セリフのやり取りは、獅童との場面ではミクが話し出す前の間が長すぎるように思ったが、國矢との場面はそうでもなかったので、役者次第なのだろう。ミクの間は決まっているのだから、それにどれだけ合わせられるかではないか。クライマックスではライブ会場のように観客をあおる獅童。ちょっと疲れが見えたようだったが…。
ミクを映すため仕方ないのだが、宙乗りが凧に乗ったよう。ラスト、倒されたはずの青龍がフツーに出てきたのもなんか違和感があった。
2019年8月13日火曜日
0810 MONO「涙目コント」
マンションらしきビルの屋上を舞台にしたショートコント。屋上=飛び降り自殺というのはちょっとどうかとも思ったが、総じて良質な笑いになっていた。
特殊部隊の話「フルーツバスケット」は土田英生作。特殊部隊のリーダーがドリアンて。みかんとか高砂とかポンカンとか、絶妙なネーミングセンスだ。クスクス笑いが止まらない。他の話でもだが、立川茜がクールな雰囲気でいい味出してる。
「久保の挑戦」はオイスターズの平塚直隆。無謀なチャレンジに近所の人を巻き込む失業中の男を奥村泰彦が情けなく好演。
「見えない恋」は石丸奈菜美と声の出演という異色作。ガーリッシュなお話は意外にも土田作。
「さらば鎌玉」はiakuの横山拓也。
二子玉のイメージなのかな。花火の見えるマンションの屋上。別れを決めた女(高橋明日香)と、未練いっぱいの男(渡辺啓太)のやり取りがありそうでリアル。
「坂本」は土田。坂本という名前に妙な執着をみせる女(立川)と、意味不明に名前を貶される男(奥村)のちぐはぐなやり取り。土田らしいおかしさ。
「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」はイキウメの前川知大らしいSFタッチ。
特殊部隊の話「フルーツバスケット」は土田英生作。特殊部隊のリーダーがドリアンて。みかんとか高砂とかポンカンとか、絶妙なネーミングセンスだ。クスクス笑いが止まらない。他の話でもだが、立川茜がクールな雰囲気でいい味出してる。
「久保の挑戦」はオイスターズの平塚直隆。無謀なチャレンジに近所の人を巻き込む失業中の男を奥村泰彦が情けなく好演。
「見えない恋」は石丸奈菜美と声の出演という異色作。ガーリッシュなお話は意外にも土田作。
「さらば鎌玉」はiakuの横山拓也。
二子玉のイメージなのかな。花火の見えるマンションの屋上。別れを決めた女(高橋明日香)と、未練いっぱいの男(渡辺啓太)のやり取りがありそうでリアル。
「坂本」は土田。坂本という名前に妙な執着をみせる女(立川)と、意味不明に名前を貶される男(奥村)のちぐはぐなやり取り。土田らしいおかしさ。
「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」はイキウメの前川知大らしいSFタッチ。
2019年8月8日木曜日
8月7日 霜乃会
南龍の講談がつなぎになって、結婚式の披露宴の出し物としてそれぞれの芸を披露するという構成。冒頭と最後は茶の湯で。
南龍は「当時すでに落ち目だった講談を捨て」とか、「温かいお茶をのんでホッとした」とオヤジでも言わないようなギャグを観客が気づくまで繰り返すとか、あまり笑いのセンスが良くないと思う。
浪曲の京山幸太は「清水次郎長」から。荒神山への討ち入り前夜、次郎長親分が仁吉(?)に「二人生きて戻れたら一緒になってくれ」と告白し、仁吉の子分が「ちょっとまった」と割り込んで、男同士の三角関係が…と意外な展開にびっくり。そういうキャラなのか?
日本舞踊の山村若隼紀は「黒髪」。普通にしっとりと。
落語の紋四郎は「鷺とり」。披露宴にふさわしくないオチにするためか、4人が頭をぶつけて死んでしまうというオチはどうか。
文楽の碩太夫、燕二郎は忠臣蔵の大序から。碩は若手らしからぬ堂々とした語り振り。燕二郎はちょっと硬くなっているようにも見えたが(師匠が客席にいたから?)しっかりしていた。若手2人ができる演目は限られているとはいえ、大序は華がない。
最後は能楽師による「高砂」で強引にまとめたという感じ。
新感覚エンターテインメントと打ち出しているが、様々な芸能が入れ代わり立ち代わりというのは今までにもよくあること。制約はあるだろうけれど、せっかくならばもう一歩踏み込んだものを見てみたい。
南龍は「当時すでに落ち目だった講談を捨て」とか、「温かいお茶をのんでホッとした」とオヤジでも言わないようなギャグを観客が気づくまで繰り返すとか、あまり笑いのセンスが良くないと思う。
浪曲の京山幸太は「清水次郎長」から。荒神山への討ち入り前夜、次郎長親分が仁吉(?)に「二人生きて戻れたら一緒になってくれ」と告白し、仁吉の子分が「ちょっとまった」と割り込んで、男同士の三角関係が…と意外な展開にびっくり。そういうキャラなのか?
日本舞踊の山村若隼紀は「黒髪」。普通にしっとりと。
落語の紋四郎は「鷺とり」。披露宴にふさわしくないオチにするためか、4人が頭をぶつけて死んでしまうというオチはどうか。
文楽の碩太夫、燕二郎は忠臣蔵の大序から。碩は若手らしからぬ堂々とした語り振り。燕二郎はちょっと硬くなっているようにも見えたが(師匠が客席にいたから?)しっかりしていた。若手2人ができる演目は限られているとはいえ、大序は華がない。
最後は能楽師による「高砂」で強引にまとめたという感じ。
新感覚エンターテインメントと打ち出しているが、様々な芸能が入れ代わり立ち代わりというのは今までにもよくあること。制約はあるだろうけれど、せっかくならばもう一歩踏み込んだものを見てみたい。
2019年8月6日火曜日
8月6日 蝠聚会
「御所桜堀川夜討 弁慶上使の段」
清介の浄瑠璃に清公の三味線。清公は緊張していたのか出だしは硬かったが、中盤以降、叩きバチで弾きまくるところは力強く。清介は45分の予定を10分近くオーバーする熱演。
「菅原伝授手習鑑」
寺入りを勝平・清允。語りは意外に抑え気味?ついこの間、鑑賞教室で聞いたばかりなので、本職の太夫との違いを比べてしまう。素人義太夫としては上々の語りだけど、やはりプロはすごいのだと実感。
寺子屋は藤蔵・清志郎→清丈・清馗。藤蔵の語りは、落ち着いて堂に入っている。畳みかけるように語るところは、講談のようでも。清丈は情のこもった語りで、千代の嘆きなどは拍手がないのが不思議なくらい。
「鬼一法眼三略巻 五条橋の段}
宗助、寛太郎の語りに燕三、友之助、清允の三味線。宗助の語りは今日のなかで一番義太夫節らしい。寛太郎も堂々として、力強い声。燕三の三味線はさすがの安定感。友之助はちょっと力が入りすぎていたように聞こえた。
最後の挨拶で、清介が、寛太郎が宗助の預かりになったと紹介。演目、演者を決めたらたまたまこうなったらしいが、計らずも新師弟のお披露目のような恰好に。去年寛治が亡くなったことに言及され、寛太郎の目が潤んでいたように見えた。
清介の浄瑠璃に清公の三味線。清公は緊張していたのか出だしは硬かったが、中盤以降、叩きバチで弾きまくるところは力強く。清介は45分の予定を10分近くオーバーする熱演。
「菅原伝授手習鑑」
寺入りを勝平・清允。語りは意外に抑え気味?ついこの間、鑑賞教室で聞いたばかりなので、本職の太夫との違いを比べてしまう。素人義太夫としては上々の語りだけど、やはりプロはすごいのだと実感。
寺子屋は藤蔵・清志郎→清丈・清馗。藤蔵の語りは、落ち着いて堂に入っている。畳みかけるように語るところは、講談のようでも。清丈は情のこもった語りで、千代の嘆きなどは拍手がないのが不思議なくらい。
「鬼一法眼三略巻 五条橋の段}
宗助、寛太郎の語りに燕三、友之助、清允の三味線。宗助の語りは今日のなかで一番義太夫節らしい。寛太郎も堂々として、力強い声。燕三の三味線はさすがの安定感。友之助はちょっと力が入りすぎていたように聞こえた。
最後の挨拶で、清介が、寛太郎が宗助の預かりになったと紹介。演目、演者を決めたらたまたまこうなったらしいが、計らずも新師弟のお披露目のような恰好に。去年寛治が亡くなったことに言及され、寛太郎の目が潤んでいたように見えた。
8月2日 あべの歌舞伎 晴の会「肥後駒下駄」
テンポよく、派手な立ち回りや、柿の木を使った誘拐未遂など、様々な趣向があって面白い。翌日の公演も見たが、日々進歩していて頼もしかった。
冒頭はチョンパで花見に訪れた登場人物ら。客席からも現れて、華やかな幕開き。
亀屋東斎こと千次郎が人物関係を紹介しつつ、物語の導入を担う。主人公の奴駒平実は向井善九郎は、まっすぐな男ぶりを好演。松十郎が敵役の八坂源次兵衛と、敵と思いきやの中川縫之助の2役。年恰好に大きな差のない2役を声のトーンで演じ分けていたのに関心。源治兵衛は途中、薬屋に変装するところもあり、同一人物であると分からせるのはなかなか難しそう。千寿は弟秀之助を気遣う気丈な姉、お縫は問題ないが、2役の刑部妻梅野は娘役との差がはっきりせず。2日目には落ち着いた妻らしい声のトーンになっていた。
月岡刑部の當十郎はセリフが怪しかったところもあったが、唯一の年配者として舞台を引き締める。源治兵衛の弟源内役の當吉郎、中間只助の佑次郎、縫之助妻お沢の當史郎、駒平に一目ぼれする刑部の娘松枝のりき弥、お縫の許嫁、新蔵の翫政、それぞれが役割をこなしていた。子役の秀之助役、飯田優真もよく演じていた。
善九郎と松枝、縫之助とお沢のそれそれのカップルが然るべく収まり、皆が踊ってめでたしという2幕引きも、ハッピーな感じで悪くない。肝心の敵討ちの場面は描かれないのだが。松枝が4年も片思いしてたり、2幕の新蔵宅の立ち回りは暗がりでだんまりだったのに、外に出たらなぜか普通に切り合っていたり、急に藤棚が出てきたり、と、よくよく考えたらあれ、という場面もあるのだが、総じて面白く見られた。
冒頭はチョンパで花見に訪れた登場人物ら。客席からも現れて、華やかな幕開き。
亀屋東斎こと千次郎が人物関係を紹介しつつ、物語の導入を担う。主人公の奴駒平実は向井善九郎は、まっすぐな男ぶりを好演。松十郎が敵役の八坂源次兵衛と、敵と思いきやの中川縫之助の2役。年恰好に大きな差のない2役を声のトーンで演じ分けていたのに関心。源治兵衛は途中、薬屋に変装するところもあり、同一人物であると分からせるのはなかなか難しそう。千寿は弟秀之助を気遣う気丈な姉、お縫は問題ないが、2役の刑部妻梅野は娘役との差がはっきりせず。2日目には落ち着いた妻らしい声のトーンになっていた。
月岡刑部の當十郎はセリフが怪しかったところもあったが、唯一の年配者として舞台を引き締める。源治兵衛の弟源内役の當吉郎、中間只助の佑次郎、縫之助妻お沢の當史郎、駒平に一目ぼれする刑部の娘松枝のりき弥、お縫の許嫁、新蔵の翫政、それぞれが役割をこなしていた。子役の秀之助役、飯田優真もよく演じていた。
善九郎と松枝、縫之助とお沢のそれそれのカップルが然るべく収まり、皆が踊ってめでたしという2幕引きも、ハッピーな感じで悪くない。肝心の敵討ちの場面は描かれないのだが。松枝が4年も片思いしてたり、2幕の新蔵宅の立ち回りは暗がりでだんまりだったのに、外に出たらなぜか普通に切り合っていたり、急に藤棚が出てきたり、と、よくよく考えたらあれ、という場面もあるのだが、総じて面白く見られた。
7月31日 夏休み文楽特別公演 親子劇場
「日高川入相花王」
いつもの渡し場の段。三輪、芳穂、咲寿、亘に團七、團吾、清馗、友之助、錦吾。
人形は文昇の清姫に勘市の船頭。
子供率が高く、ガブにびっくりした様子。人形を上下に振るあまり、肝心の顔が隠れ気味だったのが惜しい。
「かみなり太鼓」
織のかみなりトロ吉は初演から引き続き。希のおとうちゃんはちょっとニンに合わず。小住のおかあちゃんはカミナリを落とすところに迫力があり好演だったが、希と逆のほうがよかったかも。碩の寅ちゃんは無邪気でかわいい。もうちょっと子どもらしいずるさがあったらなおよかった。
三味線は清介、清丈、寛太郎、清公、ダブルキャストは燕二郎。トロ吉のトロトロ太鼓を燕二郎。
人形は玉佳のトロ吉に勘次郎の寅ちゃん、簑紫郎のおかあちゃん、紋秀のおとうちゃん。全員頭巾をかぶっていたが、最後の宙乗りだけ、玉佳が顔出しで雲に乗って飛んでいく。すっぽんまで花道が設置されていて、せり上がったのち客席後方へ。プレゼントを投げたりして、子どもたちがきゃあきゃあ言って喜んでいた。
いつもの渡し場の段。三輪、芳穂、咲寿、亘に團七、團吾、清馗、友之助、錦吾。
人形は文昇の清姫に勘市の船頭。
子供率が高く、ガブにびっくりした様子。人形を上下に振るあまり、肝心の顔が隠れ気味だったのが惜しい。
「かみなり太鼓」
織のかみなりトロ吉は初演から引き続き。希のおとうちゃんはちょっとニンに合わず。小住のおかあちゃんはカミナリを落とすところに迫力があり好演だったが、希と逆のほうがよかったかも。碩の寅ちゃんは無邪気でかわいい。もうちょっと子どもらしいずるさがあったらなおよかった。
三味線は清介、清丈、寛太郎、清公、ダブルキャストは燕二郎。トロ吉のトロトロ太鼓を燕二郎。
人形は玉佳のトロ吉に勘次郎の寅ちゃん、簑紫郎のおかあちゃん、紋秀のおとうちゃん。全員頭巾をかぶっていたが、最後の宙乗りだけ、玉佳が顔出しで雲に乗って飛んでいく。すっぽんまで花道が設置されていて、せり上がったのち客席後方へ。プレゼントを投げたりして、子どもたちがきゃあきゃあ言って喜んでいた。
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