2018年12月12日水曜日

1208 藤間勘十郎 春秋座名流舞踊公演

「君が代松竹梅」
素踊りで並ぶと、勘十郎だけ縮尺が違うみたいだ。扇で松竹梅を表していたのだが、紋付袴の男性陣はともかく、梅役の女性の衣装が紫色の藤模様とはいかに?藤間流だから?

「凄艶四谷怪談」
勘十郎が素踊りで5役早替りとはいかに?と思ったら、袴や着物を替えていた。冒頭は鶴屋南北役で軽く作品紹介。すぐに衣装を替えて四谷左門になったと思ったらすぐに伊右衛門に切られ、早替りでお岩になって花道から登場…とのっけから盛りだくさん。
お岩は哀れさはあまり感じられなかったが、踊りの場面では楽しげに踊っていたかと思えばふと恨みを滲ませる変化が見事。面体の変わるところは赤黒いマスクを用いたところもあったが、手拭いで顔半分を覆ったり、団扇で隠したりと余りメイクに頼らない演出。かと思えば、伊右衛門に切られたところで、白い傘に血を吐くケレンもみせた。
伊右衛門役の若柳吉蔵は色悪というより実悪の風情。宅悦と与茂七の二役を務めた尾上菊之丞は宅悦のおおげさで滑稽な身のこなしと与茂七のスッキリしたサムライ風情の対比が鮮やか。セリフも多かったが口跡よかった。
芝居との違いは、伊右衛門宅でお梅が死なず、二人で逃げ延びて所帯を構えたところへお岩の変じた虫売りがたずねていく。大ネズミに子どもが攫われたり、戸板返しはなし。
小仏小平の替え玉は短髪の男性だったので違和感なかったが、お岩の替え玉がなぜか長髪の下ろし髮の女性で、はじめ誰か分からなくて混乱した。勘十郎のフリをするなら短髪のほうがいいと思うのだが。せめて髪はまとめてるとか。
客席には歌舞伎役者や舞踊関係者がたくさん。気づいたところで、鷹之資、梅丸、蔦之介、吉太郎。茂山逸平や井上安寿子の姿もあった。

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