2021年12月26日日曜日

12月26日 空晴「向こうの景色」

 ちょっとした言い間違いや言葉のすれ違いが誤解を生んで、こじれた話が最後にほどけるという、岡本尚子らしい作品。
冒頭の、暗転から絵本が浮かびあがる演出が印象的。
関西圏の郊外にある、住宅の裏のガレージを舞台に(柱だけのようなセットなので、はじめは何かわからなかったが…)、ミュージシャンを目指して上京するも夢破れて地元の工務店で働く竹内(太田清伸)や宅配の配達員(上瀧昇一郎)、白衣の男(小池裕之)らが出たり入ったり。住宅で暮らすのは、兄のまっさん(横田雄一郎)、次女梅ケ谷(岡部)、その娘うーちゃん(古谷ちさ)。その日は傘寿の父の祝いのために出かける準備をしているのだが、そこへ長女の元夫、松戸(稲垣卓夫)や、うーちゃんの幼馴染たけちゃん(駒野侃)も現れ…、と様々な立場の人が入り乱れる。
夢を追いかけるために地元を出ようとする若者(たけちゃん、うーちゃん)と、夢破れて地元にもどった年配組(竹内、梅ケ谷?)を対比しつつ、未来への希望を思わせる。
ドッペルゲンガー(ドップラー効果)にからめて、過去、現在、未来について語るところが分かりにくかったが、タイムカプセルとタイムマシンの言い間違いはよくできてる。タイムマシンじゃないけど、タイムカプセルにも同じような効果があるよね、という。
大阪弁満載のテンポが楽しい。岡部の貫禄が増していて、大阪のおばちゃんというより、経営者が政治家のようだった(悪口ではなくて)。容量の得ない小池の話を古谷が引き取る場面があったのだが、とたんに安心して聞くことができて頼もしく感じた。

2021年12月25日土曜日

12月25日 新国立劇場バレエ団「くるみ割り人形」

くるみはしょせん子ども向けだし、あまり好きな演目ではなかったのだが、この感動たるや。

イーリング版は1幕の前半はクララを子役が演じ、ほかの子どもたちが多く出演。男性主役がくるみ割り人形と王子に加え、ドロッセルマイヤーの甥という役どころで、冒頭からほぼ出ずっぱりというのは嬉しいのだが、クララの夢の中で憧れのお兄ちゃんがくるみ割り人形の化身になるという物語に共感できない。1幕が終わった段階では、やっぱりくるみは…と思っていたのだが。2幕の、金平糖の精と王子のグランパドドゥが圧巻。笑顔のチャーミングな池田理沙子・奥村康祐ペア。微笑みが絶えず、アイコンタクトがやさしく幸福感があふれる。これまで、くるみのパドドゥで感動したことってなかったのだけれど。2幕は花のワルツが優美で素晴らしかった。
1幕では老人役の福田圭吾がキレのある踊りで目を惹いた。
指揮のアレクセイ・バクランが、曲と曲の間でやたら演奏者と対話してるのが印象的だった。

12月24日 十二月大歌舞伎 第二部

 「吉野山」
七之助の静に松緑の忠信。
七之助は美しいのだが、痩せた顔が薄幸そうにも見える。踊り上手の2人なので不足はないのだけれど、やはり舞踊は苦手だ。
義太夫だけというのは歌舞伎では珍しいそうだが、三味線の音が軽いというか、頼りない。本業と違って聞こえるのはどうしてだろう。

「信濃路紅葉鬼揃」
玉三郎が若手5人(橋之助、福之助、歌之助の3兄弟に尾上左近、上村吉太郎)を率いる。前場は能仕立てで、静かな舞が続くのだが、6人の揃った動きが美しく、飽きさせない。フォーメーションの変化も見事。なかでも吉太郎が大健闘で、玉三郎と扇の向きや角度もピタリとそろっていた。体感がブレないのも素晴らしい。
左近はまだ子どもと思っていたら、15歳?ただ、5人の中では小柄で、圧倒的に顔が小さいのでよく目立った。後シテの鬼の化粧をしてしまうと誰が誰やら分からなくなってしまうのだが、左近だけは見分けられた。

維盛の七之助がすっきりとした美丈夫で、清々しい。静よりよかったかも。松緑の山神はすこしおどけた感じ。

2021年12月23日木曜日

12月23日 十二月大歌舞伎 第一部

 「新版 伊達の十役」

序幕の足利家奥殿の場はたっぷりと50分近く。
猿之助の政岡は山城屋を思わせる。慈愛や母性は薄いものの、濃厚でこってりしてる。顔をアップで見ると、目張りがキツイせいか、悪役のように見えてしまうのだが(八汐といい勝負と思った)、遠目に見れば気にならない。千松の死を嘆くところは、胸を揺さぶるような情は感じられなかったが、いい発声で型をきっちりすると悲しみは伝わるのだなあと思った。義太夫の葵太夫もあって、重厚な義太夫狂言を堪能した。

冒頭、笑也の沖の井と笑三郎の松島という、澤瀉屋の美女2人並びがうれしい。

千松の市川右近が楽しみだったのだが、上手だったし、決して悪くはなかったのだけれど、特筆すべきほどでもないというか。千松ってだれがやってもそれなりに健気に見えるのかも。殺されて放置される時間が結構ながいのだが、じっと動かないのは立派。
鶴千代の幸一郎ってだれ?と思ったら、幸四郎の弟子だそう。

栄御前は中車。女形の白塗りで並ぶと、猿之助とよく似ている。

猿之助が節之助に替わる床下の段は短く。

休憩を挟んで、大詰は早替わりの猿之助ショー。絹川与右衛門、足利頼兼、三浦屋女房、土手の道哲、高尾太夫の霊、累、仁木弾正、細川勝元の8役に次々と入れ替わる鮮やかさはさすが。道哲の軽妙な踊りに、体幹の確かさを感じた。

猿弥と弘太郎が狂言回しの旅の尼に扮し、笑いを誘う。

玉太郎がねずみとあるので、着ぐるみ?と思ったら、鼠が変化した若衆姿で安堵。

2時間あまりの公演で、重厚な義太夫狂言やら早替わりやら笑いやらのてんこ盛り。すごく計算されていて、観客を楽しませる。コスパがいいと感じた。


2021年12月19日日曜日

12月19日 「能あそび」特別企画<さかさま会>

10日の公演を オンラインで視聴。予想以上に面白かった。

独鼓「四海波」は有斐斎弘道館館長の濱崎加奈子の謡に林 宗一郎の小鼓。発声がしっかりしているのは、普段から稽古しているからか。

ごあいさつは有松遼一。

落語は茂山逸平の「酒の粕」。桂枝雀の出囃子「ひるまま」を桂吉坊、林宗一郎、森田玲が演奏。
逸平の落語は軽やか。悪くないけど、普通のおしゃべりみたいだった。マクラのほうが知から入ってた?

狂言「柿山伏」は林宗一郎と有松遼一
能楽師の調子でセリフを発すると、重々しいというか…。軽妙な笑いではなかったけれど、それはそれで面白い。

能「船弁慶」
静御前は華道家の珠寳、知盛は笛方の杉信太朗、義経は茂山逸平、弁慶は林宗一郎、従者は森田玲、船頭は桂吉坊というオールスターキャスト。囃子方も、笛の有松遼一、小鼓の味方團、大鼓の河村晴道、太鼓の田茂井廣道と見慣れぬ顔ぶれ。

前場は比較的真面目にやっていたが、狂言方が入った後半は、吉坊や逸平が笑いを取りに行くから、面白くってしかたない。船頭が従者にからんだり、義経は船が揺れてグラグラしたり、知盛と対決して両手をあげて喜んだと思ったら、終わってふう、とため息をつくだけで笑いをとるのはさすが。そして、意外な活躍を見せたのが、知盛の杉信太朗。はじめは面をつけていたが、終盤は直面になって、膝立ちのまま義経達に迫る大立ち回り。弁慶の宗一郎が笑いをこらえられなかったのもツボった。生で見てたら拍手喝采だろう。


2021年12月17日金曜日

12月17日 国立能楽堂 定例公演

 「成上り」和泉流
能村晶人の太郎冠者、炭哲男の主人、炭孝太郎のすっぱ。
やまいも がウナギになるのはいいとして、蛙がカブトムシとか、燕がトビウオって成り上がりなのか?

「海人」
金剛流にのみ伝わる変成男子の小書き。けど、女は成仏できないから男子に変ずるってなんだかなあ…。

廣田幸稔のシテ、子方は孫の明幸。前シテは体調もあって意識を飛ばしてしまったが、玉之段の舞はとんでもない。奪った玉を胸を切り裂いて隠すとは。後シテの龍王は、全長1メートルはあろうかという大きな龍の冠を被っての勇壮な舞。しっぽのあたりが動くようになっていたのには理由があるのだろうか。


2021年12月13日月曜日

12月12日 吉例顔見世興行 第二部

「三人吉三」
りき弥の名題披露で、夜鷹おとせ。花道の出で大向こうがかからないのが寂しいが、大役に緊張した面持ち。姉さん被りの手拭いの影から見える横顔が美しく、声もいい。ござを持ったまま、手拭いを外して、しまってとやることが多く、少し手間取っているようにも見えたが、他の人ならこんなに凝視しないから分からなかっただけかも。

お嬢が孝太郎、お坊が隼人と年齢差があるが、意外に(失礼!)違和感はなく。隼人のお坊はニンに合う。和尚の芝翫と3人並ぶのもしっくり。

「身替座禅」
仁左衛門の右京は品があり、見ているだけでこちらまでウキウキしてくる愛嬌に溢れる。驚いたり、膨れたり、バツが悪かったりと、表情のひとつひとつがチャーミングで、つい引き込まれる。
芝翫の玉井は、濁声のわわしい奥方。可愛さより強さが勝るが、笑いどころはしっかり押さえていた。
太郎冠者の隼人は、びっくりして飛びのく動きがややオーバーに感じたが、軽妙なのがいい。
千枝の千之助、小枝の莟玉はビジュアルは人形のような可愛さで、声も可憐。莟玉と並ぶと千之助の所作が至らないのが目についたが…。


12月11日 吉例顔見世興行 第三部

「雁のたより」
幸四郎の上方歌舞伎はやっぱりしっくりしないなぁと思ったが、脇を上方勢が固めたので全体としては楽しく見られた。
冒頭、髪結の店先で仲居お君の竹三郎と下剃竹造の松十郎の二人芝居に胸熱。若いというほどでもないが、老女でない女方を演じるときの竹三郎には華やぎがある。お元気そうで何より。医者玄伯の千次郎と松十郎のやりとりも軽妙で楽しい。愛妾司の千寿は大役への抜擢に応え、しっとりとした美しさで役割を果たした。花車お玉の吉弥はしっかりと場を引き締める。愛三郎が丁稚で、成長ぶりが頼もしい。
若旦那の愛之助が、柔らかみのあるいいぼんぼんで、三二五郎の幸四郎と並ぶと上方らしさが匂い立つよう。もっとちゃんと上方の芝居に取り組んでほしいものよ。

「蜘蛛絲梓弦」
愛之助が5役を勤め、早替わりの鮮やかさはそれほどでもなかったが、ケレンみが満載で、楽しい一幕。小姓から太鼓持ちへの早替わりは舞台上で幕から顔だけ出して、甕から引っ込んで座頭へ変わると上手の花瓶?の下から登場、さらに下手の御簾内へ引っ込んでせり上がると傾城にと、いろいろ工夫していた。痩せて輪郭がシャープになったので、傾城がよく似合い、節目がちな顔つきが美しかった。

2021年12月10日金曜日

12月10日 文楽鑑賞教室Aプロ

 解説は亘・清公のコンビ。
まだ慣れないせいか、真面目で硬い印象。実演で、裏門を語るのはいいとして、婆も武士も、「腰元おかる」のままはどうか。セーラー服の団体客がいたせいか、急に自習になってはしゃぐ子どもたちといって「寺子屋」の一節を語っていた。

「野崎村の段」
中を碩・友之助。
盆が回ったところで、ヒューと歓声があがる。今の子にとってはそうなのか。
碩の安定感たるや。はしゃぎ過ぎず、ちょうどいい感じ。三味線も手堅い。

前は希・清馗。

とても聞きづらく、後半は大分意識が飛んでしまった。

後は睦・宗助、燕二郎のツレ。
睦は女の詞の高音がことごとく擦れて辛い。男の詞や地は悪くないのに。宗助の三味線が良かっただけに、残念だった。ラストの駕籠かきと舟での道行、足拍子が三味線と合っていないのはいかに。

人形は勘彌のおみつは少し老けて見え、久松の玉勢、簑一郎のお染も特筆すべきことはなかった。

12月9日 泥人魚

 唐十郎が宮沢りえをイメージして書いたという戯曲だけあって、宮沢の存在感がひときわ際立つ舞台だった。冒頭、潟スキーで登場したときは、おさげ髪の無垢な少女。あまりに小柄に見え、子役かと思ったほど。磯村優斗演じる蛍一と無邪気に戯れていたところ、諫早湾の潮受け堤防を思わせる水門が次々と落とされ、遮断される。本水を使った演出はいいが、映像が併用されていたのはどうか。磯村は声が涸れ気味で、そのあとも続く膨大なセリフが辛かった。

 まだらボケの詩人でブリキ店の主、静雄役の風間杜夫は変幻自在の怪演でアングラな世界観を表出。月影小夜子役の愛希れいかは、宝塚出身らしい凛とし立ち居振る舞いが役に合っていたが、もう少し毒気があってもいいかも。シェネのキレの良さはさすが。ヘルパーとおじゃる丸役の大鶴美仁音はセリフがよく、しっかりと存在を示した。

ただ、何より印象的なのは宮沢演じるやすみ。唐作品らしい、神秘的で色気のある女性で、1幕の終わりで、鱗に見立てた桜貝を張り付けた太ももをあらわに、水をかけるシーンや、2幕のクライマックスで同じ太ももに十字架を突き立てるところの凄烈な美しさ。澄んだ声で紡ぐ詩的なセリフも耳に心地よかった。

ただ、宮沢の好演が突出していた印象で、舞台全体としては消化不良な感じ。これまで商業演劇での唐作品を何度か見たが、どれも同様だった。役者はどれも悪くなかったと思うのだが、紅テントで感じたような、陶酔感というか、非現実感というか、唐の世界が醸し出す毒気のようなものが薄い。あの独特の空間でないと、戯曲の魅力が十分に発揮されないのか。

2021年12月7日火曜日

12月6日 文楽鑑賞教室 Bプロ

 解説は簑太郎。体調がすぐれなかったこともあったが、ほとんど寝てしまったのは退屈だったからだと思う。首の解説で「見えないでしょうけど」って言うなら、映像を使うなりの工夫をしては?

「新版歌祭文」

中を亘・寛太郎。
何だか音程が合っていない感じで、寛太郎が弾きにくそうに見えたのは気のせいか。亘はやたら楽しそうに語っているのだが…。チャリっぽい場面だからそれでいいのか?

前を芳穂・勝平。
このところの芳穂は小さくまとめようとしているように聞こえる。師匠の影響か、そろりそろりと歩を進めているような。勝平の三味線も、いつものおおらかさがなく、鳴りが小さく感じた。

後を藤・藤蔵、清允のツレ。
この並びということもあろうが、ダントツに上手かった。登場人物の表情が豊かだし。
藤蔵は唸り声に加えて、「嬉しかったはたった半時」のあたりで悲壮感のある表情。こんなに顔に感情を乗せて弾く三味線って初めて見た気がする…

人形は一輔のおみつ、紋臣のお染は適役。久松の清五郎が、登場時から身の置き所のない哀れがただよい好演。久作の玉也はさすがの安定感で、出てくるだけで場に説得力が加わる。


2021年12月5日日曜日

12月5日 新国立劇場オペラ「蝶々夫人」

初めてちゃんと観たが、ピンカートンのクズ男ぶりにドン引く。結婚式の日、幸せに浸る蝶々を見かねて、あまり夢を見せるなと忠告する領事に対し、日本の法律に従って999年間結婚する(?)けどいつでも離婚できるし、帰国したら本当の結婚をすると言い放つって、はじめっから捨てる気だったのかと愕然。再び来日した時も、蝶々の悲しむ顔が見たくないと走って逃げ去るし…。当初の配役だったルチアーノ・ガンチが入国制限のため来られず、代役の村上公太の外見がもろ日本人だったのも痛かった。

蝶々役の中村恵理は歌に不足はないのだが、理知的な雰囲気が邪魔して15歳(!)という無邪気さや、ピンカートンを信じる無垢なまでの一途さが感じられなかった。こういう、あまり賢くない女性は、男性の女形が演じるほうがらしく見える気がする(「ハムレット」のオフィーリアとか)。現代のリアルな女性が演じると、どうも嘘っぽい。

当時の欧州では日本のことなんてほとんど知られていないだろうから仕方ないのだけど、鈴木やホンゾなどの役名はどういうチョイス?

2021年12月4日土曜日

12月4日 文楽公演

 「仮名手本忠臣蔵」

桃井館本蔵松切の段は小住・清丈。
小住は少し声の調子が不安定なところもあり、あたらしい師匠の影響? 素質はいいはずなので(配信で聞いた「出世景清」はよかった)、本領を発揮してほしい。清丈の三味線は安定感がある。

下馬先進物の段は南都・団吾。
南都らしくない、だみ声っぽい語りは、場の演出? 団吾はロックしてた。

殿中刃傷は靖・錦糸。
冒頭の低音は苦戦が感じられたが、師直のいじわる振りは悪くない。刃傷に及んでからの立て詞にもっと勢いがあるといいかと思った。三味線は案外淡々と。

塩谷判官切腹は織・燕三。
織の床本は⑧綱太夫のものだそうで、白木の見台に気合を感じる。いつもの力んだ感じがなく、訥々と語る様子は悪くない。が、全体的に元気で、判官が刀を突きつけてからもあまり死にそうでなく、由良助の到着が案外早かったように感じてしまった。師匠の咲とはやはり違うなあと。「九寸五分は汝へ形見」の「かた」は咲に似てると思ったが、「み」でそうでなくなった。
燕三の三味線は、静謐で、心地よい緊張感。

城明渡しは碩・清允。
御簾内だったので姿は見えなかったが、最後の「はったとにらんで~~」がいつもより控えめな感じ?

道行旅路の嫁入りは呂勢、咲寿、亘、聖、薫に清志郎、清公、錦吾、燕二郎、清方。
城明渡しで終わらず、最後に景事を入れてくれるのはありがたい。呂勢の美声に癒された。
ユニゾンで語るところは、不協和音?と不安になったけど。

人形は清十郎の戸浪と簑紫郎の小浪に情感があってよかった。
若狭之介の玉佳の顔芸はあまり気にならないというか、役と一体になってるのに、玉助の師直はうるさく見えるのはなぜだろう。
判官の簑二郎は慣れないせいか、切腹の緊張感が薄いように感じた。
玉志の由良助は、城明渡しでの掛け声が控えめでよい。

12月16日に再見。
靖は低音が出るようになっていたものの、嫌みっぷりが控えめになったよう。
織に何か違うと感じるのはなぜだろう。若いから重厚感が不足しているのか、ちょっと語り急いでいるような気もする。あと、いろんな意味で格好良すぎるのか。無念さとかいうより、勇んで死ににいくような感じというか。燕三の三味線が奏でる静謐さが場を引き締めていた。

城明渡しは掛け声や合図なしに「はったとにらんで~」となった。人形の動きを見ていたのか。碩は声量もたっぷり。