2017年10月5日木曜日

10月5日 木ノ下歌舞伎「心中天の網島」

糸井プロデュースは妙なミュージカル風。随所に歌が盛り込まれているのだが、あまり上手くないというか、むしろ下手。狙ってるのかとも思ったが、西田夏菜子だけ上手いので、単に音痴なのか。特に小春。可愛らしく調子っぱずれで作品には合っているものの、曲はキャッチャーで悪くないのでちゃんと歌える人たちで聞いてみたい気もした。 治兵衛のダメ男ぶりがこの上なくて、なんで小春が惚れるのか分からないくらい。小春、おさんは感情表現が上手くはまった。おさんと治兵衛の若かりし幸せだった場面はおそらく原作にはないが、これがあったのでかえって小春とのことの理不尽さを際立たせて効果的。心中のシーンは刀を振りかざしては躊躇し、痛がってのたうち回ったり、首をつって苦しみもがいたりと、死をみっともなく描いたのがよかった。実際の心中なんて綺麗事ではないはず。 義太夫節風に語るところで、西田がヴァイオリンを弾いていて、芸達者ぶりに驚いた。

0 件のコメント: