良くも悪くも生田大和らしい脚本だ。歴史は勝者によって作られるとか、人を切ったものは切られるまで切り続けなければならないとか、掲げるテーマが壮大すぎてとても2時間半では収まらない(実際、上演時間は休憩を除いて2時間45分)。1幕で蘇我入鹿を討ってしまったので、2幕はどうするのかと思ったら、中大兄皇子との確執?から鎌足の死までを1時間でって駆け足の展開。入鹿に心を寄せていた皇極天皇(有沙瞳)が「鎌足許さじ」とか思わせぶりなセリフを言うのにこれといった報復はないし(もしかして、嫁を差し出させたこと?)、伏線が十分活かされない感じで勿体ない。
紅ゆずるの鎌足は陰謀術中を巡らす策士というよりは、政敵を滅ぼしたことをクヨクヨと思い悩む、心優しい青年?(というよりヘタレ?)綺咲愛里との息はぴったりで、2人の仲睦まじさを楽しむのが正解だろう。綺咲は娘役トップらしい可憐さが溢れ、瑞々しい。
華形ひかるの入鹿は、1幕はむしろこちらが主役なのではという存在感で、志に燃える少年が皇極天皇への思いから修羅の道に踏み込む変化や、皇極天皇とのロマンスがきっちり描かれてていた。振付の藤間勘十郎の効果か。中大兄皇子役の瀬央ゆりあが颯爽として凛々しかった。
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