2023年5月3日水曜日

5月3日 新国立劇場バレエ段「シェイクスピア・ダブルビル」

「マクベス」
小野絢子・奥村康祐ペア。演技派の2人なのでと期待が高すぎたのか、ちょっと期待外れに感じた。奥村は線は勇壮な軍人には線が細いし、小野の妖艶さは身の丈に合わない服を着ているようでしっくりこない。体調がすぐれないこともあり、途中少し意識が途切れた。

マクベス夫人が自殺してから、ぐったりしたままのパドドゥは身体性の高さに目を見張った。

カーンコールで子供たちが顔に血糊のついたままで、ニコニコ笑っているのがシュールだった。

「夏の夜の夢」

オーベロンの速水渉悟はこれまでみたことないほど、堂々とたくましく威厳がある風貌。ティターニアの池田理沙子は女王というには可愛らしい。小姓と並ぶのが似合う。
パックの石山蓮は体格が良すぎ? オーベロンよりがっしりしているのはちょっと違和感がある。 ボトムの福田圭吾は笑いのセンスがいい。大阪人気質?

軽いコメディのはずなのだが、最後、ティターニアが酷い目に遭わされたとも知らずに和解するラストの後味が悪かった。 


5月5日に再見。体調を整えて臨んだので、「マクベス」の世界観を十分に楽しめた。とても濃密な1時間だった。 

奥村のマクベスは線の細さが武将らしくはないのだが、繊細で、夫人の言うがままの弱さがよく表されていた。ダンカン王殺害に逡巡し、夫人に焚き付けられて事に及ぶまでの心理描写がくっきり。バンクォーの亡霊に怯える様、夫人の亡骸を抱き抱えて嘆くパドドゥ、最後の闘いに向かう悲壮感は濃密で、息を呑むほど。 

小野のマクベス夫人は妖艶。振り切った演技でマクベスをリードする欲望の強さを描いた。夢遊病の場面が唐突に思えたが、アフタートークによると、その前の寝室の場面で、マクベスを叱咤激励しつつも、一人のときには弱さを垣間見せたと聞いて納得。死んだあとのパドドゥはぐったりとしていながら、美しさを保っているのが圧巻だった。 

衣装もとても素晴らしいのだが、男性ダンサーの靴が黒のバレエシューズだったのが気になった。上衣はややシンプルながらもコスチュームらしいのに、足元だけ普段のレッスンみたいでそぐわない。

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