2020年12月11日金曜日

12月9日 柳家三三・玉川奈々福二人会「落語のチカラ浪曲のチカラ」

前座は菊一「饅頭こわい」
忙しなさも含めて前座らしい。前段の怖いものの言い合いのくだりがたっぷりで、饅頭を食べて怖がるところがあっさり。

三三「雛鍔」
マクラのぼやき節。コロナ禍で公演が次々中止や延期になって打たれ弱くなったと言っていたせいなのか、大阪で見たときと違う感じ。
噺は金坊のこまっしゃくれた様子がほほえましく、大名家の爺の格式、御隠居の落ち着いた様子など、身分がはっきりわかる語りわけが見事。

奈々福「ライト兄弟」
世界偉人伝と題した新作。小佐田定雄作だが、かつて志の輔の以来で書いてボツになったものだそうな。
ジョーンズやら、いかにも西洋人な名前の登場人物が「あっしは」などと喋るギャップが可笑しい。兄弟の近所のアラブ系の男が、アラビア訛りならぬ関西弁。
奈々福はコロコロと小節を聞かせて唸りまくり、聞き応えたっぷり。ホールの音響も良かったのか、これまで聞いた中で一番の声だった。
時間短縮のため(席亭に5分みじかくなると言われたそう)、裸の見台での口演は初めて見た。これまで見たのは、寄席で座って演じるときもテーブル掛けなどの装飾はあったので。

奈々福「陸奥間違い」
中入りを挟んで、立ち高座で、しつらえもしっかり。金魚のような絵柄は時期にあっているのか?
年末になるとやりたくなると言っていたが、勘違いが巡り巡って膨らんで、大いに笑わせる。誰も不幸にならないハッピーエンドで、大名家や将軍まで出てくるスケールの大きさも相まって聞いていて気持ちがいい。

三三「星野屋」
小佐田定雄脚本で歌舞伎座で上演しているからでもないだろうが。
あまり声色や仕種で女らしさを見せる芸風ではないので、お花の婀娜っぽさは薄いのだが、お花が髪を切ったと見せかけたり、30両を贋金と言ったりの騙し合いのくだりはテンポよく、息つく間もなくオチまで運んだ。



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