2026年7月19日日曜日
7月19日 木ノ下歌舞伎「心中天網島」
八百屋の舞台の下から小春と治兵衛が顔を出し、出会いの場面から。遊女とスケベな客だったのが、どうしてあんなに深い仲になったのかは今ひとつ分からないが、カジュアルな感じで仲を深めていきながら、どんどん話はシリアスな方向に。
おさんが箪笥の中のものを取り出しながら、治兵衛との幸せだった日々を思い出すのが、その後のやるせなさを増した。ラブレターをもらったことや、プロポーズ、出産…。おさんの歌う「ねえあなた、まだ私のこと見てる」とういう歌詞が切ない。途中、西田夏奈子のヴァイオリンで語る義太夫節もいい味を出していた。
ラストは、小春を何度も刺して痛みにのたうち回るし、治兵衛も首を括って苦しみに呻く。全ては愛と死、ああ愛しいと歌うエンディング。
アクセシビリティ版として、舞台上に手話通訳と、左右にの頭上に字幕モニターがかかる。通訳はコーラスと同じ衣装をまとうなど、目立たせない工夫をしていたが、物語と関係のない、登場人物と温度感の異なる人がいるのが気になった。字幕、聞き取れなかったセリフを確認できるのはありがたいようだが、やはり部隊に集中できないのはマイナスと感じた。
アフタートークで、同時字幕をつかったのはいいと思うが。天網島は近松の心中もののうち、最後から2作目。1作目の曽根崎が応援できる心中なのに対し、今作はいい人が一人も出てこない。いい・悪いだけでない、煮え切らないところが魅力と。
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