2023年2月4日土曜日

2月4日 木ノ下歌舞伎「桜姫東文章」

岡田利規演出は合わないと認識を新たにする。桜姫の石橋静河も、清玄・権助の成河もハマり役だし、その他、悪太郎や長浦の役者も悪くなかったのだが、脚本・演出がなぁ…。一番よろしくないと思ったのは、場面の初めにあらすじを字幕で出したこと。役者の演技は字幕の内容をなぞったようになってしまい、話の展開への驚きが無くなってしまう。長くて複雑な物語を短時間でまとめるにあたって、観客の理解を助ける意図なのかもしれないが。それにしては、場面転換が唐突で、かったるく感じた。休憩を含んで3時間20分ほど。 

だるそうな話ぶり、棒読みのようなセリフは岡田演出の特徴だが、やはりイラッとする。
立ち回りなど歌舞伎の型を踏襲した場面が多く、完コピの影響を感じたが、だるそうに動かれると拙さが目立つ。石橋や成河はさすがの身体表現力で決まっていたが、気持ちが入っておらず、形だけなぞっているように見えるところもあった。 

ラストは桜姫が子どもと権助を殺したところで終わってしまったのもモヤモヤ。家の仇を打ったので、整合性がなくはないが、その後でお家再興まであってこその桜姫の不条理さだと思うのだが。その少し前の、借金のカタにお十が女郎屋に売られるところで殊更に「モノみたいに扱われて変」みたいなセリフがあるのだか、引っかかるのそこ!?というか、主人公周りでも変なところあるし、そこを突いたほうがいいのでは。 
桜姫が権助と再会して「近くへ」と誘うところや、墓掘り権助が桜姫を自分の妻と言って抱き寄せるところなどは、色気があってぞくっとした。

劇中劇の形で、出番のない役者が周りを囲んで見ている。大向こうをかけたりして。成河→イナゲヤ、石原→ベニヤなどの他、豆腐屋とか、ブルガリヤ、ポメラニアンなども。面白いけど由来が不明だ。
観終わって、不条理さは残った。それが狙いなら大成功。


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