挨拶は左近。
成人の日の話題から、「男女道成寺」の解説。狂言師左近は清姫の分身か安珍かと思ったが、調べたら関係ないただの「陽気なおじさん」(お兄さんでなく?)とのこと。手拭い撒きの練習と称して、後ろ向きで手拭いを投げるサプライズも。時間オーバーしそうになって噛み嚙みになったのも可愛い。
「傾城反魂香」
橋之助の又平、鶴松のおとくは15年前の約束だそう。勘九郎、七之助兄弟に習ったそうだが、だいぶ違うと思った。橋之助は吃りが不自然なうえ、喋るところで舌足らずになるのはよろしくない。苗字を許されて喜ぶところなど、精神年齢が低い感じ。吃りではあっても、絵師としての技量はあるのだし、ちゃんとした大人として描くべきでは?鶴松は立板に水のような喋りには至らず、綺麗だけど情が薄く見えた。
男寅の修理之介は似合う。染五郎の雅楽之助は線が細い。
「男女道成寺」
莟玉の花子、左近の桜子が可憐で美しい。立役の人が桜子をする場合、女方の拵えが似合わないことが多いが、この2人はビジュアルに申し分ない。同じ振りでも微妙にタイミングが違ったり、身体の角度が違ったりするのだが、息ぴったりに見える。花道でキマルところなど、「国宝」にもあった場面がホンモノの歌舞伎で見られる嬉しさ。左近は狂言師の姿になってからは伸び伸びとして、キビキビとした踊り。莟玉は左近に比べると動きがミニマムだが、おっとりとして健気な感じ。
2026年1月12日月曜日
2026年1月11日日曜日
1月11日 寿初春大歌舞伎
昼の部終わりの「実盛物語」と夜の部最初の「女暫」を幕見で。
勘九郎の実盛は時代ものがニンに合ってよき。口跡がよく、セリフが明瞭で物語がよく分かる。語尾の言い回しや目配さなどちょっとした仕草が勘三郎によく似ているが、砕けすぎないのがいいところ。
太郎吉の森田緒兜は可愛らしくもしっかり。九郎助が「この子が腕を見つけて…」と説明する件で祖父の顔を見たり、小万の最期を聴かされるところで実盛の方を見たりと、聞く芝居もちゃんとしていて感心した。
九郎助の橘三郎、女房の梅花、瀬尾の松緑、葵御前の新悟と敵役が並び、充実した舞台。
「女暫」は七之助の巴御前の美しさ、愛嬌に尽きる。端々に玉三郎を彷彿とさせるところあり、よく習ったことが分かる。幕切れの舞台番の幸四郎とのやりとりも、よく知ったもの同士の手慣れた様子で楽しませた。 歌昇が赤面の轟坊でキッパリとした体の使い方が際立つ。新悟の女鯰は「中村屋の姉さん」のセリフがいい。芝のぶがキリリとした若衆姿。
勘九郎の実盛は時代ものがニンに合ってよき。口跡がよく、セリフが明瞭で物語がよく分かる。語尾の言い回しや目配さなどちょっとした仕草が勘三郎によく似ているが、砕けすぎないのがいいところ。
太郎吉の森田緒兜は可愛らしくもしっかり。九郎助が「この子が腕を見つけて…」と説明する件で祖父の顔を見たり、小万の最期を聴かされるところで実盛の方を見たりと、聞く芝居もちゃんとしていて感心した。
九郎助の橘三郎、女房の梅花、瀬尾の松緑、葵御前の新悟と敵役が並び、充実した舞台。
「女暫」は七之助の巴御前の美しさ、愛嬌に尽きる。端々に玉三郎を彷彿とさせるところあり、よく習ったことが分かる。幕切れの舞台番の幸四郎とのやりとりも、よく知ったもの同士の手慣れた様子で楽しませた。 歌昇が赤面の轟坊でキッパリとした体の使い方が際立つ。新悟の女鯰は「中村屋の姉さん」のセリフがいい。芝のぶがキリリとした若衆姿。
2026年1月10日土曜日
1月10日 歌舞伎座公演「鏡山旧錦絵」
時蔵の尾上、⑧菊五郎のお初と、年齢差逆転の主従ながら、全く不自然さを感じなかった。時蔵の尾上は品格、落ち着きがあり、主人としての威厳を感じさせる。菊五郎はちょこまかとした動きで若々しさを醸す。
お初が使いから戻った時に尾上はまだ息があり、最期の言葉を残す歌右衛門の型。尾上がこと切れて倒れ伏す体の動き、派手さはないのに美しかった。好配役だが逆の配役でもぜひ観てみたい。
弥十郎の岩藤が大柄な体も効いて、敵役らしい憎々しさ。草履打ちの場では足がガニ股になっていたのが惜しい。
岩藤の女中頭の橘太郎が「働いて×5参ります」と、初春公演恒例の時事ネタも。
玉太郎の大姫はおっとりとしているが、女方としてはまだ硬さも。
終幕は⑦菊五郎の頼朝、魁春の政子らに加え、時蔵や弥十郎も別役で列座する花見の一幕をつけて、正月らしく華やか。弥十郎が「鎌倉殿」で演じた時政として遅れて登場すると客席も沸いた。手拭い撒きでは、彦三郎の強肩が沸かせた。菊五郎は刀を杖にしながらも、山台から降りて舞台前方まで歩いており、元気そうで安堵した。
お初が使いから戻った時に尾上はまだ息があり、最期の言葉を残す歌右衛門の型。尾上がこと切れて倒れ伏す体の動き、派手さはないのに美しかった。好配役だが逆の配役でもぜひ観てみたい。
弥十郎の岩藤が大柄な体も効いて、敵役らしい憎々しさ。草履打ちの場では足がガニ股になっていたのが惜しい。
岩藤の女中頭の橘太郎が「働いて×5参ります」と、初春公演恒例の時事ネタも。
玉太郎の大姫はおっとりとしているが、女方としてはまだ硬さも。
終幕は⑦菊五郎の頼朝、魁春の政子らに加え、時蔵や弥十郎も別役で列座する花見の一幕をつけて、正月らしく華やか。弥十郎が「鎌倉殿」で演じた時政として遅れて登場すると客席も沸いた。手拭い撒きでは、彦三郎の強肩が沸かせた。菊五郎は刀を杖にしながらも、山台から降りて舞台前方まで歩いており、元気そうで安堵した。
2026年1月6日火曜日
1月6日 文楽公演 第3部
「壷坂観音霊験記」
沢市内より山の段の前を織・藤蔵。
切を錣・宗助に錦吾のツレ。
人形は勘弥のお里。一輔の沢市は姿勢が良すぎるのかキリッとして格好よく、盲目らしくなく見えた。
「連獅子」
三輪の雄獅子、希の雌獅子、碩の子獅子に薫、文字栄、三味線は清志郎、清馗、友之助、清公、清允、藤之亮。
人形は玉助の雄獅子、簑紫郎の雌獅子、紋吉の子獅子。
人形の毛振りって…と思っていたが、それなりに華やかで気持ちが晴れた。
25日に再見。公演前に清志郎のトークがあり、珍しく三味線がリードする曲だと。人間が演じるよりも人形は早く動けるので、お囃子や足遣いができるギリギリの速さで演奏したのだそう。
2026年1月4日日曜日
1月4日 初春文楽公演第2部
「新薄雪物語」
清水寺の段は津国の大膳、南都の団九郎、碩の国俊・左衛門、聖の国行・藤馬、小住の妻平に団七の三味線。
聖は老け役の国行を健闘。南都の小悪党もよき。
渋川使者は咲寿・団吾。
咲寿はまずまず。団吾は終始しかめつらで何かに似ていると思ったら、子泣き爺?
評議の段は芳穂・錦糸。
安定感のある床で物語を不測なく伝える。
園部兵衛屋敷の段は千歳・富助。
さすが切り語りの貫禄。これといった盛り上がりがなく、難しい場面だが聞かせるのがさすが。三人笑いでは、それぞれ違う笑いを聞かせ、語りわけの巧みさにうなった。拍手が起こったのも当然。
28年ぶりの上演だそうで、人形は和生のお梅の方、勘十郎の幸崎伊賀守、玉男の園部兵衛と人間国宝3人が揃う。三人笑いで3人が並ぶと見応え十分。玉佳の左衛門は二枚目なのだが、出て来るたびに玉佳自身の表情が役を代弁していてつい笑ってしまう。一輔の妻平は珍しい奴役だが、立ち回りを鮮やかに決めた。紋臣の薄雪姫が可憐。清十郎は幸崎の奥方だったのだが、首が小刻みに震えていたのが気になった。
床といい、人形といい、3部の中でダントツだと思うが、1部、3部との差が大きすぎるような…。
17日に再見。団七が譜面を見ていて、バチ捌きもミスタッチが目立ったのが気になった。
2026年1月3日土曜日
1月3日 初春文楽公演 第1部
「寿式三番叟」
藤の翁、睦の千歳、小住、亘の三番叟に織栄、三味線は燕三、勝平、清丈、寛太郎、燕二郎、清方。
藤の語りは軽く、厳かさのない翁。三味線ほ厳粛な感じなのに。
三番叟のくだりに入って、小住と亘の若手は声が前に出ていてよろし。
人形は簑一郎の千歳が背筋が左に傾いて見える。玉志の翁。玉翔、簑太郎の三番叟。
「摂州合邦辻」 中を靖・清友。 最近の悪いくせがおさまって、まずまず。 前を呂勢・清治。 玉手のクドキが素晴らしく、こんなに聞き応えのある場面だったかとびっくり。浅香姫と俊徳丸が出てくる前に盆が回ってしまい、もっと聞きたいのに。 切は若・清介。 語り出した瞬間から物語が変わったよう。ボソボソとした語りだったのが、「おいやい」で急に大声になるのだが、合邦の心情としてはむしろ逆では? 聞かせどころだから強調したのかもしれないが、ボリューム調整間違えたみたいに聞こえる。拍手が起こっていたのはびっくりしたせいもあると思う。最後にいつもの「大当たり」の大向こうがかかり「当たってねー」とつい本音が…。
鏡開き効果もあってかほぼ満員の入り。
藤の翁、睦の千歳、小住、亘の三番叟に織栄、三味線は燕三、勝平、清丈、寛太郎、燕二郎、清方。
藤の語りは軽く、厳かさのない翁。三味線ほ厳粛な感じなのに。
三番叟のくだりに入って、小住と亘の若手は声が前に出ていてよろし。
人形は簑一郎の千歳が背筋が左に傾いて見える。玉志の翁。玉翔、簑太郎の三番叟。
「摂州合邦辻」 中を靖・清友。 最近の悪いくせがおさまって、まずまず。 前を呂勢・清治。 玉手のクドキが素晴らしく、こんなに聞き応えのある場面だったかとびっくり。浅香姫と俊徳丸が出てくる前に盆が回ってしまい、もっと聞きたいのに。 切は若・清介。 語り出した瞬間から物語が変わったよう。ボソボソとした語りだったのが、「おいやい」で急に大声になるのだが、合邦の心情としてはむしろ逆では? 聞かせどころだから強調したのかもしれないが、ボリューム調整間違えたみたいに聞こえる。拍手が起こっていたのはびっくりしたせいもあると思う。最後にいつもの「大当たり」の大向こうがかかり「当たってねー」とつい本音が…。
鏡開き効果もあってかほぼ満員の入り。
2026年1月2日金曜日
1月2日 新春浅草歌舞伎 第1部
ご挨拶は橋之助。意外とあっさり。次の梶原で冒頭から舞台に出ているため、着替えて引っ込む間、町人の格好をした役者が場をつなぐのだが、ありきたりな話ばかり。もっと楽しませる工夫がほしい。
「梶原平三誉石切」
染五郎の平三。そつなく勤めているけど、セリフが平坦でなんかつまらない。若いから仕方ないけど、梶原には器の大きさが足りないのだろう。最後のセリフ、「斬り手も斬り手」「剣も剣」の後に「役者も役者」の大向こう(多分1階から聞こえた)。順番を入れ替えているのに無粋なこと。
見応えがあったのは、又五郎と左近の六郎太夫・梢親子。武士同士の様式的なやり取りが続くなか、ここだけは庶民の情がストレートに描かれるので、気持ちが入りやすい。左近の娘は健気で可愛く、もう安心してみていられる。遠目でよく分からなかったが、化粧があっさりめなので、もっと可愛くしてもいいかも。
橋之助の大庭はもっと憎らしくてもよい。俣野は男寅。セリフの滑舌が悪く、迫力に欠ける。優男な風貌なので、父とも祖父ともニンが違うのだろう。
「相生獅子」
鶴松が白、左近が赤の振袖で姉、妹の立ち位置?鶴松は悪くなかったが、時折ドヤ顔が覗くのが興醒め。左近は美しい所作も何気なくさらりとこなす。
獅子の毛をつけた後半、若者らしく勢いのある毛振りはいいが、2人とも首で振っているようなのは心配。左近の扇獅子がグラグラしてた。
「藤娘」
莟玉が潮来出島で踊る。娘が花道から出てくるなど、見慣れた藤音頭とはだいぶ違う感じ。プログラムによると、手の込んだ振り付けらしいのだが、存外派手さがなく、素朴に見えた。
「梶原平三誉石切」
染五郎の平三。そつなく勤めているけど、セリフが平坦でなんかつまらない。若いから仕方ないけど、梶原には器の大きさが足りないのだろう。最後のセリフ、「斬り手も斬り手」「剣も剣」の後に「役者も役者」の大向こう(多分1階から聞こえた)。順番を入れ替えているのに無粋なこと。
見応えがあったのは、又五郎と左近の六郎太夫・梢親子。武士同士の様式的なやり取りが続くなか、ここだけは庶民の情がストレートに描かれるので、気持ちが入りやすい。左近の娘は健気で可愛く、もう安心してみていられる。遠目でよく分からなかったが、化粧があっさりめなので、もっと可愛くしてもいいかも。
橋之助の大庭はもっと憎らしくてもよい。俣野は男寅。セリフの滑舌が悪く、迫力に欠ける。優男な風貌なので、父とも祖父ともニンが違うのだろう。
「相生獅子」
鶴松が白、左近が赤の振袖で姉、妹の立ち位置?鶴松は悪くなかったが、時折ドヤ顔が覗くのが興醒め。左近は美しい所作も何気なくさらりとこなす。
獅子の毛をつけた後半、若者らしく勢いのある毛振りはいいが、2人とも首で振っているようなのは心配。左近の扇獅子がグラグラしてた。
「藤娘」
莟玉が潮来出島で踊る。娘が花道から出てくるなど、見慣れた藤音頭とはだいぶ違う感じ。プログラムによると、手の込んだ振り付けらしいのだが、存外派手さがなく、素朴に見えた。
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