田代万里生・新納慎也ペアを視聴。「伝説の」かどうかはともかく、歌唱の安定感は抜群で安心して聞いていられた。解釈の違いも面白く、田代の「私」は冒頭の証言のところからすでに泣いていて罪を悔いているようにも、彼の不在を悲しんでいるようにも見える(ほかはどちらかというと諦めに感じた)。「彼」との関係では、すがるような様が愛おしく、「彼」のためなら何でもやってしまうような危うさを感じさせる。「彼」の新納は父親に愛されていない苛立ちから強がっているようで、冷たく支配的な言動の裏に脆さがある。キスシーンのエロさも他と違っていて、はじめ軽くキスしてから唇を開くよう促す仕草や、拘置所では耳の後ろをなめ上げてからの深い口づけと、容赦ない。ラスト、私の裏切りを知ったところでは、支配していたつもりで囚われていたことへの諦めと、負けを認めて安堵とがないまぜになった感じ。ほかのペアだと裏切られたと知って彼の心は私から離れてしまうと思ったが、この2人はこのまま離れられずに別世界へ行ってしまいそう。「究極の愛」とはこのことか。新納「彼」が一番「私」への愛着を感じさせたし、田代「私」の「彼」のためには何でもやってしまう危うい愛も感じた。
素晴らしいペアではあるが、少し物足りなかったのは、歌が普通にうまいので、成河・福士のような歌声のコントラストによる面白さに欠けるところと、福士「彼」の冷酷な魅力。
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