2017年10月23日月曜日

10月14日 Kバレエカンパニー「クレオパトラ」

熊川バレエのオリジナル作品。ドラマチックなクレオパトラの半生はバレエ作品にうってつけだが、少々詰め込みすぎか。特に一幕で、物語の展開が慌ただしく感じられた。二幕はよりバレエらしく、パドカトルや各国の踊りのような見せ場が多い。全体的に、ドラマに力点を置いているようで、踊りの美しさという点では少々物足りなかった。
中村祥子は強く気高い女王の貫禄にあふれ、鍛えられた身体美を惜しげもなく披露。カエサルやアントニウスなど、相手を取っ替え引っ替えしながらのパ・ド・ドゥはクラシックにはあまりない展開で、様々な表情の踊りが見られるのが面白い。ただ、性愛の場面での組んず解れつの直截的な振り付けや、蛇の化身という設定で地面をのたうつような振りが多かったのはいただけないところ。カエサルのS・キャシディが包容力のあるパートナーシップで、中村とのバランスもいい感じ。それまで張りつめていたクレオパトラが柔らかく、幸福感に包まれる。そのカエサルを失い、次の拠りどころとなるアントニウスの宮尾俊太郎は活気溢れる若者ぶりは予想通りだが、中村の相手としてはちょっと物足りなくもある。クールなクレオパトラがどうしてアントニウスが死んだあとあんなに取り乱したのかに説得力がない。
ラストシーンの音楽が印象的だったのと、クレオパトラの最期が美しかったので、それでよしという気になった。 カーテンコールで熊川氏登場。キレッキレの動きで挨拶し、一番の拍手をもらっていた。

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