2022年10月12日水曜日

10月11日 日本怪談歌舞伎 時超輪廻古井戸

Jホラー歌舞伎と銘打って、「貞子」と「播州皿屋敷」を掛け合わせ。思っていたほど酷くはなかったが、良くもない。貞子が這い出てくる井戸と皿屋敷でお菊が投げ込まれる井戸が時空を超えて繋がっているという設定で、現代と室町時代が交錯する。

愛之助の鉄山に壱太郎のお菊での皿屋敷はほぼ古典通り。千寿が珍しい立役の悪役、香川番内で、千次郎演じる岩淵忠太と共にお菊をなぶり殺す。一つ不満は、井戸の上に吊るさないこと。吊り下げられた美しい女が嬲られる姿が美しくも憐れなのであって、地べたに転がされて打たれたり、「水雑炊を食らわせい」とか言って桶に貯めた水に顔を漬ける(←本水)とか、水を浴びせ掛けられたりするのはちょっと違う。

愛之助、壱太郎、莟玉の三人はそれぞれ二役で、早替わりも見どころ。莟玉は現代パートの高松から古典の船瀬に替わるとき、白塗りの化粧込みで5分くらいで出てきたのは驚いた。 現代パートで茶髪のチャラい学生を演じ、若者ことばで「マジムリ」とか曰うのが新鮮だった。 
莟玉になってから松竹座へは初御目見だそうで、陰陽師役の松十郎に「うーめまるから莟玉」とか「パンダ好き」とか「本名は」とかいじられていた。

現代パートが総じて薄っぺらく、肝心なところを言葉で説明してしまうのでホラーの怖さはない。歌舞伎パートとの落差が大きく、チグハグな印象だった。

今井翼演じる室戸は謎解きを担い、陰陽師で超神霊学者という設定。室町時代へタイムスリップして貞子の呪いを解くために九字を唱えながらフラメンコを踊り出すのは、お約束とはいえ違和感しかない。 

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