妹山背山の段
背山は大判事の千歳、久我之助の藤、三味線は藤蔵→富助。妹山は定高の呂勢、雛鳥の織、三味線は清介→清治に清公の琴。
第二部から観るとのっけからのテンションに圧倒される。重厚な背山に対して華やかな妹山という対比が鮮やか。千歳、呂勢は2回目とあって、初役時のような力みが抜け、語りに深みが出てきたよう。呂勢の定高は腹に一物あるというか、言葉とは逆の本心が隠れているのが感じられ、胸に響く。
三味線も丁々発止の弾き合い。富助がバシバシ弾いているなあと思っていたら、クライマックスで胴が割れたらしい。最初、藤が扇子を舞台袖に投げたので、あれ?と思っていたら、続いて千歳が後ろの壁を叩いて合図して、聴くと三味線の音が少し変で、胴に亀裂のようなものが。間もなく代わりの三味線が差し出された。それだけ熱演だったということか。
人形は雛鳥の前半を遣った簑紫郎が恋する乙女の恥じらいを初々しく。久我之助は玉助。柄の大きい役が似合うので、ミスキャストかと思いきや、青臭い感じというか、若さゆえの潔さみたいな感じがあって意外に好演。若手同士というのもバランスが良かった。
杉酒屋は津駒・宗介。津駒が30分ほどって短すぎないか?
道行恋苧環は芳穂、靖、希、咲寿、碩に勝平、清丈、寛太郎、錦吾、燕二郎。テンポがゆっくりめで、総じて声が出ておらず、照明も暗くてなんだか精彩を欠く道行だった。希は調子が悪いのか橘姫の高音が辛そう。
鱶七上使の段は藤・清馗。全体的に緩く聞こえた。大笑いの声が上ずったようなのもどうか。
姫戻りは小住・友之助。浄瑠璃らしい語りで安堵。
金殿は呂・団七。病み上がりのためか、ウィスパーボイスに磨きがかかってる。
0 件のコメント:
コメントを投稿