テンポよく、派手な立ち回りや、柿の木を使った誘拐未遂など、様々な趣向があって面白い。翌日の公演も見たが、日々進歩していて頼もしかった。
冒頭はチョンパで花見に訪れた登場人物ら。客席からも現れて、華やかな幕開き。
亀屋東斎こと千次郎が人物関係を紹介しつつ、物語の導入を担う。主人公の奴駒平実は向井善九郎は、まっすぐな男ぶりを好演。松十郎が敵役の八坂源次兵衛と、敵と思いきやの中川縫之助の2役。年恰好に大きな差のない2役を声のトーンで演じ分けていたのに関心。源治兵衛は途中、薬屋に変装するところもあり、同一人物であると分からせるのはなかなか難しそう。千寿は弟秀之助を気遣う気丈な姉、お縫は問題ないが、2役の刑部妻梅野は娘役との差がはっきりせず。2日目には落ち着いた妻らしい声のトーンになっていた。
月岡刑部の當十郎はセリフが怪しかったところもあったが、唯一の年配者として舞台を引き締める。源治兵衛の弟源内役の當吉郎、中間只助の佑次郎、縫之助妻お沢の當史郎、駒平に一目ぼれする刑部の娘松枝のりき弥、お縫の許嫁、新蔵の翫政、それぞれが役割をこなしていた。子役の秀之助役、飯田優真もよく演じていた。
善九郎と松枝、縫之助とお沢のそれそれのカップルが然るべく収まり、皆が踊ってめでたしという2幕引きも、ハッピーな感じで悪くない。肝心の敵討ちの場面は描かれないのだが。松枝が4年も片思いしてたり、2幕の新蔵宅の立ち回りは暗がりでだんまりだったのに、外に出たらなぜか普通に切り合っていたり、急に藤棚が出てきたり、と、よくよく考えたらあれ、という場面もあるのだが、総じて面白く見られた。
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