2022年10月29日土曜日

10月29日 菊地まどかの会

「二人三番叟」
床は靖・清丈。舞台後方に置いた緋毛氈の台の上で演奏し、人形はその前で演じる趣向。一挺一枚の三番叟って初めて聞いたけど、なんとも寂しい。鳴り物もないから余計に。舞をサボって笑いを取るところも、心なしか盛り上がらなかった。
人形は簑悠と勘昇。勘昇はとても緊張した様子で、人形の扱いもぎこちない。簑悠は比較的落ち着いて、安心してみていられた。手すりがないので、主遣いが足を動かしている様子が見られたのが興味深かった。

「温かい手」 
まどかは7ヶ月の身重で、お腹の子と一緒に語ると冒頭で。
新作の浪曲だそうだが、このご時世にひもじくてパンを盗む子どもって…と思う。DV夫から逃げてきた母親が、居所が知れるのを恐れて病院に行けないという設定は今っぽいけど、だったらその辺りをもう少し掘り下げてもいいのでは? 成人して医師になった子どもが世話になった八百屋夫婦の医療費を肩代わりして、借りを返すというオチが、もう使い古された感じで。ただ、パン屋のおっちゃん、八百屋の夫婦の語り分けは見事。子どもがちょっとわざとらしく感じた。

「火の見櫓」
床は引き続き靖・清丈。人形は簑之。 
簑之のお七ははしごを登る所作ももたつき、手慣れない感じ。若手に機会を与える主旨なのだろうか。

「梅川忠兵衛」
まどかが舞台中央で語る浪曲のみで始まり、半ば、舞台が暗転してテーブルが舞台上手側に移動。道行の場面から下手側に手すりを設けて人形が登場した。
まどかの語りはイキイキとして、よい。梅川が可憐で、生娘みたいだった。忠兵衛は結構あっさり封印を切ってしまい、梅川に打ち明けるのは追手を逃れる2人が潜む宿の場面で。文楽や歌舞伎にない場面もあり、ポイントの置き所が違うのが興味深い。淡路町をアワジチョウと読んでいた。 
人形は玉翔の梅川、玉路の忠兵衛、玉佳の孫右衛門。梅川と忠兵衛、梅川と孫右衛門と人形が2体ずつしか舞台におらず、梅川が孫右衛門の下駄の鼻緒を直してあげるくだりで忠兵衛が出てこないのが不思議と思っていたら、人が足りないかららしい。


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