「文立山」
山本東次郎のシテ、山本則俊のアド。
東次郎の大らかな風情がほのぼのとした後味。
「船弁慶」
後之出留之伝の小書き。
宝生和英のシテ、子方は出雲路啓、ワキは森常好とワキツレ2人、アイは山本凛太郎。
宝生和英の舞台は不思議だ。静として登場した橋掛かりで見たときと、舞台で舞うときの面が別のもののように表情が違って見えた。角度によって表情が違うとはよく言われることだが、これほどはっきり感じたのは初めて。息遣いまで感じられるほどで、役の心情がくっきりと感じられた。謡がはっきり聞き取れるのもありがたい。
義経役の子方が舟に乗り込んだところで戻してしまうハプニング。慌てて地謡が駆け付けて始末しながら「舞台を降りるか」とでも聞いたのだろう。小さな手で口元を押さえて、首を振る様子が健気だった。そのあと最後まで舞台を勤め上げたのは立派。結構セリフもあったし。
脇席だったので、静の舞のあいだ弁慶がなぜか苦虫をかみつぶしたような表情をしているのが気になって集中をそがれた。
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