2016年11月7日月曜日

1105 永楽館歌舞伎

「信州川中島合戦 輝虎配膳」 思うに、この演目をするには若い座組なのだけど、健闘が光ったという印象。 吉弥の越路は若さが見えるのものの、きっぱりとした佇まいで、武家らしい気丈さに溢れる。 壱太郎のお勝はどもりが不自然だったり、琴を扱いかねて輝虎に当たりそうになったりしていたが、義母を気遣う健気さがあった。 千寿の唐衣は登場から立派な武家の女房。千次郎の直江は若さが頼りなく感じられるところもあったが、無難に。 愛之助の輝虎は重々しさがあった。が、この人って悪人というか敵役だよね?無理難題をふっかけて手打ちにしようとする。最後、命を助けてやるからって、いい人では決してない。自ら好んでやりたい役だろうか? 越路が輝虎から贈られた小袖を「古着だ」と言って突き返すところや、膳を足蹴にされた輝虎が刀に手を掛けんと上衣を次々に脱いでいくところで笑いが。歌舞伎をあまり見たことのないひとも多い永楽館だからなのか、だからってこんなシリアスなシーンで笑われてしまうのは役者の力不足なのか…。あとの口上で、何枚も着ているのは身分の高い人だからと言い訳してたけど。 恒例の口上はいつものように。 愛之助:9年前は夏の開催で暑くてカツラが解け、冷蔵庫に入れていた。11月にしたら今度は寒い。お練りには人口1万人の町に4万人も来た。輝虎は13世仁左衛門や我当も勤めた松島屋にとって大事な役。今回は我当に手取り足とし教えてもらった。 吉弥:7回目の出演で町を歩くと声をかけてくれる。声だけれなく缶コーヒーやウーロン茶も欲しい。コーヒーはブラックで。越路は三婆と言われる難しい役。言われたことを十分にできていないが、千秋楽までによくしたい。 寿治郎:言うべきことは前のこと2人が言ってしまった。 壱太郎:お勝はどもりで難しい役で、まだまだできていない。(恒例のご当地キャラ紹介のあと)豊岡ではふるさと納税も受け付けている。但馬牛など景品が当たる(←と言っていたけど正確には返礼品をもらえる)永楽館のチケットもあるので今年チケットが取りにくかった人はぜひ。 「春重四海波」 松竹新喜劇の演目を取り入れただけあって、バカバカしいくらいの喜劇。 武術指南役に家に婿入りすることになった頼母(愛之助)は娘の波路(壱太郎)とは相思相愛の間柄。祝言の前日、婿入りの条件として波路と剣術の試合をして勝って見せよと言わ たところ、あっさり負けてしまう。諸国を修行し、きっと強くなって帰ってくると旅立つ頼母。 頼母が卜伝流の奥義を極めて帰ってくるのが20年後。さらに、再び試合に負けて再度修行に出、次に帰ってくるのは25年後という気の長さが喜劇らしい。すっかり白髪になった頼母と波路はまるで「じいさんばあさん」のよう。ほのぼのと笑わせたが、新喜劇だったらもっと爆笑だったかもと思われた。あと、時間経過を表す太陽と月のくだりが長く、飽きた。

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