2023年2月6日月曜日

2月6日 文楽公演第一部

「心中天網島」

北新地河庄の段の中は睦・勝平。
睦ははじめ、また声が掠れていて辛いと思っていたが、小春の哀れさ健気さがよかった。太兵衛の口三味線は下手な感じがリアルというか。あまり自信満々にやらない方がこの場面には合っているのかも。
切は千歳・富介。孫右衛門がいいのはもちろん、太兵衛が意外に面白い。格子に括り付けられた治兵衛を笑うところの憎らしさが秀逸。

天満紙屋内の口は希・友之助。
奥は藤・団七。聞き心地がいいのだが、必ずと言っていいほど寝てしまう。

大和屋は病気休演の咲に変わって織・燕三。場面が場面だけになのが、抑制された語りがとても良いと思った。燕三の三味線が抑えていたのか。

道行名残の橋づくしは芳穂、小住、亘、聖に錦糸、寛太郎、清公、清允、清方。錦糸の三味線の鮮やかなこと。これぞ道行という感じ。寛太郎は二枚目のせいか、眉間に皺が寄っていた。

人形は玉男の治兵衛に清十郎の小春。似合いのカップルぶりだが、河庄の小春が常に上半身が右に傾いていたのが不自然に見えた。俯く姿を強調するなら上体をひねる方が効果的では?左側にいる人が嫌で逃げようとしている?和生のおさんのできた女房ぶり。

今回見ていて、やはり治兵衛のような未練がましい男は嫌いだと思いつつ、対極の、いわゆる男らしい人をよしとする気持ちが自分にもあるのではと思い至ってハッとした。よく考えてみたい。

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