2023年2月1日水曜日

1月31日 ミュージカル「エリザベート」

花總まりのラスト舞台をオンラインで視聴。初演時から27年、一つの役を深めてきた集大成と感慨深く観た。皇后の威厳や気品をこれだけ体現できる役者ってなかなかいない。少女期のあどけなさもまだまだ遜色ないし、晩年の悲哀は深みを増した。1幕のラストでフランツの謝罪を受け入れて見せた恍惚の表情、ハンガリーの戴冠式で「勝ったわ」と名言してみせた勝ち誇った顔はひれ伏すような美しさ。その後の「踊るなら」は「踊るときは」になり、ちょっと違和感があった。「私だけに」など歌唱は地声で押し切ったところがやや聞き辛かったが、感情表現としてはアリだと思った。
演出面で少し変化があったようで、フランツは求婚した時から、王族には自由がないと繰り返し話しているのに、エリザベートは夢見心地で、2人が初めからすれ違っている様子が明らか。終盤で、追加された父の亡霊と対話するシーンで「気の持ちよう」みたいなセリフもあり、エリザベートの孤独は独り勝手というか自業自得みたいで、突き放して描かれて同情しにくいように思った。

古川雄大のトートは、エリザベートへの憧憬という感じで、終始仰ぎ見る風情。最後のダンスでエリザベートの足元に滑り込んだところや、フェイクで歌い上げるところは思わず笑ってしまった(←褒めてる)拒絶されて捨てられた子犬のようになってしまうのは、万能の帝王としてはどうなの?と思ったが、それはそれできゅんとした。歌唱は思っていたよりはよかったが、得意のダンスをもっとみたかった。カメラワークが寄りばかりだったのが残念。 

田代万里生のフランツは、青年期は声が明るく、陽のイメージ。晩年は歌声も変わっていたが、老けメイクは少しやりすぎではと思った。(映像だからそう見えたので、舞台ならそうでもないのか)

黒羽真理央のルキーニは狂気が濃い。そういえば、古川とは「恋と弾丸」でも共演して快演を見せていたっけ。バートイシューで荷物運びをしたり、出番が増えた?
ゾフィーは剣幸。期待していたのだが、カーテンコールて本人が「人のいいおばさんみたいとダメ出しされた」と言っていた通り、厳しさや威厳が足りないように思った。歌もあれ?と思うレベルで、体調でも悪かったのかしら。


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